アルツハイマー型認知症とは…医師に聞くポイント
- 作成:2021/02/17
認知症のおよそ半数近くを占めるともいわれる「アルツハイマー型認知症」。もの忘れは誰しも起こることですが、それが認知症によるものなのかどうか、年齢を重ねるにつれて不安に思われる方も多いかもしれません。 症状が進行した後の対応も含め、認知症にまつわるポイントについて、過去にAskDoctorsに寄せられた質問をもとにまとめました。
この記事の目安時間は3分です
画像素材:PIXTA
概要:アルツハイマー型認知症の概要
認知症を主体として、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑、神経原線変化の出現を特徴とする神経変性疾患です。認知症の中で最も多く、64歳以下で発病した場合をアルツハイマー病、65歳以上で発病した場合をアルツハイマー型老年認知症と呼び分けることがあります。
総称としてアルツハイマー型認知症と呼ばれており、アルツハイマー病と呼ぶこともあります。
アルツハイマー型認知症の病態に関するQ&A
原因:アルツハイマー型認知症の原因
アルツハイマー型認知症の脳には、大脳皮質や海馬を中心に、多数の老人斑と神経原線維変化がみられます。これらは通常の高齢者の脳にもみられますが、アルツハイマー型認知症の場合、比較にならないほど多量に出現し、神経細胞脱落(脳萎縮)を引き起こすとされています。
特に老人斑は発症する10年以上も前から脳に沈着し始めると言われています。
アルツハイマー型認知症の原因に関するQ&A
経過:アルツハイマー型認知症の経過
初期(1〜3年)
記憶障害として、新しいことが覚えられなかったり物の名前を思い出せなかったり、認知機能障害として、日付の感覚が曖昧になったり、生活上では、ものとられ妄想や被害妄想、自発性が低下したり、身だしなみがだらしなくなったりします。
中期(3~10年)
上記に加え、記憶障害として古い記憶も思い出せなくなったり、認知機能障害として、場所の見当識がつかなくなり、迷子や徘徊、また失語や失認などが出現します。生活面では季節に合った服が選べなくなったり、日常生活に介助が必要になってきます。
重度(8~12年)
記憶のほとんどを思い出せなくなり、意思の疎通が難しくなります。また肉親や家族も誰なのかわからなくなり、失禁や異食など目が離せなくなることや、最終的には無言となり寝たきりとなるケースがあります。
アルツハイマー型認知症の経過に関するQ&A
治療:アルツハイマー型認知症の治療
アルツハイマー型認知症の治療は、大きく薬物療法と非薬物療法の2つに分類されます。進行性の病気なので、治療を行う方が、治療を行わないよりも症状を遅らせることができると考えられています。
薬物療法では、症状や進行により服薬の量を判断して進め、非薬物療法では、回想法や音楽療法、運動療法やレクレーション療法など身体的な活動を行い進めていきます。
アルツハイマー型認知症の治療に関するQ&A
対応:アルツハイマー型認知症の対応
アルツハイマー型認知症の方への対応として、3つのポイントがあります。
1つ目は環境を変えないこと。認知機能低下により、混乱が生じやすくなっています。人間関係、生活環境、生活習慣を相手に合わせることが大切です。
2つ目は本人のプライドを傷つけないことです。認知機能の低下により、状況の判断が難しくなっています。できる限り相手の意思を受け止め、穏やかな声で対応しましょう。
3つ目は本人の自立を促すことです。認知機能の低下により、上記同様状況の判断が難しくなっております。本人の達成感やお互いの信頼感の構築するために、本人の能力を大切にしましょう。
アルツハイマー型認知症の対応に関するQ&A
参考文献
- 病気がみえる vol.7 脳・神経 編集者:医療情報科学研究所 発行社:MEDICMEDEA
- 認知症テキストブック 編集者:日本認知症学会 発行社:中外医学社
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