痛風の合併症と治療 尿路結石?痛風腎?メタボも関係?

  • 作成:2016/01/25

痛風患者には、こぶのようなものができる「痛風結節」以外にも、尿路結石や痛風腎といった合併症が起きることがあります。メタボリックシンドロームとの関係や、合併症で危険性、治療を含めて、医師の監修記事でわかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は3分です

背中や腰に激痛が起きる尿路結石

痛風を放置したことによりこぶのようなものができる「痛風結節」も、1つの痛風合併症と言えますが、他にも痛風には注意すべき合併症がいくつかあります。

1つは尿路結石です。尿路結石にはいくつかの種類がありますが、痛風の際にできやすいものは「尿酸結石」と呼ばれる種類のものです。これは、尿中に排泄された尿酸が結晶化したもので、最終的に石となって尿の通り道をふさいでしまいます。

「腎臓結石(腎臓に石ができた状態)」では痛みがなく無症状のこともありますが、それ以外の尿路結石(尿管結石、尿道結石)では背中から腰にかけて激しい痛みが生じ、背中を軽くたたいても痛みが響いたり、血尿や冷や汗などもみられます。

尿酸結石を生じた場合にはまず薬による治療を試みます。尿をアルカリ性にする薬(クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム配合剤)と尿酸生成抑制薬(アロプリノール)を使って、結石をとかします。薬で改善がみられない場合には、「体外衝撃波結石破砕術」といって超音波を結石部分に当てて石を砕く治療法が、優先的に選択されます。この治療は外科的に身体を傷つけるような治療ではないので、患者さんへの負担は比較的少なく済みます。その他、外科的に結石を取り出す方法として「経尿道的尿管破砕術」と呼ばれる方法もあります。

14%に起きる痛風腎

2つ目は腎機能障害で、「痛風腎」と呼ばれるものです。痛風の発作の原因ともなる「尿酸ナトリウム」と呼ばれる物質の結晶が、腎臓に沈着し腎臓の機能が低下したものです。痛風患者のおよそ14%にみられ、痛風と合併しやすい高血圧との相互作用により、最終的には末期の腎不全(腎臓の機能が失われた状態)に至ることもあります。痛風腎は透析導入患者のうちおよそ1%を占めています。

治療としては、痛風発作のもととなる「高尿酸血症」と同様に、尿酸生成抑制薬の「アロプリノール」と尿のアルカリ化を行いつつ、食事による治療を試みます。また、尿酸を排泄する上では水分を多く摂取することも大切です。腎不全に至ってしまった場合は除きますが、1日2リットル程度の摂取がすすめられています。

メタボリックシンドロームも

その他の合併症としては、いわゆるメタボリックシンドロームと総称されている高血圧、高血糖、脂質異常などが挙げられます。尿酸が血圧を上げるわけではありませんが、腎機能悪化といった背景から、痛風患者には高血圧が起きる割合も多いです。また、高血糖による「インスリン抵抗性(インスリンがしっかり働かない状態)」は腎臓の排泄能力をも低下させてしまいます。また、中性脂肪と尿酸値についても相関が認められており、メタボリックシンドロームとも痛風は密接に関わっていると言えます。

痛風の合併症についご紹介しました。もしかして痛風かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるようなささいなことでも結構ですので、気軽にご活用されてください。

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