高血圧の原因にも予防にもなる食事 何が良い?悪い?
- 作成:2015/11/11
日本人は、塩分を多くとる食文化に加え、食事の西洋化が重なり、日本人は高血圧になりやすいといわれています。つまり、食事で塩分を控えるなどのポイントをおさえれば、食事で予防につながる可能性があります。高血圧と食事の関係について、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
日本人に多い高血圧
日本で高血圧の人は約4300万人、つまり国民の3人に1人は高血圧と言われており、日本人によく起こる病気です。高血圧とはその名の通り血管にかかる圧力のことです。心臓が収縮した時に最も高い圧力となり、これを「収縮期血圧」、または「最高血圧」と呼びます。また、心臓が拡張した時には最も低い圧力となり、これを「拡張期血圧」または「最低血圧」と呼びます。高血圧の診断基準は、健診などで140/90mmHg以上か、家庭で測定した血圧が135/85mmHg以上の時となっています。ただし血圧は緊張や運動、ストレス、痛みなど様々な刺激でも高くなることが分かっているので自宅で朝晩、毎日測定してみることが大切です。
高血圧には原因がはっきりしない「本態性高血圧」が90%で、残りの10%は「二次性高血圧」と言って高血圧を引き起こす腎臓や血管、甲状腺、副腎などの病気によると言われています。二次性高血圧の場合には元の病気を治療しないと改善しませんが、本態性高血圧の場合はほとんどが食事や運動不足などの生活習慣によると考えられています。日本人に高血圧が多いのは、塩分摂量が多いことと食生活の欧米化による肥満の増加だと言われています。
高血圧は命の危険とつながっている
高血圧は血管の壁に強い圧力がかかっている状態が長く続くので、血管が硬くなり動脈硬化が進みます。全身の重要な臓器である脳、心臓、腎臓などは全て血管が通っているので、動脈硬化が進むとそれらの臓器に大きな障害が出ます。例えば脳の血管の動脈硬化が進むと、ある時に血管が耐えきれなくなって破裂し、脳出血やくも膜下出血を起こします。
心臓に関しては狭心症や心筋梗塞だけでなく、「大動脈解離」と言って心臓の大きな血管が裂けてしまうことがあります。また腎臓の動脈硬化が進むと、腎臓の機能が落ちてしまい、自分では尿や毒素などを排出できなくなり週に複数回、生涯にわたって通院が必要な透析が必要になります。どの病気も命の危険があるだけでなく、日常生活に支障を来す可能性がある怖い病気です。
日本の食事は高血圧になりやすい
高血圧の原因のほとんどは食塩摂取過剰によると考えられています。日本人は味噌、醤油、塩などの味付けが昔から多く、好んで食べる食文化があることが、高血圧を発症する人が多い要因です。食塩を過剰に摂りすぎると、尿中へ排泄している腎臓の処理能力を上回ってしまい、血液中に溜まってしまいます。食塩中に含まれているナトリウムが血液中に溜まると、その濃度を薄めようと体は水分を蓄えようとします。塩辛いものを食べた後は水分をたくさん摂取したくなるのもこの体の調節によります。結果として、体を回っている血流の量が増加して血圧が上がり高血圧となります。
肥満も高血圧の大きな危険因子と言われており、カロリーの多い食事は血圧を上げる可能性があります。心臓が全身に送る血液の量は体重に比例して増加するので、肥満は心臓に負担をかけ高血圧を引き起こします。食事以外では精神ストレスや喫煙なども高血圧のリスクということが分かっています。
高血圧になりにくい食事
先ほど挙げたように過剰な塩分は、体の中に水分を溜めようとして血圧を上げます。高血圧にならないようにするためには塩分を控えることが一番の食事療法と言われています。具体的には塩分摂取量は1日6g未満が理想と考えられており、コンビニやスーパーなどの食品のナトリウム表示は、2.54倍すると塩分の量になるので参考にしましょう。外食やコンビニなどはどうしても塩分が多くなってしまうため、なるべく自分で作るようにするか、麺類などはスープを飲まないようにするなど工夫をすることが大切です。胡椒や七味、酢などで味つけの工夫をするのも良いです。
また、高血圧と診断された場合は肥満である可能性が高いので糖質や脂っこいものなどカロリーの高いものを控え、野菜や良質なたんぱく質(卵、豆、魚、脂の少ない肉)をバランスよく摂るようにしましょう。腎臓が悪い場合にはカリウムは適しませんが、腎臓が悪くない場合は野菜や果物に含まれるカリウムは体の中のナトリウム(塩分)を尿から排出しやすくさせるので積極的に摂ると良いです。
高血圧について食事との関係をご紹介しました。もしかして高血圧かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
関連するQ&A
関連する記事
このトピック・症状に関連する、実際の医師相談事例はこちら
病気・症状名から記事を探す
- あ行
- か行
- さ行
-
- 災害
- 再放送
- 子宮外妊娠
- 子宮筋腫
- 子宮頸がん
- 子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん
- 子宮頸がん検診・検査
- 子宮頸がんの症状
- 子宮頸がんのリスク・予防
- 子宮内膜症
- 脂肪肝
- 手術
- 出産後の症状・悩み
- 出産準備・入院
- 食事・授乳・ミルク
- 食欲
- 心臓病
- 自閉症
- 女性
- 自律神経失調症
- 腎炎・腎盂炎
- じんましん(蕁麻疹)
- 膵臓がん
- 睡眠
- 髄膜炎
- 頭痛薬、副作用
- 性器の異常・痛み
- 性器ヘルペス
- 性交痛
- 成長(身長・体重など)
- 性病検査
- 性欲
- 生理痛(生理・月経の痛み)
- 生理と薬(ピルなど)
- 生理不順・遅れ(月経不順)
- 摂食障害
- 切迫早産
- 切迫流産
- セミナー・動画
- 前立腺
- その他
- その他アルコール・薬物依存の悩み
- その他胃の症状・悩み
- その他うつの病気・症状
- その他エイズ・HIVの悩み
- その他肝臓の病気
- その他外傷・怪我・やけどの悩み
- その他心の病気の悩み
- その他子宮頸がんの悩み
- その他子宮体がんの悩み
- その他子宮の病気・症状
- その他出産に関する悩み
- その他腫瘍の悩み
- その他消化器の症状・悩み
- その他腎臓の病気・症状
- その他生理の悩み・症状
- その他臓器の病気・症状
- その他皮膚の病気・症状
- その他卵巣がんの悩み
- その他卵巣の病気
- その他流産の症状・悩み
- た行
- な行
- は行
- ま行
- や行
- ら行
協力医師紹介
アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。
記事・セミナーの協力医師
-
白月 遼 先生
患者目線のクリニック
-
森戸 やすみ 先生
どうかん山こどもクリニック
-
法村 尚子 先生
高松赤十字病院
-
横山 啓太郎 先生
慈恵医大晴海トリトンクリニック
-
堤 多可弘 先生
VISION PARTNERメンタルクリニック四谷
-
平野井 啓一 先生
株式会社メディカル・マジック・ジャパン、平野井労働衛生コンサルタント事務所
Q&Aの協力医師
内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。