高血圧の原因 酒、ストレス、タバコ以外に職場、時間も関係?
- 作成:2016/01/29
身近な高血圧という疾患については、ある程度解明されている部分があります。アルコールの摂取量が多くなると、血圧を高める傾向がありますので、目安を知って、飲みすぎないようにしましょう。ストレスと高血圧の関係は不明ですが、職場だけ、夜間だけ、と限定的な場面で血圧が上がることがあります。タバコとの関係を含めて、高血圧の原因を、医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
高血圧は多様な病気につながる
高血圧では、血圧が正常値より高い状態が慢性的に継続しています。自覚症状があまりないため、知らずに高血圧状態を放置しておくと、動脈硬化をきたし、様々な合併症(伴った病気)を引き起こします。高血圧をコントロールする処置や治療をおこたったために、気がついたら動脈硬化や、それによる合併症の病気を起こしている場合も多く、普段から自宅で血圧を測定する習慣をつけ、生活習慣の見直しを実践することが大切です。
アルコール量で上下する血圧
日本高血圧学会が発行している「高血圧治療ガイドライン2014」によると、飲酒、特に習慣性の飲酒は、血圧上昇の原因になることが判明しています。
大量の飲酒は、高血圧だけではなく、脳卒中、アルコール性心筋症、心房細動などを引き起こします。さらには、がん発症のリスクを高め、死亡率を高めています。逆に、飲酒習慣がない、あるいは、少量の飲酒量にとどめている高血圧患者では、心血管病のリスクが改善している傾向が認められます。また、少量の飲酒では、いったん血圧を降下させますが、飲酒を長期間続けると、今度は血圧が上昇傾向を示します。
ある試験によると、約3カ月間にわたり、飲酒量を80%減らしたところ、血圧が下がったという結果が出ています。大量に飲酒する人では、急激にアルコールが体内に入ることで血圧は上昇します。しかし、その様の方でも、節酒(あるいは禁酒)を励行することで血圧は徐々に下がることがわかっています。
このような結果から、高血圧の方の一日の飲酒量の目安として、男性では、日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合弱、ウィスキーやブランデーはショットのダブル1杯、ワイン2杯程度、女性はすべてで男性の半分以下の量に抑えることが推奨されています。
職場高血圧?夜間高血圧?
ストレスが高血圧を引き起こすという決定的な証拠はありませんが、特定の時間帯による血圧の上昇を招いているケースがあるのも事実です。
ストレスが関係する高血圧を、「昼間高血圧(ストレス下高血圧)」といいます。これは、医療機関や家庭での血圧測定では正常値を示しても、職場や学校や家庭などで、なんらかのストレスを受けている場合、昼間の時間帯のみ血圧平均値が高くなりものです。朝晩は平常でも、昼間に限って、平均最大血圧が135㎜Hg以上、平均最小血圧が85㎜Hg 以上になります。
この場合、精神的、身体的ストレスが、昼間の活動時間の高血圧を引き起こしていると考えられます。俗に、「職場高血圧」といって、職場での仕事中に血圧が高くなる方もいます。職場高血圧の方では、肥満や高血圧の家族がいる方が多いという傾向も認められます。
また、朝昼は平常でも、夜間に最大血圧が120㎜Hg以上、最小血圧が70㎜Hg以上となる場合を、「夜間高血圧」といいます。夜間高血圧は、通常、心不全、腎不全、睡眠時無呼吸症候群、脳血管障害などを引き起こすといわれています。さらに、自律神経障害、抑うつにも関連しているといわれており、やはり、夜間高血圧とストレスにはなんらかの関係があるのではないかという指摘もされています。
禁煙や肥満とも関係している?
その他にも、以下のような高血圧の原因があります。
*食塩過剰摂取: 世界中の研究機関により、食塩過剰摂取と高血圧の関連性が明らかにされています。現在では、1日の食塩摂取量を5g以下にするよう世界保健機関(WHO)のガイドラインで推奨されていますが、日本では6g以下が目安となっています。減塩は、血圧を下げるだけでなく、冠動脈疾患や脳卒中のリスクも大幅に下げます。
*肥満: 肥満は、高血圧のみならず、代謝異常、脳梗塞、脂肪肝、月経異常、睡眠時無呼吸症候群などを引き起こします。最近では小児の肥満が高血圧を引き起こしていることから、大きな懸念材料となっています。
*運動不足: 適度の運動をすることで血圧は降下します。運動は血圧を降下させるだけではなく、体重減少、血清脂質などを改善します。特に継続的に弱い負荷をかける「有酸素運動」の効果が高いことがわかっているため、高血圧患者には食事制限だけではなく適度の運動する習慣をつけることが推奨されています。
*喫煙: 近年の研究で、タバコ、つまり喫煙と高血圧の関連性が多く指摘されていますが、喫煙が血圧を慢性的に上昇させ続けるという決定的な結論にはまだ至っていません。しかし、15分間継続して喫煙すると一時的に血圧が上昇することが分かっています。喫煙は動脈硬化の原因になります。動脈硬化と高血圧は強い関連性をもっていますので、喫煙と高血圧は関係しているという見方が強いのは当然と言えます。その他、喫煙は、腎血管性高血圧のリスク要因、冠動脈疾患の原因、脳卒中発症の高リスク因子となります。そのため、禁煙は健康維持のためには大変重要なのです。
高血圧ついてアルコールとストレスとの関係をご紹介しました。高血圧かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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