点状角質融解症の原因、症状、治療 臭い?靴や靴下に要注意?

  • 作成:2016/05/30

「点状角質融解症(てんじょうかくしつゆうかいしょう)」とは、菌が原因となって、皮膚を溶かして、足の裏などに穴があいたような状態になる病気で、悪臭を伴うこともあります。原因や治療、靴や靴下の注意点を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は3分です

点状角質融解症とは

「点状角質融解症(てんじょうかくしつゆうかいしょう)」とは、細菌が繁殖して、足の裏の角質に点状のくぼみが多くできて、悪臭を伴う病気です。点状角質融解症は世界中で見られますが、熱帯や亜熱帯に多い病気です。温帯地域ではスポーツ選手、通気性の悪い靴を履く職業の人達に、雨が降る季節や高温になる夏によく見られます。若い男性に多い傾向がありますが、男女ともにかかります。高齢者の患者はあまり多くありません。日本語での病名が一般化していないため、「ピッティド・ケラトリシス」という英語の病名を告げられて困惑することもあるかも知れませんが、日常的に見られる疾患です。

点状角質融解症の原因は

点状角質融解症の原因は皮膚に住んでいる雑菌の過剰な増殖です。「コリネバクテリウム」「ミクロコッカス」「デルマトフィラス」などの細菌が、点状角質融解症の原因として見つかっています。これらの菌は、高温多湿を好み、汗をかいて皮膚が蒸れると増殖しやすくなります。増殖した菌は、「酵素」を分泌します。この酵素が皮膚の角質層を溶かして、それが点状のくぼみとなって現れることになります。

>点状角質融解症の症状

点状角質融解症では、足の裏の角質がふやけたようになり、直径0.5ミリから7ミリくらいの浅いくぼみが多数できます。見た目は水虫に似ていますが、水虫は左右のどちらかの足に症状が始まることがほとんどですが、点状角質融解症では多くの場合、両方の足の裏に同じように症状が出て、悪臭があります。点状角質融解症は土踏まずにはできにくく、立った時に床に当たる部分(荷重部)に現れます。くぼみ同士がやがてくっついて、数センチほどのくぼみになることもあります。お風呂などに入るとくぼみはよりわかりやすくなります。足の裏にひどく汗をかき、ぬるぬるとした感触で不快感があります。通常かゆみはありませんが、歩くと擦れて痛みを伴うことがあります。点状角質融解症は水虫と誤解されることが多いので、点状角質融解症が疑われる場合は、皮膚科を受診するのがよいでしょう。

>ひどい臭いを伴うことも

足の裏のひどい臭いが気になって受診したときに、点状角質融解症が見つかることがあります。足の裏に繁殖した菌の酵素が、角質を分解すると、「ロイシン」というアミノ酸を作ります。ロイシンは「イソ吉草酸」という物資のもとになるのですが、イソ吉草酸は悪臭を放つ物質で、濃度が高くなるほど、悪臭が増します。

点状角質融解症の治療

点状角質融解症の治療には、原因となる菌を抑えるための塗り薬が処方されます。一般には、「ゲンタシン」や「アクアチム」となどの抗生物質を含む塗り薬や、雑菌にも有効な「イミダゾール系」と呼ばれる抗真菌剤で治療します。なお抗生物質を連続して使用し続けると薬の効かない耐性菌ができることがありますから、足が蒸れないように対策を取ることが大切です。

靴や靴下にも注意を

菌は高温で多湿になると繁殖を始めるので、通気性の悪い靴は避けましょう。できれば、サンダルや、つま先の開いた靴のほうが蒸れにくいです。足をいつも清潔に保つように心がけ、毎日、石鹸や抗菌剤を含む洗浄剤で足を丁寧に洗いましょう。足を拭いたバスタオルやマットなどを共用にするのは控えましょう。

靴下は化繊素材ではなく、吸湿性のよい綿で出来た物のほうが蒸れにくいでしょう。使用した靴下は、洗濯してよく乾かしてください。汗をかくと菌が増える原因になるので、制汗剤を足の裏に使用することもあります。靴下は清潔なものを履き、頻繁に変えるとよいでしょう。また同じ靴を毎日履かないようにして、菌の感染を抑えるようにしましょう。

靴や靴下を含めた注意点を守り、処方された薬で治療すれば数週間ほどで症状は改善します。ただし足が蒸れないようにする対策がうまくできていない場合には、再発することもあります。

点状角質融解症についてご紹介しました。足の裏の症状に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

病気・症状名から記事を探す

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行

協力医師紹介

アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。

記事・セミナーの協力医師

Q&Aの協力医師

内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。

Q&A協力医師一覧へ

今すぐ医師に相談できます

  • 最短5分で回答

  • 平均5人が回答

  • 50以上の診療科の医師