胞状奇胎の自覚症状と検査 出血あり?いつわかる?hCGの基準値は?
- 作成:2016/04/18
胞状奇胎とは、着床後に子宮内に粒々が多数できる状態で、「ぶどうっ子」とも呼ばれています。お腹が大きくなるスピードが速いほか、出血が確認されるケースも多いです。判明時期や、検査での「hCG」というホルモンの基準値、エコーでわかることも含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
胞状奇胎に自覚症状はある?出血が起きる?
胞状奇胎は、いつわかる?妊娠何週目くらい?
胞状奇胎の検査 hCGの値があがる?基準値は?
胞状奇胎の検査 エコーどう使う?
胞状奇胎に自覚症状はある?出血が起きる?
胞状奇胎が生じると、通常の妊娠と似たような症状を自覚します。しかし、胞状奇胎は、通常の妊娠での胎児の成長するスピードより子宮の増大する速度が速いため、より早い時期からお腹が大きくなります。加えて、妊娠初期の段階から、約90%に膣や子宮からの出血があり、約40%に吐き気や嘔吐といった、つわり様の症状が強く見られたりします。
胞状奇胎はその外観がぶどうの房に似ているため「ぶどうっ子」と呼ばれます。この「ぶどうっ子」の一部が劣化することで、少量のぶどうの房のようなものが膣から排出されることもあります。
また、子宮が妊娠週数に比して大きく軟らかいことが多いとされています。さらに、胞状奇胎は感染症や、けいれんなどを起こす「子癇(しかん)」という病気が一緒に起きることもあります。妊娠中に異常のような症状があれば、すぐに診察を受ける必要があります。診察を受ける際は、自覚した症状を、なるべく詳しく説明しましょう。
胞状奇胎は、いつわかる?妊娠何週目くらい?
胞状期待は後述のエコーなどの検査を経て診断します。妊娠約2~3か月ほどで診断可能だとされています。
胞状奇胎の検査 hCGの値があがる?基準値は?
現在の妊娠が胞状奇胎か否かという判断は、妊娠検査反応と超音波検査(エコー検査)、顕微鏡で組織を観察する「生検」という検査などを経て、行われます。
胞状奇胎は卵子と精子が受精卵を形成する際、卵子の核(DNA)が存在しない、あるいは2つの精子を受精する場合等に生じます。つまり、胞状奇胎であっても、通常の妊娠と同様、妊娠反応は現れます。
妊娠を診断する際、妊娠していることを示す「hCG」というホルモンの量を、尿を使って測定します。hCGは妊娠の初期に分泌されるホルモンです。正常な妊娠であれば、血液中のhCGの値は数万から10万mIU/mLまで増加します。しかし、胞状奇胎の場合、血液中のhCGの値は、全胞状奇胎であれば50万から100万mIU/mL、部分胞状奇胎であっても数10万mIU/mLと、正常と比較して、非常に大きい値になるため、胞状奇胎を疑う際の参考となります。hCGの値に加えて、エコーの結果(後述)と合わせて、胞状奇胎かどうかを判断します。
なお、胞状奇胎は通常の妊娠と異なりますが、hCGの有無だけで判断する市販の妊娠反応検査キットのみでは判断が付きません。
胞状奇胎の検査 エコーどう使う?
そして、妊娠が発覚して次に行う検査は超音波検査(エコー)です。超音波検査は多くの医療機関で使われ、短時間で実施可能であるため、有用性が高いとされています。超音波検査では、「赤ちゃんが生きているか」「妊娠が子宮以外の場所で起きていないか」といったことを調べます。もしここで通常の妊娠でないと判断されれば、MRIなどの追加の検査を行う事もあります。
胞状奇胎の場合、妊娠自体は成立しているため妊娠反応は陽性となります。通常の妊娠ですと、超音波検査を行うと赤ちゃんが確認でき、妊娠週数がある程度経過していれば、心臓の動きも観察することができます。一方、胞状奇胎の場合、超音波検査では、赤ちゃんの自体の動きや心臓の動きを観察することはできないことが多くあります。赤ちゃんの心臓の動きはおろか、赤ちゃんの存在を確認することはできません。胞状奇胎で観察できるのは、小さく細かな袋状のパターンです。このパターンを観察できれば、必ず胞状奇胎を疑います。
しかし、このパターンが見られないことが、すなわち胞状奇胎を否定するものでもありません。部分胞状奇胎の場合、赤ちゃんの動きや心臓の動きを観察することができ、超音波検査で小さく細かな袋状のパターンが見られない場合もあります。
ですから、血液中あるいは尿中のhCGの値や顕微鏡を用いた生検の結果と合わせて、胞状奇胎か否かを判断します。注意が必要なのは、胞状奇胎の多くは超音波検査(エコー)で診断可能ですが、中には流産と鑑別が難しいこともあります。そこで、胞状奇胎の診断では、血液中(あるいは尿中)のhCGが、正常な妊娠よりも高い値を取るという特徴を活かし、hCGを測定して診断します。胞状奇胎と診断されれば、治療ガイドラインに準じた治療を行います。
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胞状奇胎の自覚症状や検査についてご紹介しました。妊娠の状態に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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