妊娠初期に(偏)頭痛、めまい、立ちくらみが起きる?どう対応?
- 作成:2016/10/10
妊娠初期には頭痛、めまい、立ちくらみが起きることがあります。どのようなメカニズムで起きるのかや、対応方法を、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
妊娠初期と頭痛、偏頭痛の関係
妊娠初期に頭痛を抱える人は少なくありません。もともと頭痛に縁がなかった人でも、妊娠すると同時にしつこい頭痛に悩まされることもあります。妊娠初期の頭痛の多くは、「片頭痛」と呼ばれる種類の頭痛です。
「片頭痛」とは、片側もしくは両側の頭が、心拍に合わせるようにズキズキと痛む病気です。数時間から数日、中程度から重度の痛みが続きます。歩行や体操、家事など日常的な動作をすると悪化するのが特徴です。光や音に過敏になることもあります。
片頭痛は、脳内の血管が拡張して神経が圧迫されるために起こります。妊娠初期には子宮筋層を柔らかくしたり血液循環を良くするために、「黄体ホルモン(プロゲステロン)」という女性ホルモンが分泌されます。血液量が増えて血管が拡がると、周囲の神経が圧迫されて頭痛が起こります。脈拍のたびに痛むのはそのためです。
片頭痛をなおすには、こめかみあたりを冷やして暗い部屋で安静にするのが有効です。いったんおさまると、しばらくは痛みを感じることはありません。また、妊娠中期以降はホルモンバランスが変化するため、軽減する人が多いと言います。
妊娠中の頭痛には薬が使えないと考えている人が多いのですが、予防薬を除けば片頭痛治療薬で胎児に奇形を起こす危険性がある薬は報告されていません。心配であれば産婦人科で頭痛薬を処方してもらうのが良いでしょう。
なお、片頭痛以外の頭痛の可能性もあることも考慮してください。妊娠中に起こる非片頭痛には、緊張型頭痛、鉄欠乏性貧血のほか、不眠・ストレスによる頭痛もあります。片頭痛の特徴である片側性・拍動性・日常動作による悪化・吐き気や嘔吐・光や音への過敏といった症状と異なる場合は、別の頭痛の可能性もあります。
妊娠初期とめまい、立ち眩みの関係
妊娠初期に起こるめまいや立ち眩みの原因としては、「貧血」が第一に挙げられます。貧血の症状がある妊婦は全体の4分の1とも言われ、妊娠初期からの注意が必要です。
妊娠中は胎児に優先的に血液が送られるため、脳内で血液が足りなくなり、めまいや立ち眩み、動機・息切れ、倦怠感などを引き起こします。また、妊娠中は血液量が最大37%増加しますが、内訳としては血漿(けっしょう)量が47%、赤血球が17%の増加で、結果底には血が薄くなっていることになります。血液が薄くなると、血液の量が十分でも貧血を起こしやすくなります。
貧血かどうかは、血液検査で分かります。妊婦健診では、出産までに数回採血して血液検査をします。この時「鉄欠乏性貧血」と診断されると、鉄剤が処方されます。妊娠中に鉄剤を服用することは問題ありません。即効性があるものではないので、欠かさず飲み続けることが大切です。
貧血は妊娠初期のみにとどまらず、中期・後期でも発症します。貧血を解消しないまま出産・授乳をおこなうと、微弱陣痛、出血多量、母乳不足のおそれがありますので、食生活を見直して予防に努めましょう。
貧血以外のめまいや立ち眩みの原因としては、立ち上がった時に急激に血圧が低下するために起こる「起立性低血圧」、逆に妊娠中の高血圧による「妊娠高血圧症候群」、ストレスや疲れなどからくる「自律神経失調症」が挙げられます。血液検査で貧血に該当しなかった場合は、これらの可能性をチェックしてみてください。
妊娠初期の頭痛、めまい、立ちくらみと対応方法などご紹介しました。妊娠初期に今までと違った体調の変化があり、不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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