蒙古斑とは?どこに出る?「消えない」「大人の蒙古斑」はOK?
- 作成:2016/02/23
蒙古斑は、少なくない赤ちゃんに見られる症状です。大人になっても消えない人もいますが、体に大きな影響はありませんが、別の病気を見間違えないようにする必要があります。蒙古斑の治療も含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
蒙古斑っていったい何?原因は?
「蒙古斑(もうこはん)」とは、生まれたときから皮膚にある母斑(ぼはん)の一種です。母斑というのは、遺伝的あるいは胎生(子宮内にいる時期)的素因にもとづき、生涯の様々な時期に出現し、極めて少しずつ出て、かつ色調あるいは形の異常を主体とする、限局性の皮膚の奇形といわれています。
色は、青色、青灰色、青黒、茶色などが見られています。発生する箇所は、お尻や背中などです。大きさ、形、数などは人によって様々です。感触は、皮膚が盛り上がるようなことはなく、平らなままです。
蒙古斑ができる原因は、胎生期の「真皮メラノサイト」と呼ばれる細胞の残存と考えられています。医学的には、神経堤(脊椎動物に特有で、神経管形成後に発生し、外胚葉上皮と接する部分)が移動し、神経節やメラニン細胞などに分化してゆく際に受ける刺激によって発生していると考えられています。
いつまでに消える?大人になっても消えないことや、もともとない人もいる?
通常、蒙古斑は3歳から5歳になると自然に消えてなくなりますが、約3%の人では成人になっても蒙古斑が残っています。残り方は、そのままの場合もありますが、少し小さく薄くなることもあります。
蒙古斑は残っていても健康に害はなく、病気あるいは細胞に異常があるわけでもないため、そのまま放置しておいても問題はありません。蒙古斑はアジア系民族や黄色人種に多くみられており、統計ではアジア系民族では約90%から95%、ネイティブアメリカンでは約80%から85%、ポリネシアンでは約80%、黒人では約80%から90%、そして白人では約5%から10%程度の人が蒙古斑をもって生まれてきています。このように、蒙古斑は人種や地域に傾向特徴があります。
生まれてくるすべての人に蒙古斑があるわけではありませんので、お子さんに蒙古斑があってもなくても、あまり心配する必要はありません。
異所性蒙古斑?背中、足、腕に出る場合もある?
「異所性蒙古斑」とは、名前の通り通常の蒙古斑ができるお尻や背中以外の場所で蒙古斑がみられるものです。異所性蒙古斑も通常のものと同様に、約5歳から6歳までには、遅くても成人になるまでには消えてなくなるといわれているため治療の必要はありません。しかし、異所性蒙古斑は通常の蒙古斑よりも消滅しにくいといわれており、また露出部にできることが多く人目が気になる場合もあるため、精神的な負担になることがあります。
異所性蒙古斑ができる場所は、顔面、お腹、四肢、手足などです。注意したいのは、異所性蒙古斑だと思っていても、「青色母斑」の可能性がある場合です。蒙古斑と異所性蒙古斑は真皮中から下層までばらばらに分布していますが、青色母斑は、真皮(表皮に近いほう)から皮下組織(一番深いところ)までメラノサイトが増殖しています。感触もやや膨らんでいることもあり、四肢、顔面、頭部、手足、背中、お尻に発生しますが、大きさは小さく1センチ以下がほとんどです。色は青色や黒青色で、成人の約3%が青色母斑をもっているといわれています。この青色母斑は、なかなか消えることがなく、時に悪性化するといわれています。悪性黒色腫(皮膚がんの一種)との鑑別が必要になるため、専門家の診察を受けなければなりません。
消えないままだと、何か問題がある?治療が必要?
蒙古斑は放置しておいても問題ありません。蒙古斑が成人になっても消えない、あるいは広範囲に広がっているため気になるような人は治療を受けることもできます。また、異所性蒙古斑の人も露出部分にできていて人目が気になる場合には治療を受けることができます。
現在、蒙古斑と異所性蒙古斑の治療には、「Qスイッチルビーレーザー」「ヤグレーザー」「アレキサンドライトレーザー」などと呼ばれるレーザー照射が用いられています。治療はレーザーを照射するため痛みを伴います。治療では、あざやしみが完全に消えてなくなるというケースばかりではなく、色素沈着や色素脱色を起こすこともあります。
治療期間の目安は、場所や色の濃さなどによって異なり、1度だけの場合、あるいは数回実施される場合にわかれています。レーザー照射の後は、紫外線を避けるなど対策が必要になります。レーザー治療は形成外科で受ける場合が多いようです。また異所性蒙古斑の治療には健康保険が適用されます(通常の蒙古斑には適用されません)ので自己負担は費用の3割です。
蒙古斑の原因や治療についてご紹介しました。もしかして蒙古斑かもしれないと不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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