妊娠初期のむくみ、疲れやすさ、倦怠感、寝汗と対応方法
- 作成:2016/10/11
妊娠初期には多様な症状がでるため、むくみ、倦怠感、寝汗が起きることがあります。対応方法を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
妊娠初期とむくみの関係
妊娠後期のマイナートラブルとして知られるむくみですが、妊娠初期や中期でも症状を訴える人は少なくありません。
むくみは体の皮下組織に、余分な水分が貯留するためにおこり、医学的には「浮腫(ふしゅ)」と呼ばれます。妊娠中は手や足にむくみが生じやすく、指輪や靴がきつく感じます。手の甲や下腿(ひざから足首)の前面などすぐ下に骨があるところを押してみて、しばらく跡が残る場合は、むくみの可能性があります。
妊娠初期のむくみの原因は、血液量が増加することに関係します。妊娠すると、胎児に酸素と栄養を届けるために急激に血液量が増加しますが、腎臓の機能が追い付かない状態になると「むくみ」となって表れます。腎臓は体内の水分量を調整するはたらきをしているのです。また、妊娠すると分泌量が増えるエストロゲンは皮下組織に水分を貯めこもうとする作用があり、むくみの原因となります。後期になるとむくみやすくなるのは、子宮が大きくなることで骨盤内の血流が悪くなることで下半身に水分が貯まるからです。
むくみの症状を悪化させる原因となるのは、塩分の摂り過ぎ、冷えなどによる血行不足、運動不足、下着や服による締め付けです。塩分を控えめにし、カリウム、たんぱく質、クエン酸、ビタミンEを含む食品をバランスよく摂るようにしましょう。同じ姿勢を長時間続けないように定期的に体を動かし、体が冷えないように衣類に注意するのも有効です。血流を妨げるような服装や下着はなるべく着けないようにしましょう。なお、運動も血行促進やむくみ解消に効果があります。
妊娠初期と疲れやすさ、倦怠感の関係
妊娠初期には、だるさ、疲れやすさ、熱っぽさや倦怠感を感じやすくなります。その原因としては2つ考えられます。
・ホルモンバランスの変化によるもの
黄体ホルモン(プロゲステロン)が優位になることで基礎体温が高い状態に保たれ、風邪のひき始めのような症状が出るためにおこります。
・貧血によるもの
妊娠初期には貧血になることも多く、そのためにだるさや立ちくらみを起こします。貧血になると血液中の酸素が不足するため、疲労感や倦怠感を感じやすくなります。
このような疲れや倦怠感には「休息」がなによりも大事ですが、仕事や家事などで余裕がないという方も多いのではないでしょうか。特に上に兄弟・姉妹がいる場合、育児を休むわけにはいきません。
妊娠初期の疲れには根本的な対処法がないのが悩ましいのですが、できるだけリラックスできる時間を確保し、体を休めるようにしてください。妊娠初期は見た目では不調であるのが伝わりにくいので、周囲の人には自分が今どんな状態であるのかを説明し、協力を得られる環境をととのえるのが望ましいです。言葉で説明するのが難しければ、母子手帳や妊娠情報誌の該当する部分を読んでもらうのも良いでしょう。
妊娠初期と寝汗の関係
妊娠すると、大量の寝汗をかくと言われています。特に妊娠16週までの初期に自覚する人が多いようです。妊娠初期の寝汗の原因は、基礎体温、血行の変化、ホルモンバランスの3つの変化が挙げられます。
・基礎体温の変化
妊娠すると、基礎体温が高温に保たれます。通常36.0度が平熱である人は、妊娠して黄体ホルモンが分泌されることによって高温期に入り、36.5度から37.0度まで上がって維持されます。発汗とともに、体のほてりやのぼせの症状が見られるのはこのためです。
・血行の変化
また、妊娠すると循環する血液量が増えて血行が良くなることも原因のひとつと考えられます。血行が促進されると新陳代謝が上がり、発汗量の増加につながります
・ホルモンバランスの変化
妊娠に伴う急激なホルモンバランスの変化は、発汗をつかさどる自律神経に影響を与えることも理由にあげられます。
寝汗をかくこと自体は胎児には何の影響もありませんが、水分補給と室内の温度管理はしっかりするようにしましょう。寝る前に飲む1杯の水は、「宝水」と呼ばれます。暑く感じるからと言って、エアコンを低い温度設定のまま寝てしまうと風邪の原因となります。逆に、部屋の温度を高めにしたままですと、寝汗を大量にかいてしまいますし、寝汗をかいてそのままにするのも体によくありません。
妊娠初期のむくみ、寝汗、倦怠感などと対応方法などご紹介しました。妊娠初期に今までと違った体調の変化があり、不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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