高血圧の食事治療 塩分や水分の注意点は?カリウムが良い?科学調味料の考え方は?
- 作成:2016/10/12
高血圧の治療は、食事も1つの重要な要素となっていて、塩分をひかえるほか、化学調味料も可能な限り避けたほうが良いとされます。水分や、高血圧と密接に関係しているカリウム摂取の考え方を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
高血圧の食事治療の考え方
高血圧の食事療法では、まず塩分の制限(いわゆる「減塩」)を行います。これは食塩に含まれるナトリウムが血液中に増えすぎると、水分でナトリウムの濃度を薄めようという機能が働いて、血管の中の水分量が増え、血圧を上昇させてしまうためです。血圧を上昇させるナトリウムを多く含む食品である食塩を制限することが高血圧対策につながるのです。減塩の目標は一般的には食塩の量が一日6グラム程度までとされていますが、患者さんの状態により変わる場合がありますので、細かくは主治医の先生に確認しましょう。
また、肥満も高血圧と関係があり、高血圧の患者さんの中には。体重を減らすだけで血圧が正常値まで下がる方もいます。また、体重を減らすことで、高血圧の治療に必要な薬を少なくすることができる場合も多く、体重を減少させることは、高血圧の患者さんにとっては大切なことです。体重を減らすためには、食事全体のカロリーを減少させることが必要です。
前提として、まず飲酒を控えましょう。アルコールは飲んだ直後は血圧を低下させますが、長期にわたる飲酒は逆に血圧を上げてしまいます。また飲酒時にとるおつまみも塩分の多いものが多いため、相乗効果で血圧が上がりやすくなってしまいます。禁酒しただけで血圧が下がる方も多くみられますので、飲酒量を控えることが大切です。
どんなものを食べればよい?化学調味料は?
減塩については、以下のような方法が一般的です。
・麺類のつゆは飲まないようにしましょう。
・干物、漬け物、佃煮などの食塩を多く含む食品を控えましょう。
・カツオや昆布、しいたけなどの天然のだしをしっかりときかせましょう。塩分が少なくても満足できます。
・だしの素などの化学調味料を避けましょう。化学調味料にはナトリウムが多く含まれており、しょっぱく感じなくてもナトリウム過剰となって血圧を上昇させる可能性があります。
・さしみやおひたしなどに使用するつけ醤油、かけ醤油はカツオなどのだしで割るか、レモンや酢などの酸味をきかせましょう。
・煮物などは甘味を抑えると食塩も控えられます。
カロリー制限については、年齢や性別、持病の有無や運動量などにより個人差があるため主治医の先生に必ず相談して行います。いずれにしても極端なカロリー制限や偏った食事内容はかえって身体に負担をかけるため、バランス良く食事をとりながら脂肪分や炭水化物の量を減らしてカロリーを少なくすることが理想的です。間食は控え、外食する際やお弁当、菓子パンなどを買って食べるときは必ずカロリー表示を確認するよう心がけるようにしましょう。
カリウムがよいのはなぜ?カリウムは何に含まれる?
ナトリウムを排泄させるはたらきがある成分として、カリウムが挙げられます。カリウムは主に野菜や果物、大豆製品、海藻などに多く含まれており、ナトリウムが腎臓で再吸収されるのを抑制して尿中への排泄を促し、血圧の上昇を抑える効果があると考えられています。
そのためカリウムを含む食品を積極的にとることが高血圧の患者さんには大切です。カリウムは煮たり、ゆでたりすると溶け出してしまう性質があるため、加熱して調理する場合は汁ごと摂取できるスープにしたり、煮汁ごと摂取できるような調理にするなどの工夫が必要です。また比較的手軽に摂取できるカリウムが多い食品として、バナナやリンゴ、干し柿などの果物があります。いずれにしても一度にたくさん摂取して終わりではなく、毎日の食生活の中で継続してカリウムを多く含む食品をとるよう心がけることが何よりも大切です。
また、高血圧に加えて腎臓の機能が悪い方は元々体内にカリウムが蓄積されやすい場合があります。カリウムは一定以上蓄積されると不整脈を引き起こすなど命に関わる場合があり、注意が必要です。カリウムを積極的に摂取する場合は、腎臓の機能低下がないか必ず主治医の先生に相談して下さい。
水分や塩分で注意すべきこと
高血圧の方は水分の摂りすぎにも注意が必要です。水分をとりすぎると血管の中の水分量が増え、血圧が上昇してしまいます。他に持病がない場合は過剰に制限する必要はありませんが、標準体重の成人の方では一日1500mlから2000ml前後を目安にすると良いでしょう。心臓や腎臓に病気がある方は飲水量に制限が必要な場合があるため、必ず主治医の先生に相談するようにしてください。
逆に水分の不足にも注意が必要です。夏場などは気がつかないうちに汗をかき、脱水という危険な状態になるケースも近年多くみられます。汗とともにナトリウムが失われるため、多量の汗をかく場合は少量の食塩(水1lに対し塩小さじ半分程度)を水分と一緒に摂取したり、スポーツ飲料を半分程度に水で薄めたものを飲むと水分やナトリウムの補給に効果的です。
日常の水分補給では、甘いジュースや砂糖・ミルクの入ったコーヒーを避けるように気をつけましょう。糖分や脂肪分が非常に多く含まれ、血糖値を上昇させて糖尿病のリスクを増やしたり肥満を引き起こす原因となります。水やお茶などカロリーのないものを選びましょう。
高血圧の食事療法の考え方についてご紹介しました。高血圧に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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