病気が原因の高血圧 ホルモン異常や遺伝も関係?
- 作成:2016/01/29
高血圧には2種類に大別されます。よく知られているのは原因不明の高血圧ですが、もう1つ病気が原因で引き起こされるものがあります。遺伝やホルモン異常が関係しているケースがあります。病気が原因の場合、高血圧の症状でなく、病気の治療が優先されます。高血圧の原因となる病気にどのようなものがあるのか、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
「2次性高血圧」って何?
日本人の3人に1人が高血圧と言われており、放置すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や大動脈破裂、脳出血、脳梗塞、腎不全などの命に関わる病気を引き起こします。高血圧の原因は、塩分摂取過剰、カロリー摂取過剰、肥満、ストレス、喫煙、腎臓やホルモンの病気など様々です。
高血圧の原因は大きく2つに分けられており、原因不明のものを「本態性高血圧」、原因となる病気が明らかな場合を「2次性高血圧」と呼びます。高血圧の90%は本態性高血圧で、2次性は10%と言われています。本態性高血圧として、内服薬で治療をしても、なかなか血圧がコントロールできない患者さんの中に、2次性高血圧が隠れていることもあります。2次性高血圧の原因は、薬剤、腎臓疾患、ホルモン異常、睡眠時無呼吸症候群などが考えられます。病院では疑いのある病気に合わせて精密検査が行われます。
「遺伝で高血圧」もありえる
腎炎(腎臓での炎症)や多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん、後述)などの腎臓病によって腎機能が低下すると、健常な人よりも血圧が高くなりやすいと言われています。病院を受診すると、腎臓病でよく見られる蛋白尿や血尿がないか、今まで健診などで異常を指摘されたことがないか聞かれます。
「多発性嚢胞腎」という腎臓の病気は遺伝性で、年齢と共に、腎臓に嚢胞(のうほう)が多くでき、腎臓の機能が低下する病気です。家族に多発性嚢胞腎の人がいないか、多発性嚢胞腎の合併症として知られる脳動脈瘤破裂(のうどうみゃくりゅうはれつ)による脳出血の人がいないかを聞かれます。その他では、腎臓に栄養を提供する腎動脈が狭くなっているため、高血圧を引き起こす「腎血管性高血圧」と言う病気もあります。
ホルモン異常で高血圧になる場合
2次性高血圧を引き起こす代表的なホルモンは、甲状腺ホルモン、アドレナリンとしても知られる「カテコラミン」、ステロイドとしても知られる「副腎皮質ホルモン」のほか、「レニン」や「アルドステロン」と呼ばれるものなどがあります。ホルモンが増加する原因は、ホルモンを作る分泌組織が、はれて大きくなっていることが考えられます。時にがんがホルモンを産生し、異常をきたすこともあります。
腎動脈が狭くなり、高血圧を引き起こす腎血管性高血圧の場合、「レニン」というホルモンが過剰に分泌され血圧を上昇させます。2次性高血圧の中でも多いと言われる「原発性アルドステロン症」は、副腎と呼ばれる組織から過剰に分泌されたアルドステロンにより高血圧を引き起こします。高血圧患者全体の10%を占めると考えられています。
2次性の場合は、病気対応が最優先
2次性高血圧の場合には、高血圧の症状に対処するよりも、原因となっている病気の治療を優先させます。例えば腎動脈が狭くなって起こる腎血管性高血圧は、腎臓の動脈を広げることにより改善することがあります。ホルモン異常の原因になっている甲状腺などの治療、場合によっては手術による摘出で高血圧が改善することもよくあります。手術や処置をするか、薬のみで治療をするかは精密検査の結果によります。 睡眠時無呼吸症候群が原因で高血圧になっている場合も、肥満によるものか、気道を閉塞している部位(「アデノイド」と呼びます)がないかなどを調べ、減量や手術などが検討されます。2次性高血圧の場合、高血圧の治療はただ血圧を下げるのではなく、原因を明らかにすることも大切です。
高血圧の原因となる病気などをご紹介しました。高血圧を放置して、不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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