救急車の費用 有料化検討中?お金をとられる場合とは?1台動くといくらかかる?
- 作成:2016/01/29
救急車の出動件数は、毎年増加しつつあります。日本の救急車は基本的に無料ですが、あきらかに必要でないケースの場合、料金を徴収されることがあります。救急車でお金を徴収されるメカニズムや有料化の議論を、医師監修の記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
日本の救急車の費用や利用料金は基本無料
総務省消防庁の2015年版の救急救助の現況によれば、2014年中の全国の救急自動車(救急車の正式名です)による救急出動件数は、598万4921件(前年比1.2%増)、搬送人員は540万5917人(前年比1.1%増)で件数、人数ともに過去最高を更新しています。
このうち東京都の出動件数は、76万1987件ですが、2009年の件数と比較すると、14.8%の増加がみられます。行政では救急車のコストとして、「出動一件当たりの費用」が使用されています。救急事業にかかった人件費と、その他費用を足し合わせたものを、救急車の出動件数で割ったもので、東京消防庁のデータでは、約4万5千円の費用が出動1件にかかっています。
救急車による救急業務は交通事故への対応が、その始まりであったようです。また当初は、業務の性格としては、災害や公共の場での事故への対応が主であったために、「救急業務の実施に要した費用は患者から徴収しない」としていました。当時、個人が私的に救急車を呼んで利用するということは、ほとんどなかったわけですが、現在でも、救急車の利用料金は無料になっています。
「緊急度がない」と判断した場合、お金がかかるケースも
「初期の診療は地域の医院や診療所で行い、高度で専門的な医療は病院(ベッド数が200床以上)で行う」という、医療機関の機能分担の推進を目的とした「選定療養」の制度が厚生労働省により制定されています。
選定療養では、「(ベッド数が)200床以上の病院は、他院からの紹介なしの患者さんから初診にかかわる特別の料金を徴収できるが、緊急その他やむを得ない事情がある場合を除く」という旨になっています。
救急車で来院し救急診療を受けた方は、すべて対象外としている病院もありますが、病院の医師が緊急度のない軽症と判断した場合、選定療養の料金を請求されることがあります。救急車は基本的に無料ですが、病院に対してお金がかかることになります。病院によって値段設定はさまざまで、2013年のデータでは最高8400円、最低105円、平2130円です。
救急車の有料化を国は検討している
財務省は、2015年5月中旬に行われた国の財政の在り方について検討する財政制度等審議会において、地方財政における行政サービスの効率化の1つとして「救急出動の一部有料化」を提案しています。
内容は、(1)救急車の出動件数は10年間で20%増加し、今後も増大が予想されること、(2)搬送者のうち半数が軽症という現状を放置すれば、真に緊急を要する傷病者への対応が遅れ、救命に影響が出かねないこと、(3)諸外国でも救急出動を有料としている例があること、(4)救急需要対策を講じてもなお十分でない場合には、諸外国(フランス等)の例も参考に、例えば、軽症の場合の有料化などを検討すること、となっています。
救急車有料化検討の背景とは?
国が救急車の有料化を検討する最大の理由は、救急出動件数(半数は軽症例)の抑制ということです。有料化すれば緊急度の低い軽症の患者さんが救急車の利用を控えるようになり、本来搬送が必要な重篤な患者さんへの対応がしやすくなると考えるからです。
確かに、誰にでもわかるような軽症な場合にも実際に救急車が呼ばれた実例が、消防庁の救急車利用マニュアルに挙げられています。「蚊に刺されてかゆい」、「海水浴に行って、日焼けした足がヒリヒリする」、「紙で指先を切った。血は止まっているが・・・」などです。
また症状に緊急性がなくても、タクシー代わりに救急車を呼ぶ人もいるようです。実例としては「病院でもらった薬がなくなった」、「今日入院予定日だから、病院に行きたい」、「ヘルパーを呼んだが来てくれなかったので、代わりに救急車を呼んだ」などで、便利だから、困っているからといった理由のものです。このような実情からも救急車有料化、特に軽症例での有料化が必要となる可能性があります。
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救急車の有料化の問題についてご紹介しました。救急車を呼んでよいかどうかの疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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