食道がんの症状を初期から末期まで解説 自覚症状は?
- 作成:2016/04/13
食道癌(がん)の初期症状は、気付きにくいことで知られています。背骨や肝臓にまで転移するような末期にまで達すると、治療開始から5年以上生存できる確率は10%以下となります。早期発見のためのポイントと合わせて、食道がんの症状を、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
初期に自覚症状はない
食道がんは、食道の内側をおおっている粘膜の表面から発生します。進行にともない、粘膜下層、固有筋層、外膜と、外側に向かって広がり、やがて食道の外の周辺臓器にまでおよびます。また、食道の周辺には、人間にとって重要なリンパ管や血管が集まっており、リンパ液や血液によって運ばれたがん細胞は、食道から離れた部位にも転移していきます。
がんが粘膜内にとどまっているうちは、初期の食道がんです。この段階では基本的に自覚症状はありません。人によっては食べ物を飲みこむときに喉に違和感がある、胸焼けがする、胸の奥が軽く痛む、熱いものやすっぱいものがしみるといった症状がありますが、いずれにしてもしっかりと自覚できるものではありません。
がんが粘膜層から固有筋層にまで進行すると、初期がんではなく「進行がん」と言われる状態となります。食道の内側にできたがんが通り道を狭くし、食べ物を飲みこみにくくします。体重が減少するほど食事に支障が出るようになれば、かなり進行していると考えられます。
それ以外の症状としては、声のかすれ、咳、胸や背中の痛みがあげられます。食道のすぐ横にある発声をコントロールする神経が、がんに侵されること声がかすれます。また、がんが気管・気管支、肺にまでおよぶと、咳や血痰(血のたん)が出るようになります。さらに、がんが背骨や動脈を圧迫するようになると、胸や背中にも痛みが伴います
食道がんの末期症状
末期にさしかかると、がんは食道に隣接する臓器や離れた部位にまで転移しています。食道の内側はがんでかなり狭くなっており、食事はおろか水分を摂ることも、唾を飲むことも困難な状態です。ほとんど無症状に近かった初期に比べて、末期になると様々な症状に悩まされることになります。
食道の外に転移したがんは、その先々で痛みや諸症状を引き起こします。たとえば肺や気管支に転移すると、咳や声のかすれ・呼吸困難を引き起こします。背骨に転移すると、背中や胸が強く痛みます。背骨以外の骨にも転移することもあり、痛みや骨折の原因となります。肝臓に転移すると、黄疸や肝不全になるおそれがあります。
残念ながら、末期(ステージ4)になると、5年以上生存できる確率は10%以下になってしまいます。治療を行うことは可能ですが、治癒することはほとんどありません。そのため、食道がんは進行する前に発見して早期治療を行うことが大切なのです。
定期的な検査が鍵
初期の食道がんには自覚症状がほとんどありません。そのため、早期発見が難しい病気です。がんの治療には早期発見・早期治療が鉄則ですが、初期症状が乏しく、自覚するころには進行してしまっている食道がんは、やっかいな病気といえます。
早期に発見できた人の多くは、たまたま健康診断や人間ドッグにかかったために見つかったものです。食事中に軽い違和感を覚えるくらいでは病院に行く人はまれでしょうから、自覚症状から早期発見に至った人は少数です。したがって、定期的に検査をすることが大切になってきます。
食道がんについては、リスク要因はある程度解明されています。食道がんは女性よりも男性に多く、その差は5倍です。年齢は40代後半から急激に増加します。喫煙と飲酒ががんのリスクを高くすることも知られていて、特に両方の習慣がある場合は相互作用でさらにリスクが高まります。お酒を飲んだ時に赤くなりやすい人(フラッシャー)もリスクが高いと言われています。その他、熱いものを食べたり飲んだりする習慣や、肥満もリスク要因に上げられます。また食道がんのリスクが高い人は咽頭・喉頭がん(のどのがん)を合併しやすいことも知られています。当てはまるものが多い人は、積極的に検査を受けるようにしましょう。最近では内視鏡技術の向上により、発見率も高くなってきてており、ごく早期の場合は内視鏡治療で治癒が期待できる場合もあります。
自分の食道がんのリスクがどのくらいなのか知るには、国立がんセンターと複数の医療機関が研究して作成した食道がんのリスクを調べる問診票が役に立ちます。この問診票でリスクが高いという結果が出たら、専門の医療機関を受診するようにしてください。問診票は「久里浜医療センター」のHP(http://www.kurihama-med.jp/alcohol/check/check.html)に掲載されています。
食道がんの症状についてご紹介しました。もしかして食道がんかもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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