腎臓がんの原因とステージ、生存率、再発、転移可能性 喫煙も関係?

  • 作成:2016/05/31

腎臓がんは、喫煙や高血圧などがリスクとなり、男性のほうがなりやすいことで知られています。普通のがんと同様、ステージが進むごとに、生存率が下がっていくことになります。再発や転移可能性を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

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腎臓がんの原因
腎臓がんのステージとステージごとの生存率 ステージ3、4とは?
腎臓がんは再発しやすい?再発率は?
腎臓がんは転移しやすい?転移しやすい場所がある?
腎臓がんは肺転移した場合の余命、骨転移した場合の余命

腎臓がんの原因

腎臓がんを引き起こす原因としては、喫煙、ホルモン、高血圧、肥満、乳製品の過剰摂取、カドミウムやアスベストなどの化学物質、腎不全(腎臓の機能が低下すること)などが考えられています。

女性よりも男性に多く発症し、男性のほうが、2倍から3倍なりやすいといわれています。加齢に伴って腎臓がんの発症は増加傾向となり、患者は50歳以上に多く、70歳から75歳で最も多いといわれています。アジア人に比べて、欧米人で多く発症することがわかっています。

腎機能がなんらかの原因によって低下し、自分の力では水分や体の中の老廃物を尿として排出できなくなる状態を「末期腎不全」といいます。末期腎不全の患者さん、つまり「透析」という血液をきれいにする治療が必要な状態の方は、健常の方に比べて腎臓がんを発症する可能性が高いことがわかっています。具体的には、10年以上透析を受けている人は、健常の方に比べて、腎がんを発症する確率が20倍から40倍となります。そのため、透析患者に対しては、定期的に超音波検査やCT検査を行う施設が多いです。

また遺伝病として知られる「von Hipple-Lindau病(フォン・ヒッペル・リンドウ病)」と腎がんが関連するといわれています。von Hipple-Lindau病は、全身のあらゆる臓器にがんを発症することが知られており、中でも腎臓がんとすい臓がんは、周囲の組織に転移しやすいため、死亡原因となりえます。厚生労働省は難病と認めており、国内には600人から1000人の患者がいると考えられています。

腎臓がんのステージとステージごとの生存率 ステージ3、4とは?

腎臓がんは早期に発見されるか、進行または転移している状態で発見されるかでその後の生存率が大きく変わります。腎臓がんのステージは、がんの広がりや転移の有無によって4段階に分けられます。

ステージ1は、がんが腎臓内に留まっている状態、ステージ2はがんが腎臓の外である脂肪組織にまで進行している状態を示します。ステージ1と2は早期の腎臓がんと考えられています。

ステージ3は、がんが腎臓の外にある「腎静脈」や「下大静脈」とよばれる大きな血管、またはリンパ節に進行している状態、ステージ4は腎臓周辺の組織や臓器に転移または腎臓から遠く離れた肺や骨などに転移している状態を示します。ステージ3と4は進行している腎臓がんと考えられています。

ステージごとの5年生存率(治療開始から5年後の生存率)は、ステージ1で95%以上、ステージ2で75%から95%、ステージ3で59%から70%、ステージ4では約20%とされています。

生存率からもわかるように、腎臓がんはなるべく早期に発見し手術で切除できれば、その後は長く生存する可能性があるがんです。

腎臓がんは再発しやすい?再発率は?

腎臓がんは再発や転移のしやすいがんとして知られています。ステージ1から2に分類される早期の腎臓がんの場合には、手術で全て切除した後の再発率は約10%といわれています。しかし、ステージ3から4の進行した腎臓がん、またはすでに転移している腎臓がんでは再発率は約50%と高いです。腎臓がんは、時間が経過するとともに再発の危険性は低くなるといわれているものの、中には10年以上経過してから再発することもあるので定期的な検査が必要です。

腎臓がんは転移しやすい?転移しやすい場所がある?

腎臓はもともと血管が豊富な臓器で、進行した腎臓がんの場合には血液やリンパ液の流れにのって、他の臓器に転移しやすいことがわかっています。最も転移する可能性が高い臓器は、肺と骨です。他には肝臓や脳などに転移することがあります。

腎臓がんは肺転移した場合の余命、骨転移した場合の余命

腎臓がんが肺や骨に転移している場合には、腎臓がんの中で最も予後が悪いステージ4に分類されます。ステージ4の腎臓がんの場合には、治療開始から5年後に生存している確率、つまり5年生存率は約20%と低いことがわかっています。


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腎臓がんの原因やステージについて、ご紹介しました。腎臓の状態に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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