糖尿病合併症の神経障害 治療は?死にいたる可能性も
- 作成:2016/04/28
糖尿病による神経障害は、他の糖尿病の合併症に比べて、比較的早い時期に起きる特徴があります。神経の麻痺(まひ)などが起きて、死につながる可能性もあります。治療の概要や死にいたるリスクについて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
三大合併症の1つ神経障害の症状
糖尿病は血糖値が高くなることによって神経や血管に障害が出て、全身に様々な症状を起こします。その中で、「糖尿病性神経障害」「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」は三大合併症と呼ばれています。
糖尿病性網膜症と糖尿病性腎症は5年から10年経過してから発症することが多く、初期にはほとんど症状が出ないことに比べ、神経障害は糖尿病発症の比較的初期に起こり、様々な自覚症状が出ます。
症状の出方は「多発性神経障害」「自律神経障害」「単一性神経障害」といった神経障害の程度によって違います。最も多いのは「多発性神経障害」で、手足のしびれや麻痺(まひ)、違和感、浮遊感だけでなく、進行すると常に痛みを感じるようになります。両側の手や足の同じ部分に症状が出るという特徴があります。
自律神経は血圧や発汗、内臓のはたらきをコントロールしている神経なので、自律神経障害では不整脈、発汗の異常、下痢や便秘、起立性低血圧によるめまいや立ちくらみ、勃起障害などの症状が出ます。単一性神経障害では、神経に栄養を送っている細い血管がつまることにより症状が出ます。例えば顔面神経麻痺などのように顔の一部が麻痺して動かなくなることがあります。
神経障害はどれくらいの人に起こる?
三大合併症は糖尿病患者の約10%に発症すると言われていますが、その中でも神経障害は頻度が比較的高いとわかっています。糖尿病性神経障害は血糖コントロールの悪い人に起きやすく、初期の場合には血糖値を厳密にコントロールすると改善することもあります。ただし改善には1年以上かかることもあるため、根気よく治療を続けることが大切です。
神経障害の治療はどうする?
糖尿病性神経障害は、神経に「ソルビトール」と呼ばれる糖代謝の障害によって生じた物質がたまることによって症状が起こるため、ソルビトールを減少させる薬剤やすでに生じている症状を緩和する薬剤によって治療します。しかし何よりも血糖の厳格なコントロールが重要と言われています。
神経障害になった際の予後
糖尿病性神経障害が悪化すると命に関わる可能性もある病気を起こすことがあります。神経障害が進行すると完全に麻痺して痛みや熱さを感じなくなります。その結果、けがや靴擦れ、火傷などに気づかず、そこから最近などが感染して、足が腐って壊疽(壊死)を起こすことがあります。壊疽をきっかけに全身に細菌が回ってしまうと敗血症を起こしショックとなり命を落とすこともあります。また心筋梗塞や狭心症を発症した時に、健常な人では感じるはずの強い胸痛を自覚できず、気付いた時には心機能が低下、または心不全を起こしていることがあります。
神経障害によって無自覚の低血糖による意識障害や致命的な不整脈、呼吸停止を起こしやすくなり、突然死の危険性も増大します。激痛により睡眠不足を引き起こし、うつ病になることもあります。
糖尿病による神経障害についてご紹介しました。糖尿病に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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