疥癬の疑問 再発する?どう予防?洗濯、入浴、消毒の方法は?
- 作成:2016/06/17
疥癬(かいせん)とは、ダニが体にもぐりこんで、体にブツブツができる病気です。治療が不十分な場合、再発する可能性があります。家族や周囲の人の感染が発覚した場合、予防は可能です。洗濯、入浴、消毒の注意点を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
疥癬の再発可能性
疥癬の時入浴はできる?
疥癬患者が出た際の洗濯の注意点
疥癬患者が出た際に他に生活上の注意点はある?
疥癬の予防方法 消毒や殺虫剤が必要?
疥癬の予防方法 予防薬はある?
子供の疥癬の特徴は?
疥癬の再発可能性
疥癬に感染した場合、ある程度免疫が作用、つまり体の抵抗力ができますが、十分ではないため、感染の機会があると何度でも感染します。したがって、家族など一緒に住んでいる人が協力して一度に治療しなければ、一度治っても感染を繰り返してしまいます。疥癬は感染後1カ月から2カ月は無症状ですから、全く症状がない人でも感染している可能性があるため、症状がなくても、家族が発症した場合は、一緒に住んでいる人も同時に治療をすることが必要です。
また、疥癬の治療では治療薬を医師の指導にしたがって使うことが大切です。どのような薬を使って治療する場合でも、ヒゼンダニの卵には効果が及ばないので、薬を適切なタイミングで使わないと治療に失敗して再発することがあります。
塗り薬で治療する際、一部に薬を塗り忘れた部分があり、そこにヒゼンダニが潜んでいると、一度治ったように思えても、再度ヒゼンダニが増殖して再発してしまいます。また飲み薬を使った時でも、厚くなった爪にヒゼンダニが寄生している時には、爪にヒゼンダニが残ってしまい、そこから再感染を繰り返してしまうということがあります。このため、疥癬の治療で「完治」ということを宣言することは難しい事情があります。
疥癬の時入浴はできる?
入浴で疥癬の症状が悪くなるということはありません。したがって、疥癬の時は入浴については、他の人に感染させないように留意すれば問題はありません。ただし「角化型疥癬(重症の疥癬)」では、感染力が非常に強いうえ、爪に症状があれば内服薬(飲み薬)を使っても、すぐに感染する力はなくなりませんから、共同の施設の利用については、必ず担当の医師に確認するようにしましょう。
通常の疥癬の場合、感染力はあまり強くなく、治療を始めると感染力は著しく低下します。したがって、適切な治療を開始した後では、通常の方法で入浴しても、感染を広げる危険性はほとんどないということになっています。しかし、「タオルやバスマットを共用しない」「脱衣した衣服を他の人の衣服に重ねて置かない」などは、大きな負担にはならず、疥癬以外の他の感染症の予防にもなりますから、日常的に心がけるようにした方が良いでしょう。
疥癬患者が出た際の洗濯の注意点
ヒゼンダニは「非常に小さな虫」であると考えると良いでしょう。ヒゼンダニとその卵は熱湯をかけたり、熱乾燥機で処理すると死滅します。衣類は、洗い流すことでそこに付いているヒゼンダニとその卵はいなくなると考えられます。したがって、家庭では衣類は普通に洗濯しておけば、感染予防の観点から問題はありません。ただし、「角化型疥癬(重症の疥癬)」では、皮膚から落ちたフケや垢にも大量のヒゼンダニが存在していますから、熱を使った乾燥機で乾燥させるなどの配慮が必要です。
疥癬患者が出た際に他に生活上の注意点はある?
疥癬は、一度感染して治ると二度と感染しないという病気ではありません。また、原因となるヒゼンダニが感染しても、症状が出るまでには1カ月から2カ月かかりますから、誰かが疥癬となった場合は、同居している家族全員に同時に対策を講じる必要があります。そうでなければ、いつまでたっても家族の誰かの皮膚にヒゼンダニがいて、しばらくすると家族の誰かに再発するということになってしまいます。
疥癬の予防方法 消毒や殺虫剤が必要?
ヒゼンダニの活動には体温が最適で、皮膚から落ちてしまうと温度低下と乾燥のために数時間で弱って感染力が低下します。通常の疥癬の場合には、寄生しているヒゼンダニはあまり多くありませんから、衣類やシーツなどからの感染は少ないと考えられます。ただし「角化型疥癬(重症の疥癬)」では極めて多数のヒゼンダニが寄生しているため、衣類やシーツにも十分気をつけることが必要です。
また、ヒゼンダニは小さな「虫」ですから高温にも弱く、50度 、10分間の熱処理で完全に死滅します。したがって、衣類や寝具は熱乾燥機や熱湯で処理を行えば感染する危険性はなくなります。布団は丸洗いをする、または布団乾燥機を使って熱で乾燥させる、天日に十分干すなどの対策で感染を予防することが出来ます。
疥癬の予防方法 予防薬はある?
感染の可能性が高いと考えられる接触があった場合には、予防的な投薬が行われることがあります。ストロメクトール(一般名:イベルメクチン)を飲む、スミスリンローション(一般名:フェノトリン)を塗る、オイラックス(一般名:クロタミトン)を塗るという3つの選択肢があり、この中から一つが選択されることが一般的です。
子供の疥癬の特徴は?
大人の通常の疥癬では、顔面や頭部に皮疹が出ることは少ないのですが、小児では頭部、顔面にも皮疹が出ることがあります。このため、塗り薬で治療をする場合は、担当医に薬を塗るべき範囲を確認することが必要です。
疥癬が幼児にうつった場合は、手のひらと足の裏に小さな水疱(水ぶくれ)や膿が溜まったようなブツブツが生じることがあります。これはヒゼンダニを完全に退治した後にも、数カ月にわたって出現を繰り返すことがあるため、ダニの成分に対するアレルギー反応とされています。
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疥癬の再発可能性や予防方法などの疑問についてご紹介しました。体のかゆみに不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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