自己判断で割るのはNG!錠剤を割ってはいけない3つの理由
- 作成:2021/09/07
大きな錠剤を処方されたとき、「飲みにくそう」と思った経験をしたことがあると思います。そういった薬は「半分に割って飲むと良い」という情報をSNSなどで見かけることがありますが、果たして本当でしょうか。
この記事の目安時間は3分です
Q. 錠剤が大きくて飲みにくい場合、半分に割って飲んでも良いですか?
A. 割っても良い薬もあるが、割ってはいけない薬もある。
薬の中には、錠剤を半分に割っても問題ないものもありますが、半分に割ってしまうと本来の有効性や安全性が失われてしまうものもあります。自己判断で薬に手を加えることはせず、扱いにくい薬がある場合はその旨を薬剤師に相談することをお勧めします。
割ってはいけない錠剤のあれこれ
一般的に、錠剤の薬を口から飲むと、胃や腸で有効成分が溶け出し、それが血液中に吸収されて効果を発揮します。このとき、薬が安全かつ効果的に作用するためには、薬は適切な場所で、適切な速さで溶け出さなければなりません。そのため、薬に下手に手を加えると、本来とは異なる場所で薬が溶け出したり、あるいは必要以上の速さで溶け出したりして、期待した通りの効果が得られなかったり、あるいは想定していなかったような副作用が現れたりする原因になります。
腸で溶けるように設計された「腸溶錠」
薬の中には、胃酸のような強力な酸に触れると分解されて効き目を失ってしまうものがあります。こうした薬は、胃では溶けずに、腸に届いてから初めて有効成分が溶け出すようにコーティングするなどの工夫が施されています。このような錠剤を半分に割ったり砕いたりして飲むと、有効成分が胃で胃酸に触れて分解されてしまうため、ほとんど効果がなくなってしまうことになります(例:オメプラール錠)。
あるいは、有効成分が胃に負担をかけやすい性質を持っている場合、胃では有効成分が溶け出さないようにする、というケースもあります。このような錠剤を半分に割ったり砕いたりして飲むと、有効成分が胃で溶け出して胃が荒れる副作用が強く現れやすくなります(例:バイアスピリン錠)。
薬がゆっくりと溶けるように設計された「徐放錠」
薬の中には、安定した効果が長い時間持続するように、有効成分がゆっくりと時間をかけて溶け出すように設計されたものがあります。このような錠剤を半分に割ったり砕いたりして飲むと、本来はゆっくりと溶け出すはずだった有効成分が一気に溶け出し、必要以上の速さで吸収されることになります。副作用や中毒症状を起こすほか、薬の効果も速く切れてしまうことになります(例:パキシルCR錠、ベザトールSR錠)
強い風味を隠すための「糖衣錠」
薬には、強い苦味や酸味、独特の匂いのするものが少なくありません。こうした薬をそのまま飲むのは大変なので、その強い風味を隠すために、有効成分を甘いコーティングで包み込むようにして作られていることがあります。このような錠剤を半分に割ったり砕いたりして飲むと、本来はコーティングされていた苦味や酸味、独特の匂いを直接感じることになります(例:アリナミンF錠)。
扱いづらい薬がある場合は、薬剤師に相談を
錠剤を半分に割る、粉々に砕くといったことのほかにも、カプセルを分解する、貼り薬を切る、塗り薬を混ぜる・・・といったことをすると、薬の効き目がなくなって持病が悪化する、思わぬ副作用が現れる、といった不測の事態を招く原因になります。扱いにくさを感じる場合は、自己判断で薬に手を加える前に、その旨を薬剤師に相談してください。より小さな錠剤に切り替える、同じ有効成分の錠剤・カプセル・粉薬に切り替える、貼り薬のサイズを変更する、混ぜても問題のない組み合わせの塗り薬で混合するなどの対応をすることもできます。
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