増える多胎妊娠とは?母体に負担大?胎児への影響、再発可能性は?
- 作成:2016/05/25
多胎妊娠とは、よく知られているように「2人以上」を同時に妊娠することです。喜ばしく感じる方もいるかもしれませんが、母体や胎児へのリスクがあります。繰り返す可能性も含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
多胎妊娠とは?
二人以上の赤ちゃんを一度に妊娠することを、「多胎妊娠(たたいにんしん)」といいます。多胎妊娠では、お母さんも赤ちゃんも合併症を起こしやすくなるなど、通常の妊娠とは異なる点がいくつかあります。
多胎妊娠の中で最も多いのは双子で、一卵性と二卵性があります。「一卵性」というのは、お母さん側からきた卵子1つと、お父さん側からきた精子1つが受精してできた1つの受性卵に由来します。もともとは1つだった受精卵が2つに分かれ、それぞれが1つずつの個体として成長します。
「二卵性」というのは、2つの卵子がそれぞれ1つずつの精子と結びついてできた、2つの異なる受精卵に由来します。2つのの受精卵が同時に子宮に着床して、それぞれが発育します。
増える二卵性双生児
一卵性双生児の割合は人種や世代に関係なく、ほぼ一定です。これに対し、二卵性双生児は人種によって差があり、また近年日本では増加傾向にあります。これは不妊治療が普及したことによるもので、排卵誘発剤によって複数の卵子を排卵したり、複数の受精卵を子宮に注入したりすることが要因と考えられます。
多胎妊娠の女性への影響
多胎妊娠では、通常よりもお母さんの負担が大きくなります。妊娠糖尿病などの妊娠中毒症を起こしやすくなり、妊娠高血圧症候群を起こす割合は通常より3倍ほど高くなると言われます。また、つわりや貧血、血栓症なども起こしやすくなります。
多胎妊娠では早産になりやすく、双子では約半数が帝王切開による分娩になります。通常よりも子宮が大きく伸ばされるため陣痛が起こりにくく、自然分娩が困難な割合も多くなります。また、出産後には子宮がもとに戻りにくく、分娩後に多量の出血を起こして輸血を必要とする場合もあります。
多胎妊娠の胎児への影響
多胎妊娠は受精の状況により、いくつかの種類に分けることができます。赤ちゃんは子宮の中で「羊膜(ようまく)」という袋に入っていますが、1つの羊膜に2人の赤ちゃんが入っている場合と、それぞれ別々の袋に入っている場合があります。それと、胎盤(絨毛)が1つの場合と2つの場合があり、これを「膜性(まくせい)」とよび、多胎妊娠が判明した場合は、ご自身がどのタイプかを知っておく必要があります。
胎盤が1つで羊膜が2つの場合、「1絨毛膜2羊膜性双胎」といいます。胎盤が1つで。1つの羊膜を2人で共有している「1絨毛膜1羊膜性双胎」の割合は1%ほどと高くありません。「1絨毛膜性双胎」の場合には、どちらかの胎児が正常に発育しない場合もあります。
一方、胎盤が2つで羊膜も2つの場合には「2絨毛膜2羊膜性双胎」とよばれ、双胎の中では赤ちゃんが二人とも同じように発育する可能性が高いといえます。
多胎児では早産になりやすいため、発育が不十分なまま出産を迎えることも多く、低体重児で生まれやすくなります。また多胎児の数が多いほど、残念ながら死亡率は大きくなります。
お腹の中で赤ちゃん同士がどのような配置をとっているかによって、分娩の方法は変わります。赤ちゃん同士が絡み合っている場合などは、万が一のことを考えて帝王切開による分娩が必要です。
多胎児の検診
多胎妊娠は通常よりも合併症のリスクが大きくなるため、検診も頻繁に受ける必要があります。分娩は自然分娩を予定している場合でも、万が一に備えて、帝王切開の準備をしておきましょう。また早産で生まれる割合が多いため、新生児集中治療室に入る割合も高くなることを知っておきましょう。
多胎児は再発する?
一卵性多胎妊娠は体質や遺伝よりも、偶然の部分が大きく、繰り返すことはまれです。しかし二卵性は体質なども関係するため、確率は低いですが繰り返す場合も考えられます。さらに不妊治療を行っている場合には、多胎妊娠を繰り返す可能性があります。
多胎妊娠についてご紹介しました。妊娠や出産に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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