心筋梗塞・狭心症の前触れは?心臓以外にも現れる「見落とせないサイン」

  • 作成:2021/08/26

虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)は、心臓を動かすための栄養を送る血管が詰まり、全身に血液を送れなくなる病気です。詰まる場所によって様々な症状が現れますが、一度で死に至ることもある危険な病気です。

アスクドクターズ監修ライター アスクドクターズ監修ライター

この記事の目安時間は3分です

心筋梗塞・狭心症は予防できる?前触れはあるの?見落とせないサインは

ライフスタイルの変化で増えた虚血性心疾患

日本人の死因の第一位はがんですが、それに次いで多いのが心臓の病気です。なかでも虚血性心疾患は、近年増加傾向にあります。虚血性心疾患の要因としては、加齢や遺伝、そしてライフスタイルの変化があげられます。
虚血性心疾患は、心臓の血管(冠動脈)を詰まらせることで起こりますが、その詰まりの原因は“動脈硬化”です。動脈硬化は突然起こるわけではなく、数年をかけて血液中に余分な脂肪がたまり、血管の内側の壁にプラークという塊を作り、それがコブとなって血流を妨げるのです。この動脈硬化を招く最大の原因が、ライフスタイルの変化です。

日本人の食生活は、低カロリー・低脂肪から、欧米のように高カロリー・高脂肪へと変化しました。これによりコレステロール値は増加、余った脂肪が血管でプラークとなります。さらに、車での移動やエスカレーターなど近代化で運動量は減少、情報化社会のなかではストレスも大きな問題です。

ただ、ライフスタイルに大きな原因があるのなら、虚血性心疾患は予防することもできるということ。粗食とまではいかないまでも、カロリーや脂肪、塩分に気をつけて摂る量を加減する。エスカレーターは使わず階段にする。ストレスはあると感じたら発散し、ためないようにする。これらのことを心がければ虚血性心疾患にかかるリスクを大幅に減らすことができます。また、喫煙は血流を悪くするので、心臓を守るためには禁煙することも必要です。

虚血性心疾患から身を守る見落とせないサイン

動悸や息切れ、胸の痛みなどはわかりやすいサインですが、まれに心臓以外にも異変が現れることがあります。たとえば、肩が痛い・肩が凝る、背中が痛い、みぞおちが痛む、声がかすれる、奥歯が痛い、手足がむくむなど。これらは放散痛といい、心臓とは関係ないと思われる部分に現れる症状で、特に、左腕や左肩に痛みが出るケースが多くあります。いつもと違う肩凝りや、長引く歯痛の場合には、心臓に異常が隠れているかもしれませんので、早期の専門医受診をおすすめします。

また、痛みが出る前や心臓に負担がかかる前に、定期健康診断で肥満ではないか、血圧は正常か、コレステロール値は高くないか、血糖値は高くないかなどをチェックすることも大切です。40歳をすぎるとリスクも高くなってきますから、十分な健康管理が必要です。

いざという時にはAEDで救命できる

AED(自動体外式除細動器)は、心臓がけいれんを起こして全身に血液を送れなくなった時(心室細動や心室頻拍)、心臓に電気ショックを与えて心臓のリズムを正常に戻すための医療機器です。以前は医療従事者でなければ使えませんでしたが、2004年から一般に使うことが認められるようになり、今では公共機関をはじめとして、多くの施設でAEDが設置されています。
使用制限が緩和され多くの施設に設置された理由は、救命率を上げるためです。心停止してからの救命率は1分ごとに7〜10%低下するといわれています。令和2年の総務省の調査では、救急車が到着するまでの時間は平均およそ8.7分。
救急車到着までの間に心臓マッサージと人工呼吸に加えて、AEDを使い心肺蘇生を行えば、救命率は上がります(下図参照)。特に倒れた瞬間に近くの人が心肺蘇生を行った場合の救命率が高くなります。

心肺停止のなかには電気ショックが適応しない場合もありますが、その判断は自動でAEDが行ってくれるので心配することはありません。たとえ妊婦に対してでも使用可能です。音声ガイドや液晶表示、AEDのケースに使用方法の図などの解説もありますから、いざというときにはAEDを積極的に活用したいものです。
なお、子どもの場合は心臓が小さいので、まず人工呼吸をして救急車を手配し、その際に AEDの使用について確認をとることをおすすめします。

一般市民により 除細動(AED)が実施された件数の推移

心筋梗塞・狭心症は予防できる?前触れはあるの?見落とせないサインは

青の棒グラフ:全症例のうち一般市民により除細動が実施された件数
オレンジの棒グラフ:一般市民により心肺機能停止の時点が目撃された心原性の心肺停止症例のうち、一般市民により除細動が実施された件数
赤の折れ線グラフ:一般市民により心肺機能停止の時点が目撃された心原性の心肺停止症例のうち、一般市民により除細動が実施された症例の1か月後の生存率
青の折れ線グラフ:一般市民により心肺機能停止の時点が目撃された心原性の心肺停止症例のうち、一般市民により除細動が実施された症例の1か月後の社会復帰率
(東日本大震災の影響により、平成22年及び平成23年の釜石大槌地区行政事務組合消防本部及び陸前高田市消防本部のデータは除いた数値により集計)
総務省消防庁のホームページより引用

<参考サイト>

公益財団法人日本心臓財団
国立循環器病研究センター病院
公益財団法人心臓血管研究所付属病院
公益財団法人長寿科学振興財団
総務省消防庁
東京消防庁

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