卵巣機能不全の原因、症状、治療、再発・予防可能性 妊娠できない?できる?

  • 作成:2016/10/12

卵巣機能不全とは、文字通り、卵巣の機能が失われることです。卵巣は妊娠のために重要な臓器ですので、卵巣機能不全の状態では、妊娠が難しくなることがあります。ただ、治療可能なケースが多いです。原因や症状、予防の可能性を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

近藤恒正 監修
落合病院 副院長
近藤恒正 先生

この記事の目安時間は3分です

卵巣機能不全の原因、症状

 

卵巣には、生理の終わりごろから卵胞発育が始まり、排卵、黄体形成、黄体萎縮といった周期が存在しています。その過程で、女性ホルモンの分泌が変化します。卵巣の周期に乱れが起こると、卵巣から分泌されるホルモンのバランスの乱れが生じるということになります。結果として、卵巣の機能が十分に発揮されなくなり、「卵巣機能不全」と言われる状態になります。

具体的な症状は、月経の周期のみだれや無月経、不正出血、排卵がなくなる、また、動悸、疲れやすいなどの更年期のような症状が出現することがあります。

卵巣は、脳の「視床下部」「下垂体」という部分と連携することで、ホルモンを分泌しています。そのため、卵巣だけでなく視床下部や下垂体のどこかに問題が生じれば、卵巣のホルモン分泌にも影響が出てしまいます。

例えば、視床下部はストレスなどの影響を受けやすく、精神的ストレスや、急激なダイエットなどにも影響され、視床下部の働きに支障が起きます。実際、卵巣機能不全の原因で最も多いのは、ストレスだと言われています。

また、下垂体に腫瘍がある場合にも、プロラクチンの分泌が盛んになることで、排卵が起こりにくくなることがあります。

他の原因としては、甲状腺の病気や、卵巣自体がきちんと発達していないことがあげられます。手術で卵巣を切除したり、抗がん剤治療などを行うことで、卵巣機能不全となることもあります。

妊娠、胎児、出産への影響

 

卵巣機能不全では、卵子が成熟しなかったり排卵されなくなったりすることがあり、妊娠の成立が困難になる事があります。また、例えば「甲状腺機能低下症」という病気が原因の卵巣機能不全の場合、正常な胎児の発育が妨げられたりすることもあります。

しかし、卵巣機能不全でも、卵巣に卵胞がある状態を確認したうえで、適切な治療を行えば、妊娠は不可能ではありません。月経の周期がおかしいなど、異変を感じたら、一度病院を受診しましょう。

治療は?何科に行けば良い?

卵巣機能不全の治療は、婦人科で行います。

治療は、症状や原因によっても変わってきますが、「エストロゲン」や「プロゲステロン」といった女性ホルモンの補充や、卵巣からホルモンが出るのを助ける薬を使用しておこないます。

妊娠を希望する場合は排卵誘発剤などを使います。妊娠を希望しない場合には、低容量ピルを使用する場合もあります。また、症状にもよりますが、漢方薬で治療を行う事もあります。

薬剤を用いた治療の他には、過度のダイエットを行わないようにしたり、ストレスや冷えなどの卵巣機能不全を引き起こす原因を取りのぞくことも必要です。卵巣機能不全の治療には、生活習慣を見直していくことも求められます。

また、下垂体や視床下部が原因で卵巣機能不全となっている場合は、婦人科の他に、脳神経科や内分泌内科を受診し、原因となる病気の治療をすることもあります。

卵巣機能不全は、治療をきちんと続ければ、多くの場合、卵巣の機能はもとに戻るとされています。

卵巣機能不全の予防と再発可能性

「卵巣機能不全」は、一度なると二度目はないというものではありません。

卵巣機能不全症の原因となるストレスが取り除けなかったり、無理なダイエットを続けたりすると、再度卵巣機能不全になる可能性があります。卵巣機能低下症の原因には、生活習慣も関わるとされ、冷えや喫煙も女性ホルモンの分泌に影響を与えると言われます。

生活習慣を見直し、体を冷やさないようにして、規則正しい生活と十分な睡眠、バランスの良い食事をとることが、卵巣機能不全の予防に繋がります。全部一度に行うのは難しいので、まずは身近な生活から改善してみましょう。

卵巣機能不全は、放っておくと月経周期がもとに戻らなくなったり、不正出血が起こったりします。生理不順や不正出血の状態が続くと、子宮内膜増殖症やがんにつながることもあり、さらなる病気の原因になりかねません。無月経などの月経周期の乱れや不正出血があったら、早めに婦人科を受診しましょう。

卵巣機能不全についてご紹介しました。生理周期や不正出血で、不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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