「これは水虫の症状?」 臭い、痛い、痒くない、膿っぽい場合を解説 糖尿病の方の注意点とは?

  • 作成:2016/02/02

水虫かと思っていて、かゆみがない場合、別の皮膚の病気の可能性があります。また、水虫には臭いが伴うと考えている人も多いようですが、水虫の原因となる菌自体に臭いはなく、足の不潔な環境などが原因となりますので、注意が必要です。痛みや膿っぽい場合も含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

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「臭い」「痛い」は水虫?

水虫と間違われやすい病気とは?

水虫と間違われやすい皮膚疾患は、主に以下の3つがあります。

・なにかに接触して皮膚がかぶれる「接触性皮膚炎」
・水疱(水ぶくれのこと、なお「水泡」は誤字)や膿が溜まったようなブツブツができる「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」
・皮がむける「汗疱(かんぽう)」

いずれも足の指と指の間あるいは足の裏で症状がみられた場合、水虫だと勘違いし、水虫の市販薬を使用してしまうと逆に症状が悪化してしまうこともありますので自己判断には注意してください。

水虫同様かゆい接触性皮膚炎

「接触性皮膚炎」とは、アレルギー反応を起こすなんらかの物質に接触した際に生じる皮膚炎のことです。患部のかゆみ、赤みや湿疹を伴うため、足の裏にできた場合は水虫と間違われることがあります。

接触皮膚炎は、通常ステロイドを使用して治療します。素足に履物というスタイルは履物の接触皮膚炎を生じる原因となりますから、望ましいことではありません。また濡れた靴を履くことも同様です。

水虫の治療薬も時に接触皮膚炎を起こします。接触皮膚炎はアレルギー反応を起こす物質をつきとめて、原因物質を排除しなければ、完治しません。

水ぶくれができ、膿っぽい掌蹠膿疱症

「掌蹠膿疱症」とは、手足に膿疱(膿がつまっているように見えるブツブツ)が現れる無菌性の皮膚疾患で、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返します。ぶつぶつは膿がたまったように見え、膿っぽく見えることもあります。小さな水ぶくれを放置しておくとかさぶたになり角質がはがれ落ちます。

かゆみを伴うため、水虫と勘違いされやすく、診断には顕微鏡検査が必要になります。細菌によるものではなく、感染する皮膚疾患ではありません。患者の約70%から80%は原因不明といわれていますが、喫煙が大きな悪化因子です。ステロイドなどを使用しながら対症療法を継続的に実施します。

かゆみがないのは汗疱の場合も

「汗疱」とは、手のひらや手の指、足の裏に小さな水疱が多数現れる皮膚疾患です。発症の原因はまだわかっておらず、何度も再発します。かゆみがないのが特徴ですが、湿疹化するとかゆくなります。水疱は互いにくっつき、約2週間から3週間程度で角質がはがれ落ち治ります。見た目が水虫と似ているため間違われますが、感染する皮膚疾患ではありません。症状が悪化した場合にはステロイドが治療に用いられます。

水虫の菌に臭いはない

水虫になるとツーンとするような臭いがあると思われていますが、実は水虫が臭うのではなく、足が蒸れてしまって汗をかくために足から臭いが出ているのです。水虫の原因菌の白癬菌には臭いはありません。

足の裏には汗腺が密集しています。腋(わき)の下の汗腺は、「アポクリン腺」といって、汗といっしょに脂肪やタンパク質が出るため臭いが出やすくなっていますが、足の汗腺はアポクリン腺ではなくエクリン腺であるため、それほど臭いが出ない構造になっています。

ところが、汗をかいたときに足が臭くなるのは、同じ靴を長時間はくことによる靴の中での蒸れ、汗と汚れによる不潔な環境、そして雑菌の繁殖、の3つ要因が整うことで臭いが発生するからです。

足の裏では通常1日にコップ1杯分の汗をかいているといわれています。夏も冬も、靴の中で多量の汗をかくと、足の臭いが出る環境が整います。汗をたくさんかくと足には水虫が発生しやすい環境が整います。結果として、足の臭いと水虫はセットになっている場合が多くあります。

痛みを伴う水虫もある

水虫はかゆみだけでなく、痛みを伴うこともあります。「趾間型水虫(足の指の間にできるタイプ)」では、足の指と指の間の皮がむけすぎた場合、皮膚が傷つき、亀裂が入り、痛みがあります。傷口から細菌が入ると患部が腫れ、化膿し、痛みを伴います。傷から細菌が入ると「リンパ管炎」になることもあり、治療には抗生物質が用いられます。痛みがある場合、水虫の薬は塗らないようにしてください。

爪水虫の場合も痛みがあることがあります。具体的には、爪が分厚くなってしまうため、靴を履いたときに、爪が靴にあたるため痛みを伴います。

糖尿病の方は要注意

糖尿病では、神経や血流の障害があるため多くの合併症が起こります。糖尿病を患っている方が水虫を発症してしまった場合、糖尿病性壊疽(えそ)や潰瘍(かいよう)という重度の合併症を引き起こすことがあります。重症の壊疽は足の切断となることもありますから、糖尿病のある方で「水虫かな」と思った時には、皮膚科を受診することをおすすめします。



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水虫の症状と、臭い、痛みなどの関係についてご紹介しました。もしかして水虫かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?

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