溶連菌感染症の検査と意義 キットの仕組みは?なぜ治療後も必要?市販キットはある?

  • 作成:2016/03/09

溶連菌感染症の感染を調べるためには、他の病気と同様検査が必要となります。現在では、迅速検査キットを使っても、簡単に診断ができます。また、感染を確かめるだけでなく、治療を開始したあとも検査が必要になります。どのような意味があるのかなどを、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

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この記事の目安時間は3分です

溶連菌感染症の感染確認のための検査はどんなもの?血液検査?

溶連菌感染症の検査は大きく分けて3種類あります。外来で最も一般的に行われるのは「溶連菌迅速診断キット」によって行われる診断で、喉の奥(咽頭)を綿棒のようなものでこすり、付着した液体(咽頭ぬぐい液)を専用の検査キットを使用して診断します。この検査キットではおおむね95%以上の正確さで診断できます。

次に「咽頭培養」という検査があります。これは咽頭にいる菌を培養という方法で増やし、顕微鏡で見て菌の存在を直接確認する方法です。結果が非常に正確であり、また溶連菌以外の菌も診断出来ますが、結果が出るまでに数日かかるため、どうしても必要な場合以外はあまり行われていません。

最後に血液検査があります。溶連菌に感染していると、溶連菌を排除するために身体から「抗体」という物質、溶連菌と戦うための武器のようなものが産み出されます。溶連菌に対する抗体の有無や量を測定することで、溶連菌感染の診断を助ける意義があります。また血液検査では、溶連菌に対する抗体以外にも。白血球の数や「CRP」と呼ばれる炎症の強さをみる数値を検査することで総合的な診断が可能になります。

検査キットのメカニズムと概要

溶連菌の迅速検査キットの使用の詳細を説明します。まず喉の奥の咽頭という部分に長い綿棒を入れてこすり、液体を採取します。この液体(「咽頭ぬぐい液」といいます)には溶連菌が含まれています。綿棒についた液体を専用の液体で調整し、検査を行うディスクの上に数滴垂らします。

ディスクにはあらかじめ、溶連菌にくっつく抗体という成分が入っており、またこの抗体には青い色をした「ラテックス」という物質で色をつけてあります。

溶連菌が入った液体がディスク状に流れてくると、青い色をつけた抗体が溶連菌にくっつきます。また溶連菌が入っていると、青色をつけた抗体はディスク状の特定の位置に集まるように工夫されています。このため溶連菌が入っていると青い色をつけた抗体が集まった場所が青い線となって人間の目に見えるようになり、溶連菌の存在が検出できる仕組みです。

検査キットは市販している?

溶連菌の検査キットは主に医療機関向けに販売されており、内科や小児科の外来で使用されています。薬局やドラッグストア等で購入することはできません。

治療後も検査が必要なのはなぜ?

溶連菌感染症の治療後、1週間から2週間後にもう一度病院を受診するように言われる場合があります。これには以下の2つの理由があります。

(1)治療により溶連菌が確実にいなくなったかを確認する
(2)溶連菌感染症による合併症が起きていないかを診断する

(1)について、溶連菌には「耐性菌」という抗生剤に対して強い菌が存在する場合があり、一度の抗生剤の内服ではきちんと菌がいなくならない可能性があります。感染していたのが耐性菌だった場合、抗生剤を変更してもう一度内服を行う必要がありますので、時間が経過してから検査をして、確認する必要があるのです。

(2)について、溶連菌感染症には「急性糸球体腎炎」という、腎臓の病気がまれに合併症として起こることがあります。具体的には、溶連菌に感染してから3週から4週間後に突然むくみが出たり、尿が出なくなる、血尿や蛋白尿が出る、血圧が上昇するなどの症状が現れます。この急性糸球体腎炎は、尿検査を行って判定することが可能なため、治療後にもう一度病院に行って尿検査を受け、血尿や蛋白尿が出ていないか確認する必要があるのです。


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溶連菌感染症の検査についご紹介しました。溶連菌感染症への感染可能性を不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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