トキソプラズマ症とは?猫、犬含む3つの感染経路と感染率 牛肉は?原虫はどんなもの?ゴンディの意味は?
- 作成:2016/05/27
トキソプラズマ症とは、「トキソプラズマ原虫」という小さな生物の感染で起こります。主な感染経路は3つあり、ネコを通じた感染が1つにあげられます。牛肉の危険性やその他の感染経路も含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
トキソプラズマ原虫とはどんなもの?トキソプラズマ・ゴンディ?
トキソプラズマ原虫は、ほとんど全ての哺乳類と鳥類に感染することができる寄生虫です。人間がトキソプラズマ原虫に感染すると、発熱や倦怠感といった風邪とよく似た症状が起こる「トキソプラズマ症」を発症することがあります。
トキソプラズマ原虫は極めて小さく、長さが5μm(マイクロメートル、1μmは1ミリの1000分の1)から7μmほど、幅は3μmほどです。もちろん人の目には見えませんが、半円形や三日月形の形状をしています。英語では、トキソプラズマ・ゴンディと呼ばれます。
トキソプラズマの感染率 世界では?日本では?
トキソプラズマ原虫は、世界中どこにでもいる寄生虫である上に非常に強い感染力を持っているため、感染者の数は膨大です。
国立感染症研究所(NIID)によると、全世界人口の感染率はおよそ3分の1にも上り、数十億人が感染しています。また、特に感染率の高い国にブラジルやフランスなどが挙げられ、80%を超えると言われています。日本での感染率は低く、およそ10%です。この感染率の低さは、日本の衛生環境の良さなどに起因するためと考えられます。
犬や猫などペットが原因で感染
ヒトにトキソプラズマ原虫が感染する経路のひとつに、ペットを介した感染が挙げられます。
トキソプラズマ原虫はどの動物からでも感染するわけではなく、ネコ科動物からのみ感染します。飼っている猫の便を処理する際や、触れあったりする際に感染が起こります。犬や鳥など、猫科動物以外のペットからは基本的に感染しません。
猫からの感染を防ぐためには、猫のトイレの始末をするときにマスクと手袋を着用することや、キスなどの過度なスキンシップを控えることが有効です。また、完全室内飼いをすることで猫にトキソプラズマ原虫が感染することを防げます。
豚や羊の生肉も原因?牛肉は?
加熱が十分でない肉や生肉を食べることによって、トキソプラズマ原虫に感染するケースもあります。特に、豚肉や羊肉はトキソプラズマ原虫の感染が頻繁に確認されるため、調理の際に中心までしっかりと火を通すことが大切です。一方、牛肉はトキソプラズマ原虫の感染率が低い傾向にありますが、決して可能性がないわけではないため、妊婦や子ども、高齢者など、トキソプラズマ症によって重大な症状が起こる可能性が高い人は、牛肉をレアやミディアムで食べないようにすることも重要です。
粘膜や傷口から入る栄養型とは?
ペットや食肉からの感染に比べると頻度は下がりますが、「栄養型」と呼ばれるタイプのトキソプラズマ原虫が粘膜や傷口から血管の中に入り込み感染が起こるケースがあります。具体的には、トキソプラズマ原虫が潜んでいる土壌に接触する際に、粘膜や傷口からの感染が起こる可能性があります。そのため、ガーデニングや農作業を行う際は手袋や絆創膏で傷口に土が触れないよう心がける必要があります。
トキソプラズマ原虫について感染経路などをご紹介しました。妊娠などで不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
関連するQ&A
関連する記事
このトピック・症状に関連する、実際の医師相談事例はこちら
病気・症状名から記事を探す
- あ行
- か行
- さ行
-
- 災害
- 再放送
- 子宮外妊娠
- 子宮筋腫
- 子宮頸がん
- 子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん
- 子宮頸がん検診・検査
- 子宮頸がんの症状
- 子宮頸がんのリスク・予防
- 子宮内膜症
- 脂肪肝
- 手術
- 出産後の症状・悩み
- 出産準備・入院
- 食事・授乳・ミルク
- 食欲
- 心臓病
- 自閉症
- 女性
- 自律神経失調症
- 腎炎・腎盂炎
- じんましん(蕁麻疹)
- 膵臓がん
- 睡眠
- 髄膜炎
- 頭痛薬、副作用
- 性器の異常・痛み
- 性器ヘルペス
- 性交痛
- 成長(身長・体重など)
- 性病検査
- 性欲
- 生理痛(生理・月経の痛み)
- 生理と薬(ピルなど)
- 生理不順・遅れ(月経不順)
- 摂食障害
- 切迫早産
- 切迫流産
- セミナー・動画
- 前立腺
- その他
- その他アルコール・薬物依存の悩み
- その他胃の症状・悩み
- その他うつの病気・症状
- その他エイズ・HIVの悩み
- その他肝臓の病気
- その他外傷・怪我・やけどの悩み
- その他心の病気の悩み
- その他子宮頸がんの悩み
- その他子宮体がんの悩み
- その他子宮の病気・症状
- その他出産に関する悩み
- その他腫瘍の悩み
- その他消化器の症状・悩み
- その他腎臓の病気・症状
- その他生理の悩み・症状
- その他臓器の病気・症状
- その他皮膚の病気・症状
- その他卵巣がんの悩み
- その他卵巣の病気
- その他流産の症状・悩み
- た行
- な行
- は行
- ま行
- や行
- ら行
協力医師紹介
アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。
記事・セミナーの協力医師
-
白月 遼 先生
患者目線のクリニック
-
森戸 やすみ 先生
どうかん山こどもクリニック
-
法村 尚子 先生
高松赤十字病院
-
横山 啓太郎 先生
慈恵医大晴海トリトンクリニック
-
堤 多可弘 先生
VISION PARTNERメンタルクリニック四谷
-
平野井 啓一 先生
株式会社メディカル・マジック・ジャパン、平野井労働衛生コンサルタント事務所
Q&Aの協力医師
内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。