溶連菌感染症の症状、予防と自然治癒の可能性 口内炎?発疹?大人と子供の症状の違いは?

  • 作成:2016/03/09

溶連菌感染症では、多様な症状が出て、喉や舌、皮膚に影響します。大人と子供の症状の違いや予防、自然治癒の可能性を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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溶連菌感染症の症状を知ろう

喉や舌に出る症状はどんなもの 咽頭炎、口内炎が起きる?

溶連菌感染症では口の中に症状が出ます。口蓋扁桃(いわゆる扁桃線)が腫れて強い喉の痛みを訴えます。症状が出た時に、扁桃線を観察すると赤く腫れており、表面に白い膿(うみ)が付着しています。ただしこれらの所見は溶連菌感染症だけでなく、他のウイルスによる咽頭炎でもみられるものです。したがって、溶連菌感染症に特徴的とは言えません。

むしろ、咽頭という喉の奥や口蓋垂(いわゆるのどちんこ)の周りに、点状の発赤(赤くななること)や、粘膜の小さな出血斑(内出血をした状態)を起こす咽頭炎は、溶連菌感染症に特徴的で、溶連菌感染症を強く疑う根拠となります。

口内炎は溶連菌感染症の症状としてはあまりみられませんが、喉が痛くて食事がとれないために栄養不良になったり、熱のせいなどで体力が低下し、二次的に、つまり菌が直接でなく菌が引き起こす症状の結果として、口内炎が出る場合があります。

また「イチゴ舌」といって、舌がイチゴのように赤くブツブツと見える場合があります。溶連菌感染症に特徴的な症状の一つですが、イチゴ舌がみられるのは患者の約半数と言われており必ずみられるものではありません。

皮膚に症状が出る 発疹も特徴?

溶連菌感染症では、顔や身体、手足などの皮膚にも症状があらわれます。顔では額、目のまわり、頬が赤くなったり、頬ににきびのような発疹がでる、肌荒れのように頬がカサカサするなどの変化がみられます。

身体では、全身の皮膚が肌荒れのように赤くなったりガサガサになる、赤いブツブツとした発疹が身体にも広がってくる場合があります。

手足の症状は溶連菌感染症に特徴的で、手のひらや手足の指の皮膚が白くむけてくる「落屑(らくせつ)」という症状が有名です。落屑は感染から数日して熱が下がったころに現れる場合が多いようです。手の甲や足の甲、身体には落屑はみられません。手のひらや指の間が赤くなったり、指先がつるつるになることもあります。

また前腕(肘から先)や足の甲、膝から下の皮膚に赤い点状の発疹が出ることも特徴的な症状です(「点状紅斑」と呼ばれます)。前腕や足には点状紅斑の他、顔と同じようなニキビ状の発疹が出る場合もあります。

咳や熱、頭痛は出る?

溶連菌感染症では強い喉の痛みや発熱、発疹の他、くしゃみ、鼻水、咳、頭痛などがみられる場合があります。通常、熱は3日から5日程度で下がります。

溶連菌感染症の症状は風邪の症状とよく似ていますが、のどの痛みが強い場合や高熱が出る、顔や身体に発疹が出る場合は溶連菌感染症の可能性がありますので医療機関を受診するようにしましょう。

腹痛、嘔吐、下痢はある

溶連菌感染症では腹痛、嘔吐、下痢などの消化器の症状も出る場合があります。とくに嘔吐は、よく見られる症状の一つです。皮膚の症状やイチゴ舌など溶連菌感染症に特徴的な症状はあまりなく、嘔吐や下痢が症状の中心になるケースもあり注意が必要です。また溶連菌感染症と診断されると抗生物質を処方されますが、抗生物質を内服すると薬の副作用として下痢をする場合もあります。

溶連菌感染症の症状 大人と子供の違い

溶連菌感染症は大人も感染します。とくに体力が低下しているときに感染するリスクが高くなると言われており、お子さんが溶連菌感染症になり、看病した親に感染して、病院を受診する例が多いようです。お子さんが溶連菌感染症の場合、兄弟で50%、親で20%の感染リスクがあるという報告もあります。

大人では、喉の痛みや扁桃炎などの症状は子供に比べて比較的軽いことが多く、抗生剤を内服して治療しなくても自然に治癒する場合も多いため、単なる風邪と思って溶連菌感染に気がつかないケースも多いと考えられています。

ただし溶連菌感染症は他の人にうつしてしまう可能性もあるため、喉の痛みや発熱、頭痛、嘔吐や下痢などに加えて皮膚の発疹がみられる場合は必ず病院を受診して検査を受けるようにしましょう。

溶連菌感染症は予防できる?

溶連菌には予防接種がありません。また一度かかっても何度も感染する場合もあり予防が大切になります。溶連菌は咳やくしゃみで菌が飛び散ったり(飛沫感染)、手についた菌が口から入る(経口感染)ことで感染が起きます。また皮膚の場合は傷口から菌が入って感染を起こします。

そのため、予防には溶連菌感染症の患者さんとの接触を避けることが最も大切です。患者さんと接触するときはマスクを着用しましょう。患者さんと接触した後は石鹸等できれいに手を洗い、使い捨ての紙タオルなどを使用して手をふきます。タオルの共有はしないようにしましょう。

またお子さんが溶連菌感染症と診断されたら、咽頭炎や扁桃炎の場合はマスクをつけてあげましょう。皮膚の感染症の場合は傷口をガーゼなどでおおい、他のお子さんにうつらないような配慮が必要です。

溶連菌感染症は、自然治癒する可能性がある?

溶連菌感染症は症状に個人差があり、症状が軽い場合から非常に重いものまで差があります。風邪のような症状で済む軽い感染症の場合は、自然治癒することも多く、抗生物質を飲まないと、治らないという訳ではありません。ただ、腎炎などの合併症のリスクがあるため溶連菌感染症と診断されたら抗生物質を内服してきちんと治療した方が安心であると考えられています。


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溶連菌感染症の症状についご紹介しました。溶連菌感染症へ不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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