物忘れとの違いは?アルツハイマー型認知症、「早期受診」の目安
- 作成:2021/09/20
認知症は、脳の機能が低下して日常生活の様々な場面で影響を及ぼすものです。認知症には、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがありますが、もっとも多いのは、アルツハイマー型認知症です。 高齢になるほどかかりやすく、65歳以上の患者は推計およそ600万人(2020年)。2025 年には、高齢者の5人に1人のおよそ700万が認知症になると予測されています。
この記事の目安時間は3分です
長時間かけて進むアルツハイマー型認知
アルツハイマー型認知症には、若年性アルツハイマー認知症と呼ばれる、65歳未満の比較的若い年代で発症するものと、老齢期に発症する2つのタイプがあります。一般的に老齢期に発症するのは寿命の長い女性が多く、若年性アルツハイマー認知症はやや男性に多い傾向があります。したがって、日々の生活ばかりではなく、就労にも影響が及ぶのが若年性アルツハイマー認知症での大きな問題です。
今回は、一般的な老齢期に発症するアルツハイマー型認知症について解説します。
アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドβというタンパク質が脳にたまり、脳の細胞が死滅して脳が縮んでしまうもの。年をとることで徐々に増えていくため、脳にできる老人斑(シミ)とも呼ばれています。
少しずつたまっていくため、初期にはただの“物忘れ”と思われることがあります。しかし、単なる物忘れと認知症には違いがあります。その違いを見逃さないことが重要です。
単なる物忘れとの違いは?
症状の出方は人によって違いますが、おおむね下記のように分けられます。
■記憶障害
数分前に聞いたことを忘れる。新しいことを覚えられない(例:携帯の機種が変わり使
えない)。以前覚えていたはずのことも忘れる(肉親の顔)。
■見当識(年月日、時刻、自分のいる場所、季節など)障害
日時、曜日がわからない。季節の感覚が薄れる。買い物などに行って帰れなくなる。自
分の年齢がわからない。家族の生死に関わる記憶がなくなる。
■理解・判断力障害
2つ以上のことが重なると同時進行ができない。買い物でいつも札を出すため小銭が多
くなる。ATMの前で手間取る。
■実行機能障害
買い物に行くと同じものを買う。料理の段取りができなくなる。自分で予定を立てられ
なくなる。
■適切な感情表現ができない
うつのような症状が出る。その場の状況が理解できないため、周囲の人が驚くような思
いがけない反応をする。
気になる物忘れがあったら早期に受診を
誰でも一定の年齢になると、物忘れが増えてきます。「もしかして認知症?」とビクッとしてしまうこともしばしば。特に肉親でアルツハイマー型認知症を患った人がいる場合、気になるのも当然です。「病院に行くのはちょっと…」と思っていても心配なときは、認知症予防協会などのホームページでテストが受けられますので、一度やってみてもいいかもしれません。近年、アルツハイマー型認知症は、早期に発見できれば完治はできませんが、薬の服用で進行を遅らせることができるのです。
また、バランスのよい食事や適度な運動、生きがいを見つけて張合いのある老後にすることが予防になるといわれています。
認知症の初期には、本人もそれがわかっているため苦しむ人が多く見られます。特に真面目で責任感のある人は自分を追い込んでいきます。そして、本人はもちろんですが、周囲の子どもや孫にまで大きな影響を及ぼしてしまいます。
厚生労働省と文部科学省は、中学生の17人に1人がヤングケアラーと呼ばれ、家族(親、祖父母、きょうだい)の何らかの介護をしているというショッキングな調査結果を発表しました。
介護は一筋縄でいくものではありません。本を読んだからといって、その通りにできるというものではないのです。
現在、介護に悩んでいる人、迷っている人は多いと思います。そこで、何かの一助になればと、次回は実際に介護をしている方の手記を紹介します。
参考サイト
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html
https://www.mhlw.go.jp/content/000521132.pdf
政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/1.html
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