ギランバレー症候群の予後、後遺症、再発可能性 リハビリの効果は?完治する?後遺症が残りやすい場合とは?

  • 作成:2016/08/22

ギランバレー症候群は、治療の見通しが比較的良いとされていますが、低くない確率で、歩行に影響が出るなどの後遺症が残ります。どのような場合に後遺症がでやすいのかや、リハビリの概要などについて、医師監修記事でわかりやすく解説します。

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ギランバレー症候群の予後 後遺症は?

ギランバレー症候群では発症から半年以内に自然回復する例がほとんどで、一般的に予後(治療後の見通し)は良好とされています。しかし、後遺症を残したり、死亡したりすることも稀(まれ)ではありません。日本における平成12 年のギランバレー症候群全国調査の結果では、筋力が低下したままで歩行困難になったりする独歩不能例(6%)、生活に支障のある後遺症を残した例(22%)がみとめられています。また、欧米では4から15%、日本では1%が死亡すると報告されています。

10の前向き研究(発症した方の病気の経過を調べる研究)を解析した報告では、免疫治療(重症例に対し)を行っても、16%は発症から1年経っても介助なしでは歩くことができず(独歩不能)、筋力が完全に回復したとされる例は、発症後1年で約60%となっています。一見すると回復したように見えても、発症前より疲れやすくなった、全力で走ることができないなど、完全な回復に至らない症例も多く見られます。

一方、最近の非常に長期の予後を検討した報告によれば,発症して10 年後の独歩不能例は29 例のうち3 例(10%)であり、興味深いことに発症から2 年を超えても4 例(14%)に運動障害の改善がみられています。つまり、時間が経過するにつれて、改善する可能性が考えられます。一般に子供の予後は成人よりは良いようですが、個人差が大きいといわれています。

ギランバレー症候群 リハビリが必要?

ギランバレー症候群はおもに運動機能に後遺症が残すことがあるため、リハビリテーションによる機能回復による予後の改善が期待されます。ただし、長期的な視野で行う必要があります。リハビリテーションは決まったプログラムがあるわけでなく、筋力の回復を目指した理学療法、発声や食べ物を飲み込む訓練など、症状に合わせて行われます。また心理的な支持療法(生活の質の改善を目指した治療)を必要とする場合もあり、個々の患者さんの状態に応じた多面的なケアが重要とされています。

後遺症として疲れやすくなるという例が多く見られます。これは必ずしも筋力が低下したためではなく、その理由は明らかではありません。しかし、リハビリテーションに運動プログラムを取り入れることで、疲労の改善が見られると報告されています。また手足の痛みを訴える例が多くあり、痛みそのものがリハビリテーションの妨げになることがあります。痛みをコントロールすることは生活の質を上げるために重要な要素であり、鎮痛薬などを用いる場合があります。

後遺症が残りやすいケースは?

ギランバレー症候群の発症から半年経っても、約2割では歩行に補助が必要になるなどの後遺症があります。発症の症状や状態などから、予後が不良になる「予測因子」がいくつか報告されています。

発症して症状がピークになる時期に、手足の麻痺や筋力低下の具合が重症だと予後はよくないとされます。また発症が50歳以上の人では後遺症が残りやすいようです。カンピロバクター菌などの感染による下痢症状のあとにギランバレー症候群を発症すると、重症化して後遺症を残す例が多いようです。また、発症から症状が急速に悪化した場合、特に呼吸不全(呼吸筋マヒ)により人口呼吸器を必要とした場合などが、予後を良くなくする要因とされます。

ギランバレー症候群は再発する?完治する?

ギランバレー症候群はほとんどの場合、再発することはありません。ただし、報告にもよりますが、完治(完全寛解)した後、2%から5%程度に再発がみとめられるとされています。

再発とは別に、治療後に一度は改善(寛解)するものの、再び症状が表れさらに悪化(再燃)することもあります。再発や再燃では、脳神経障害、呼吸困難などの症状が出る場合が多いという報告もあります。再発においては、遺伝的あるいは免疫学的な患者さん側の因子が重要ではないかと考えられています。



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ギランバレー症候群の予後や後遺症についてご紹介しました。手足などの神経症状に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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