酒さ様皮膚炎の原因、症状、治療、予防方法 ステロイドが危険?「酒さ」とは別物?

  • 作成:2016/09/15

酒さ様皮膚炎とは、ステロイドなど、免疫を抑制する薬を長期使用によって起きる皮膚の炎症です。とはいえ、ステロイドは別の病気の治療に必要なこともありますので、対応が難しい側面があります。酒さ様皮膚炎の原因、治療、予防方法などを含めて、専門医師の監修記事でわかりやすく解説します。なお、「酒さ」は、「酒さ様皮膚炎」とは別の病気です。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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酒さ様皮膚炎の原因

酒さ様皮膚炎は別名「ステロイド酒さ」とも呼ばれるもので、ステロイドを長期間塗ることが原因で起こります。ステロイドについては、様々な副作用が報告されていますが、酒さ様皮膚炎もステロイドの副作用と言えるでしょう。

ステロイドを塗るとなぜ酒さ様皮膚炎が起こるのかについて完全に解明されたわけではないものの、ステロイドの免疫(体に入った菌などと戦う体の機能)を抑制する作用と毛細血管を拡張させる作用、皮膚を薄くする作用が何らかの形で関係していると考えられています。非常に数は少ないものの、ステロイド以外の免疫抑制作用のある薬剤を塗っていても発症したという報告があるため、免疫抑制作用によって、皮膚表面の常在菌が過剰に増殖してしまうことが酒さ様皮膚炎の大きな原因となるものと思われます。

「酒さ様皮膚炎」と「酒さ」は別物

「酒さ」というのは、様々な原因で発症する皮膚が赤く腫れる疾患ですが、酒さ様皮膚炎は症状の現れ方が、酒さに似ているというだけで、酒さと酒さ様皮膚炎は基本的には別物です。「酒さ様皮膚炎」と言われたら塗り薬の副作用が原因で、「酒さ」と言われたら、薬の副作用以外の何かが原因と理解すると良いでしょう。

酒さ様皮膚炎の症状と治療

酒さ様皮膚炎では、皮膚が赤くなったり、赤くなった部位にほてりを感じたり、ヒリヒリした刺激感が生じたり、皮膚にニキビや膿が出来るなどの様々な皮膚の異常が起こります。生死に関わるものではありませんが、不快感と見た目の異常が問題になる疾患です。

塗り薬が原因で起こる疾患なので、原因となっているステロイドの塗り薬の使用を中止する必要があります。しかし、ステロイド自体は、免疫を抑制して炎症などの症状を抑える力を持つ薬なので、使用を止めた直後は、抑えられていた免疫抑制効果が無くなって炎症が広がることがあります。そのような時には、皮膚は非常に敏感な状態となっているため、化粧水、乳液なども刺激となることが多く、皮膚炎を悪化させてしまいます。刺激が少ないとされる軟膏を塗っても皮膚炎が悪化してしまうことがありますから、自己判断で塗らないで皮膚科医に相談してから塗ってください。

薬剤の使用をやめてしばらくすると、徐々に皮膚の炎症は治まっていきますが、治療にはかなり時間がかかります。ステロイドをどのようにしてやめていくかにもよりますが、数カ月から年単位の期間がかかる可能性があります。

洗顔などのスキンケアの方法、化粧品などを皮膚に塗ってよいかどうかなどを、医師によく確認して治療を開始してください。

酒さ様皮膚炎では何科にいくかについて

酒さ様皮膚炎は皮膚科で治療を受けます。酒さ様皮膚炎自体が皮膚の病気でもありますし、治療の過程で皮膚の状態が一時的に悪化して他の皮膚病を併発することがあるからです。

酒さの原因は様々で、多くの場合は、原因不明のまま、治療を進めることも少なくあません。「ステロイドを使っているから酒さ様皮膚炎だ」と自己判断するのも危険です。特に、十分な医療知識がないまま、「酒さ様皮膚炎だ」と断定して、いきなりステロイドの使用を止めるのは危険です。

ステロイドの使用中止は、酒さ様皮膚炎かどうか以外の材料も考慮して、慎重に行うものです。酒さ様皮膚炎の治療の経験豊富な皮膚科で治療するのが良いでしょう。

酒さ様皮膚炎の予防と再発可能性

酒さ様皮膚炎の予防を考えるのであれば、最も効果的なのはステロイドなどの免疫抑制作用のある薬を自己判断で塗らないようにすることです。どうしてもステロイドを使わなければいけない時は、皮膚科医に必要な使用期間の見通しを確認して、その期間の使用に留めるようにしてください。自己判断で、「長期に渡って時々塗る」という行為は控えましょう。

また一度治っても、湿疹が再発してステロイドを使った時に、酒さ様皮膚炎が再発することがあります。絶対に再発するというわけではありませんので、免疫抑制作用のある薬が必要な場合は、医師と相談しながら薬の種類を変えてみるなどして、気をつけながら薬を使って下さい。

ステロイドは高い効果を持つ薬ではありますが、副作用が多いという側面もあります。医師の指導に従い、注意しながら使うようにしましょう。

酒さ様皮膚炎についてご紹介しました。ステロイドの使用に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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