双角子宮とは?治療できる?流産や出産のリスクあり?
- 作成:2016/05/06
双角子宮とは、子宮の奇形の1種類です。先天性の病気のため予防する方法はありませんが、手術は可能です。また、流産や早産の原因となることでも知られています。原因や治療などについて、専門の医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
双角子宮の原因と症状
「双角子宮」とは、子宮の形状や構造が通常とは違う「子宮奇形」の一種です。双角子宮では、子宮の形状が緩やかな球状ではなく、ハートのような形になります。双角子宮と呼ばれるのは、子宮の形状が子宮の左右に角がついているようにも見えるからです。
さらに、双角子宮には内部の形状によって、子宮の入り口が二つあるケースと一つだけのケースに分けられます。子宮の入り口が一つだけのケースでは、内部に「中隔」といって壁のようになっている部分があります。一方、入り口が二つあるケースでは、胎児が育つ部屋が二つに分かれているのが特徴です。双角子宮が起こる原因としては、胎児の時期に左右の「ミュラー管」という部分がくっついて子宮ができるはずが、くっつくプロセスが中途半端な段階で止まってしまうことが考えられています。通常自覚症状はないため、多くの女性が妊娠を機に、あるいは不妊症の治療で検査をするまで気づきません。人によっては、月経時の異常や性交の際などに異変に気づくということもあるようです。
双角子宮の妊娠・出産・胎児への影響
双角子宮が原因で不妊になるというケースはあまりありません。しかし、流産や早産になる確率が40%近くと高いことや、出産が困難になるケースが多いため、双角子宮の影響は無視できません。子宮内部のとがっている部分に着床すると正常に成長できなくなりますし、胎児が無事に成長できたとしても、出産時に胎児が正常に産道を通過できないということも多く、帝王切開による出産も考えておかなければならないでしょう。
双角子宮では出産時のトラブルが増えるのに加え、個人差はあるものの早産や流産が起こる可能性が高まるというリスクがあります。「双角子宮」といっても、皆が同じ形状というわけではありませんし、普通の子宮と同じように妊娠・出産するケースも多く見られるため、すぐに治療しなければいけないということではありません。具体的な問題が出るまでは、あまり気にせずに生活するのが一番です。
一方、胎児への影響ですが、双角子宮はあくまで子宮の形状が普通とは違うというだけですので、胎児が奇形になりやすくなるとか先天性の病気になりやすいということはありません。胎児自身への影響を心配する必要はないものの、早産や流産が増える可能性がある状態だと考えると良いでしょう。
双角子宮の治療 予防は難しい
双角子宮は先天性の子宮奇形ですので、発生を予防する方法はありません。しかし、手術によって治療することは可能です。双角子宮では、子宮内部にY字状に中央に突出している部分ができてしまうのが問題ですので、子宮成形手術ではこれを除去することになります。手術後には、子宮内部の形状は通常と同じような形になります。したがって、流産や早産のリスクが減りますが、一方で子宮内部の筋肉を大きく削ることになるため、出産時にきちんと胎児を出産できなくなる可能性があります。そのため、帝王切開による出産が前提となることがあります。
双角子宮の治療はメリットだけではなくリスクもあるため、手術治療を受ける必要があるのは、双角子宮が原因とみられる早産や流産を繰り返しているか、不妊症の原因が双角子宮にあると判断されたケースに限られています。
双角子宮は何科で診てもらう? 再発の可能性は?
双角子宮は、産婦人科で診てもらうことになります。基本的には妊娠時などの検査で発見されますが、産婦人科以外で腎臓などの下腹部のMRI検査をした際に双角子宮が発見されることもあります。
なお、手術後に子宮の形状が変化して再び双角子宮になるということはありません。
双角子宮の原因や影響、治療などについてご紹介しました。もしかして双角子宮かもしれないと不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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