子宮頸がんワクチンで不妊になる?ならない?
- 作成:2016/09/12
子宮頸がんのワクチンは、がんの前段階となる細胞の変化を予防する効果が期待されています。一方で、ワクチンとの関連が疑われる症状が報告されているのも事実です。「不妊」については、現段階では、ワクチンとの関係性はわかっていません。正しい知識を得た上での対応が必要です。
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がんの前段階を予防するワクチン
子宮頸がんは、性行為を通じて、子宮頸部にヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスに数年から十数年といった長期に感染することで引き起こされることが分かっています。このことから、ヒトパピローマウイルスのウィルス様粒子(VLP)が含まれている子宮頸がんワクチンを接種して免疫を作ることで、子宮頸がんの発症を予防することが期待できます。
性活動をおこなう女性の50%以上が生涯で一度はヒトパピローマウィルスに感染するといわれているため、子宮頸がんワクチンを接種することで子宮頸がんの約半数は予防できると考えられています。
子宮頸がんワクチンは、子宮頸がん全体の50%~70%の原因といわれる16型ヒトパピローマウイルスと18型ヒトパピローマウイルスに予防効果があると言われていて、ワクチンを接種することで、16型HPVと18型HPVに感染することによってがんになる前段階でおこる異形成(細胞の異常)を90%以上予防し、その結果がんになる可能性を予防することができるのです。
少なくないワクチンとの関係が疑われる症状
子宮頸がんワクチンを接種することで指摘されている副反応で、50%以上に注射部位の痛み、発赤、腫れ、疲労感、10%から50%未満にかゆみ、腹痛、筋肉痛、関節痛、頭痛などがあります。また、1%から10%未満にじんま疹やめまい、発熱、注射部位のかゆみ、出血、1%未満に注射部位の知覚異常、しびれ、力が入らない、疲労感、注射部位が硬くなる、手足の痛みなどが指摘されています。
また非常にまれですが、呼吸困難などを起こすアナフィラキシーショックや両手足に力が入らないなどの症状がある末梢神経障害のギランバレー症候群、意識低下や頭痛、嘔吐を起こす急性散在性(さんざいせい)脳脊髄炎の発生の報告もあります。
ワクチンの不妊の関係は不明
子宮頸がんワクチンを接種すると不妊になるのではないかという指摘があり、子宮頸がんワクチンの中に含まれるアジュバント(免疫増強剤)が不妊の原因になる可能性が指摘されています。しかし、現段階で子宮頸がんワクチンによる不妊症の報告例はなく、関係性も証明されていません。もともと「海外でアジュバントを家畜に投与したことで不妊になった」という話から、不妊との関係性が指摘されるようになりましたが、家畜にどのくらいの量を何回、どんな形で投与したのかは分かっておらず、子宮頸がんワクチンの接種と同じように考えることはできません。子宮頸がんワクチンに含まれるアジュバントは微量で、3回接種程度で不妊になるとは考えられていません。しかし、まだ新しい薬であり、長期での臨床報告がないため、絶対に関係がないとも言い切れません。
不妊の3分の1は原因不明
不妊の原因となるのは主に排卵因子、卵管因子、子宮因子、頸管因子、免疫因子、男性因子に分類されます。排卵因子は、排卵障害による不妊で、過度なダイエットやストレスによる月経異常、多嚢胞性卵胞症候群、高プロラクチン血症による排卵障害があります。卵管因子は、卵管の閉塞や癒着によるものでクラミジア感染症、子宮内膜症、腹部の手術の経験などがあげられます。子宮因子は主に着床障害によるもので、原因には子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮奇形などがあります。
頸管因子は子宮頸管粘液の減少による精子の通過障害で頸部の手術や感染症、奇形などが原因です。免疫因子は免疫異常により抗精子抗体があり精子の通過や受精を妨げることでおこります。また、不妊症の約1/3は原因不明といわれており、何らかの原因で卵子と精子が受精できないことや、加齢による卵子の受精能力の低下が指摘されています。
若い女性が罹患する子宮頸がんワクチンと不妊の関係についてご紹介しました。もしかして子宮がんかもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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