血尿の検査 血尿スケールの概要、肉眼以外の確認方法を解説

  • 作成:2016/01/22

血尿には、多様な病気が隠れていますので、その検査方法も多様です。「尿細胞診」とはがん細胞の有無を調べる検査、「血尿スケール」は医療者の間で色の表現を統一した基準です。検査の意味合いや色についての医療者の捉え方などを、医師監修記事でわかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は3分です

医療スタッフ

血尿が出たら放置しないで

血尿とは尿に血液が混じっている状態のことで、「肉眼的血尿」と「顕微鏡的血尿」の2つに分けられます。肉眼的血尿とは、目で見て分かるくらいの血尿のことで鮮血色やコーラ色の尿と表現されることがあります。顕微鏡的血尿は、病院で顕微鏡で確認しないと分からない血尿のことです。

血尿が出る原因は、腎臓や膀胱、前立腺がんなどの泌尿器系がん、膀胱炎や前立腺炎などの感染症、尿路結石症、腎臓自体に病気が起きる腎炎、またまれですが前立腺肥大症なども考えられます。女性で血尿を起こす病気で多いものは膀胱炎と言われており、尿道から膀胱に大腸菌などの細菌が侵入して炎症を起こし、血尿だけでなく、排尿時の痛みや違和感、残尿感などの症状を伴います。高齢の男性に多い血尿の原因は泌尿器系のがんと言われています。膀胱がんの85%は血尿で発見されるという報告もあります。男性、女性共に肉眼的血尿を自覚したり、健診などで血尿を指摘されたら放置しないで精密検査を行うことが大切です。

検査は2種類 試験紙はどのようなもの?

血尿の検査方法には、試験紙で確認する方法と顕微鏡で確認する方法があります。試験紙法は、試験紙を尿につければすぐに検査できる方法で、尿中のヘモグロビン(血液の1成分)の化学変化を利用しています。健康診断などで行われる最も簡単な方法で、市販でも試験紙を手に入れることができます。試験紙が尿中のヘモグロビンと反応した場合には、「尿潜血陽性」と診断されます。

顕微鏡で使う検査はどんなもの?

健康診断で「尿潜血陽性」となり、精密検査が必要と判断された場合には、病院で「尿沈渣」を調べます。尿沈渣とは、尿を遠心して一番下に沈んでいるもののことで、その中に赤血球が含まれているかを顕微鏡で調べます。尿沈渣の検査結果は、顕微鏡で見た1視野に何個の赤血球が含まれているかで診断します。尿沈渣法で5個以上の赤血球が含まれている時に、「陽性」と考えます。

尿細胞診はがん細胞を調べる検査

血尿があると診断された時には、蛋白尿の有無や尿細胞診、腎臓や膀胱の超音波検査などを一緒に行うことが多いです。腎炎の時には、蛋白を含む尿、足や手のむくみ、高血圧などの症状を伴うことがあります。また、血尿で最も見逃してはいけないのが泌尿器系のがんです。尿細胞診は、尿中に膀胱がんや腎臓がん由来のがん細胞がないかを確認する検査です。専門の病理医が診断することが多いので、一般的な血尿の検査よりも時間がかかります。ただし、尿細胞診だけではがんが見逃されてしまうこともあるので、医師が必要と判断した時には尿道からカメラを入れて直接膀胱内を観察できる膀胱鏡検査やCT、 MRIなどの精密検査を追加することがあります。

血尿スケールは色の”統一基準”

血尿の色の表現の仕方は人によってそれぞれで、それは医師や看護師などの医療関係者も同様です。「淡血性」「鮮血色」「コーラ色」「トマト色」「紅茶色」「暗赤色」など主観で表現することもあります。しかし、入院中の患者さんで持続的に血尿が出るような病気の方の状態を的確に判断するためには、統一したスケールが必要です。そのために、各病院では「血尿スケール」といって、それぞれ5段階や、6段階などに分けて血尿の色をすぐに識別できるようにしていることがあります。

持続的に血尿が出る病気の場合は、尿道カテーテルを挿入していることも多いのですが、濃い色の血尿が出ている状態で放置しているとカテーテルが血のかたまりなどで詰まりやすくなり、炎症を起こす原因になります。このようなことを防ぎ、状態の変化にもすぐに気付けるように作成されたものが血尿スケールです。

血尿の検査や血尿スケールについてご紹介しました。尿の色に不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?

血尿に関連する他の記事は、以下のリンクからどうぞ
血尿に関する記事一覧

病気・症状名から記事を探す

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行

協力医師紹介

アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。

記事・セミナーの協力医師

Q&Aの協力医師

内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。

Q&A協力医師一覧へ

今すぐ医師に相談できます

  • 最短5分で回答

  • 平均5人が回答

  • 50以上の診療科の医師