目薬の正しいさし方は?開封後の使用期限はいつまで?過ぎたら捨てるべき理由
- 作成:2021/09/16
身近な存在である目薬ですが、正しい使い方を把握していない方も多いかもしれません。目薬をうまくさすコツや使用期限などをご紹介します。
この記事の目安時間は3分です
Q.目薬は、1回何滴使えば良い?
A.基本的に、片目に1回1滴で十分な効果があります。
人間の結膜嚢、つまり目のプールである部分には、成人で一度に20~30μL(マイクロリットル)しか入りません。目薬の1滴はそれよりも少し多めの30~50μLなので、基本的に1回1滴で十分な量が点眼できるように作られています。1滴以上の量を点眼しても目の外にあふれたり、鼻に流れ出たりしてしまいますので、ご注意ください。
目薬の種類にもよりますが、ドラッグストアで販売している目薬には1回1~3滴と記載しているものがあります。これは、確実に十分な量を点眼させるために多めの量で設定されています。安全に使えるように、決められた濃度の範囲内での設定となっています。製品ごとに点眼量は異なるので、しっかり説明書を読んでから使用しましょう1)。
目薬1本でどのくらいの期間もつの?使用期限は?
5mLの目薬には、先述の1滴の量から計算すると、約100滴分の液量が入っています。1回1滴で1日3回片目に点眼をした場合、計算上は1ヶ月分の量になります。
ただ、目薬を使い忘れてしまったり、1日3回使わなかったりして、1ヶ月経っても液が残っていることもあるかもしれません。しかし、日常で使用されている目薬は、防腐剤の有無・種類に関係なく、開封後は細菌などの微生物汚染を受けてしまうことが明らかになっています。2)したがって防腐剤が入っている目薬でも、開封したら約1ヶ月で使い切るか、残っていても捨てるようにしましょう。防腐剤が入っていない目薬は、1回使用したら捨てるのが基本です。
上手に目薬をさすためには?
上手に目薬をさすコツがありますので、よく失敗する方は医師や薬剤師、看護師などに相談してみてください。ちなみに、目薬の滴下の成功率を観察した調査報告では、点眼の成功率は70.1%で、医療従事者から点眼方法をきちんと教わった人はわずか19%しかおらず、多くは自己流もしくは家族や友人から教えてもらった方法で点眼していた、という結果が得られています3)。そのため、今回は正しい点眼の方法を改めて紹介しますので、ぜひ確認してみてください。
(ⅰ)成人の目薬のさし方 1)
1)下眼瞼下垂法
下まぶたを下にひき、容器の先がまぶたの縁やまつ毛に触れないようにして点眼する。
2)げんこつ法
げんこつを作り下まぶたにげんこつを当て、引き下げる。その後げんこつの上に目薬を持った手を乗せ安定させて点眼する。
(ⅱ)子どもの目薬のさし方4)
1)仰向けでさす
子どもの頭をひざの上にのせて、仰向けに寝かせ、下まぶたを軽く下げて(アッカンベーをするように)点眼する。
2)寝ているときにさす
嫌がるときは子どもが寝ているときに下まぶたを下げてそっとさす。目の表面が濡れる程度で、涙に混ざって全体に広がります。
3)目をつぶらせてさす
点眼時に目を閉じてしまう子どもには、目の周りを清潔なガーゼやティッシュで拭いてから目をつぶらせて、目頭に目薬を落とし、目をパチパチさせると、目薬が目に入る。
※子どもが泣いている最中は、涙で目薬が流れてしまうため、点眼を避ける。
点眼後は薬液が鼻や口に流れないように、しばらく目を閉じるか、目頭を軽く押さえます。最後に、目からあふれた薬液は、清潔なガーゼかティッシュでふき取ってください。
目薬は身近なものでありながら、意外と正しい使い方については知られていないことが多いです。気になることやお困りのことがあれば、ぜひ身近な医療従事者に相談してみてください。
【参考文献】
1)社団法人 日本眼科医会;点眼剤の適正使用ハンドブック-Q&A-;平成23年9月 初版
2)尾家重治;外来患者使用後の点眼剤の微生物汚染;CHEMOTHERAPY;1992年40巻2号p.191-194
3)池田博昭;点眼の滴下成功率と滴下部位のビデオ解析;YAKUGAKU ZASSHI;2020年140巻12号p.1455-1462
4)松本康弘(2018);極める!小児の服薬指導;日経DI
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