子宮頸管無力症の原因、症状、治療 早産や流産の危険?
- 作成:2016/02/22
子宮頸管無力症とは、通常閉じている子宮頸管が空いている状態になってしまう病気のことです。早産や流産につながる上、再発する可能性もある病気です。どのような病気で、どのような治療をするのかを、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
子宮頸管無力症の症状と原因
「子宮頸管(しきゅうけいかん)」とは、子宮の出口に繋がっている管状の部分です。出産の際、赤ちゃんはこの子宮頸管を通って外へ出てきます。
健全な子宮頸管は通常時ぴったりと閉じていて、陣痛によって子宮が強い収縮を起こしたときのみに開く仕組みです。しかし、子宮頸管無力症の人は子宮頸管を閉じる力が弱く、お腹の中の赤ちゃんが大きくなってくると子宮頸管が少しずつ開いてしまい、流産や早産を引き起こします。
子宮頸管無力症の原因は、生まれつき子宮頸管が弱いことや、過去の妊娠・出産による裂傷(裂けてできた傷)、子宮頸管の手術の経験などが挙げられます。
赤ちゃんと出産への影響は?
子宮頸管無力症をそのままにしておくと、「胎胞(たいほう)」と呼ばれる赤ちゃんを包む卵膜の袋が子宮の外へ出てしまいます。また、子宮が赤ちゃんや羊水の重さを支えきれず、出産予定日よりずっと早い時期に破水し分娩が始まることもあります。
いずれのケースも妊娠状態を維持できず、早産や流産を起こします。放置しておくと赤ちゃんの生命に関わる可能性があるため、子宮頸管無力症が分かれば早急に対処しなければいけません。
子宮頸管無力症の治療法
妊娠中の検査で子宮頸管無力症が見つかった場合は、子宮頸管をしばって分娩時まで開かないようにする手術を行います。手術は妊娠初期から中期のうちに行い、正期産(妊娠37週から41週まで)に入るまで子宮頸管を固定したまま過ごします。赤ちゃんの成長が順調で、赤ちゃんが出産しても問題がないと判断されれば、子宮頸管を縛っている糸を解き、出産に備えます。糸を解く手術を行うと、早ければ当日中から数日以内には分娩が始まることが多いです。
手術方法には、子宮頸管の子宮に近い部分を縫う「シロッカー法」と、子宮頸管の膣に近い部分を縫う「マクドナルド法」の2種類があります。どちらの方式も、帝王切開術でもよく使われている、下半身だけに効果のある脊椎麻酔を用いて行うのが一般的です。子宮頸管の固定には、糸以外にも医療用テープが使われることもあります。
子宮頸管無力症はくりかえしやすい?予防法は?
過去の妊娠で子宮頸管無力症が見られた人は、ほとんどの場合次に妊娠した時にも症状が現れ、流産や早産のリスクが高まります。予防として、子宮頸管が開かないよう固定する手術を先駆けて受けることが有効です。
子宮頸管が開いていると、子宮内に細菌が入り込み炎症を起こしやすい状態になります。流産や早産を防ぐとともに細菌感染も予防しなくてはならないため、子宮頸管の開きが大きくなる前に手術を受けることが大切です。
子宮頸管無力症は、早ければ妊娠15週頃から超音波検査で発見することができます。妊娠中は定期的にしっかりと健診を受け、子宮頸管無力症や他の病気などを早期に見つけられるようにしましょう。
子宮頸管無力症について影響や症状などをご紹介しました。もしかして子宮頸管無力症かもしれないと不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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