狂犬病の原因、感染経路、症状、治療 「日本」「犬以外」も危険?潜伏期間、危険な国、致死率も解説
- 作成:2016/08/26
狂犬病は、動物の体内にいるウイルスが、かまれるなどして、人間に感染します。非常に恐ろしい病気で、発症すると、ほぼ100%の確率で死亡します。水を恐れるという症状や日本での感染可能性を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
目次
- 狂犬病の原因と感染経路 犬以外、猫やコウモリでもうつる?
- ヒトからヒトへの感染は?
- 狂犬病は日本で確認されている?最後はいつ?
- 「日本で感染しない」わけでもない
- 狂犬病の清浄国と非清浄国
- 人間の狂犬病の潜伏期間はどれくらい?全員発症する?
- 人間の狂犬病 初期症状はある?
- 人間の狂犬病の症状 水をこわがる?
- 人間が狂犬病を発症した際の致死率
- 人間の狂犬病の治療はある?ない?どのようなもの?
狂犬病の原因と感染経路 犬以外、猫やコウモリでもうつる?
狂犬病とは、犬やオオカミなどの動物にかまれたことで人に感染する病気です。原因となるのは「ラブドウイルス科」に分類される狂犬病ウイルスで、犬や猫、アライグマやシマリス、コウモリなど、ほとんど全ての肉食の陸上動物が保有している可能性を持っています。ただ、名前からもわかるとおり、ほとんどの場合、原因となる動物は犬です。狂犬病ウイルスを持っている動物の唾液を通じて、傷口からウイルスが体内に侵入して感染します。
ヒトからヒトへの感染は?
狂犬病を発症した人間の唾液にはウイルスが含まれていると考えられますが、人から人へ感染することはごくまれにしかありません。
狂犬病は日本で確認されている?最後はいつ?
昔は日本でも狂犬病ウイルスに感染することがありました。現在は飼い犬の登録制度が整い、野良犬の管理や予防接種が徹底されたことで、最後に国内の感染者が報告されたのは1957(昭和32)年です。また、1970(昭和45)年に海外からの帰国者の発症が報告されたのを最後に、日本では発症者はありませんでした。しかし、2006年(平成18年)になって、フィリピンへの渡航者が帰国後に感染したことが報告されています。
「日本で感染しない」わけでもない
国内の感染源は限りなく少ないですが、以前よりも海外への移動が容易になったことや、密輸によって持ち込まれた動物に接触する可能性もあり、全く感染の機会がないわけではありません。
狂犬病の清浄国と非清浄国
狂犬病が存在しない、またはごくまれにしか報告されない「清浄国」に該当するのは、日本をはじめ、オーストラリア、イギリス、ノルウェー、スウェーデン、韓国、マレーシアなどです。その他の多くの国では狂犬病にかかる恐れがあり、中でも南米の国々や、上記に挙げた以外のアジアの国々では、多数の発症者が出ています。感染の可能性がある国は、正式には「非清浄国」と言います。
人間の狂犬病の潜伏期間はどれくらい?全員発症する?
動物に噛まれるなどしてウイルスに感染しても、すぐに狂犬病を発症するわけではありません。ウイルスが体の中で静かに増殖する「潜伏期間」を経て、十分に増殖すると病気の症状となって表れます。狂犬病では潜伏期間が比較的長く、1カ月から3カ月です。
日本国内で犬に噛まれても、国内には狂犬病ウイルスは存在していないので心配ありません。渡航先で噛まれた場合は、噛んだ動物の症状を見て判断します。2週間以上、動物に狂犬病の症状が出ていなければ大丈夫でしょう。
もし狂犬病の多い国々へ渡航した際に、動物に噛まれたなどして感染のおそれがある場合には、潜伏期間でも、狂犬病に対するワクチンを接種すれば発症を抑えることができます。ワクチンは早目に始める方が有効ですから、感染のおそれがある場合は、すみやかに医療機関を受診しましょう。
人間の狂犬病 初期症状はある?
狂犬病ウイルスに感染すると、神経系に異常をきたします。ウイルスが筋肉や組織に入り込んで神経に侵入し、そこから脳に移動します。脳では細胞を壊してけいれんや知覚過敏、自律神経障害などを引き起こします。
初期症状として頭痛や不眠、気分が落ち込む、落ち着かない、倦怠感、刺激を強く感じるなどの状態が1日から3日ほど続きます。
人間の狂犬病の症状 水をこわがる?
初期症状が3日ほど続いた後に熱が出て、「興奮期」に入ります。唾液がたくさん出る、興奮が収まらない、幻覚などの症状が続き、やがて中枢神経の異常により、呼吸に関する筋肉がけいれんして呼吸困難を起こします。また食べ物を飲み込むための筋肉がけいれんして、食事の摂取も難しくなります。
こうなると水を飲んだり、水を見たりするだけでも、飲み込むための筋肉がけいれんを起こします。けいれんによって強い痛みを感じるため、発症者は水を見るのも恐れるという「恐水病」という症状を示します。
恐水病などの状態が3日ほど続いた後、顔面や舌、眼や呼吸に関する筋肉、食べ物を飲み込むための筋肉が麻痺してしまい、死にいたります。
人間が狂犬病を発症した際の致死率
狂犬病恐ろしい病気で、いったん発症すると、100%に近い確率で回復することは難しく、死に至ります。感染者の20%は恐水病や興奮期などを経ずに、麻痺のみを起こします。ただ、恐水病の症状がないからといって、命を落とす確率が低くなるわけではありません。
人間の狂犬病の治療はある?ない?どのようなもの?
狂犬病の治療では、まず噛まれた箇所を流水と石鹸で十分に洗います。そしてすぐに狂犬病ワクチンを打つことで発症を抑えることができます。もし渡航中に動物に噛まれたなどした場合は、すぐに石鹸で傷口を洗い、すみやかに医療機関でワクチンの接種を受けてください。狂犬病ウイルスの潜伏期化は比較的長いので、噛まれた後でもワクチンが有効です。
狂犬病はいったん発症してしまうと有効な治療法はなく、多くの場合には死にいたります。そのため、狂犬病のある国へ渡航する場合には、必ずワクチンを接種しましょう。また渡航中に動物に噛まれるなどした場合にも、ワクチンが有効です。発症前に感染の有無を診断することはできませんから、感染のおそれがあればなるべく早いうちにワクチンを接種します。
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狂犬病の原因、感染経路、症状などについてご紹介しました。海外で動物にかまれて不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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