蜂窩織炎の症状 痛みの特徴は?かゆみある?どこに出る?粉瘤(アテローム)との違いなど、見分け方も解説
- 作成:2016/09/16
蜂窩織炎(ほうかしきえん)の症状では、最初は、患部が赤くなって腫れ、その後、熱くなったり、痛みを感じるようになります。症状が出る場所や粉瘤(アテローム)との違いも含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
蜂窩織炎の症状はどんなもの?痛みの特徴は?かゆみはない?
蜂窩織炎は細菌の感染症ですから、まず患部が赤くなって次いで腫れてきて、病変部位(患部)は少しずつ広がってきます。患部の広がるスピードには個人差がありますが、右足の親指だけが赤くなっている場合、3日後には右足全体が赤く腫れてくるというケースは日常的によく見られます。片足全体が赤くはれているような状態なら、抗生物質を内服すると改善することも多いので、早めの受診をお勧めします。
やがて、腫れている部分に熱感が出てきて、押さえると痛みを感じるようになります。足が患部である時には、痛みのため歩きにくいということも出てきます。
もう少し進行すると、皮下組織に膿が貯まってきて、赤くなったところが柔らかくなってきます。その頃になると通常全身に高い熱が出てきます。全身に高い熱が出るような状態になると、患部を切開して膿を出すことが必要になります。
虫さされでも赤く腫れてきますから初期には見分けることが難しい時もありますが、虫さされはしばらくするとかゆみが出ますが、蜂窩織炎では痛みが出てくるという違いがあります。
蜂窩織炎の症状 粉瘤(アテローム)との違いは?
皮下に粉瘤(ふんりゅう、アテローム)という良性腫瘍の袋状の構造物ができることがあります。粉瘤に細菌感染が起こると赤く腫れてくることがあります。ひどく化膿すると、蜂窩織炎と同様の症状となり、見ただけでは区別が難しいことがあります。
化膿した粉瘤を切開すると、中に膿だけではなく、皮膚の角質成分が貯留していることで区別ができます。蜂窩織炎は化膿が治れば、そのまま治癒しますが、粉瘤は感染が治っても袋状の構造物が残るため、後日同じ部位が化膿してくることがほとんどで、完治させるためには化膿していない時に、袋状の構造物を手術で取り除くことが必要です。
多発はまれ、悪化も軽快もしなければ別の病気の可能性
蜂窩織炎が多発することはとても稀なことです。赤く腫れたところが皮膚に多発してきた時には、「結節性紅斑」や「滲出性紅斑」などと呼ばれる、別の皮膚疾患を考える必要があります。「結節性紅斑」や「滲出性紅斑」は、蜂窩織炎の治療では改善しませんから、病変が多発している時には皮膚科を受診するのが良いでしょう。
また、蜂窩織炎が、悪化も軽快もせずに、赤くなっているという症状が慢性に経過することはほとんどありません。そのような時は、悪性リンパ腫などの疾患も考える必要がありますので、やはり皮膚科を受診するようにして下さい。
蜂窩織炎の症状 子供の場合何か特徴がある?
蜂窩織炎の症状は大人と子供で特に大きな違いはありません。ただ、子供の場合、初期に訴えが少ないと皮膚症状を見落としてしまうことがあります。結果として、子供がいきなり発熱していることに気がついて、よく見るとその原因が皮膚の蜂窩織炎であったということがあります。
蜂窩織炎の症状が出る場所 足?顔にも出る?
蜂窩織炎は、皮膚の細かい傷から細菌が皮下組織に侵入して発生するので、皮膚に傷ができやすいところによく生じます。
足は靴ズレ、陥入爪(爪が肉に食い込み炎症を起こした状態)などから皮膚のトラブルを起こしやすいので、蜂窩織炎の発症の多い部位となります。また、膝から足は立ち仕事の方では、静脈瘤やリンパの流れが悪いことなどのために、むくんで腫れていることがよくあります。そのような部位は細菌感染に対する抵抗力が減少して、蜂窩織炎を起こしやすいということが分かっています。
脇、鼠蹊部(そけいぶ、股間に近い足の周辺)のリンパ節を摘出する手術を受けた方では、それぞれ上肢、下肢のリンパ液の流れが悪くなって、上肢、下肢にリンパ浮腫が起こります。リンパ浮腫のある部分は免疫が落ちているために、蜂窩織炎が起こりやすくなっています。また蜂窩織炎を繰り返すことによって、さらにリンパ液の流れが悪くなるという悪循環に陥ってしまいます。リンパ浮腫のある方は普段からマッサージなどを行ってリンパ浮腫を軽減するように努めてください。
顔面は露出部位であり毛穴が多く、カミソリなどで皮膚を傷つけてしまうこともあって、皮膚の細菌感染症がよく起こる部位です。ただ、顔は、蜂窩織炎よりも浅い部分の皮膚(真皮)の細菌感染症である「丹毒(たんどく)」の方が多いようです。
なお、丹毒と蜂窩織炎では、症状が似ており、治療も同じですから、区別は学問上の問題にすぎません。
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蜂窩織炎の症状についてご紹介しました。皮膚の異常に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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