2種類ある高血圧の原因と対策 自分でできることがある?
- 作成:2015/11/05
高血圧とはよく効く病気ですが、実は2種類あります。ほとんどが、生活習慣などが原因となる「本態性高血圧」というものです。高血圧がよく効く病気だと思って治療しないでいると、「サイレントキラー」と呼ばれ、心臓や他の臓器の重大な疾患につながります。自分でできる対策を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
高血圧、140以上、90以下が目安
日本で高血圧の人は約4300万人、つまり国民の3人に1人が高血圧と言われています。また高血圧に関連する病気で死亡している人数は、年間約10万人です。この理由は日本人の塩分摂取量が多いことや食生活の欧米化による肥満傾向などが考えられています。血圧は心臓から全身に送られる血液が血管の壁を押す圧力のことで、この力が強すぎることを高血圧と呼び、放っておくと動脈硬化を促進し、様々な病気を引き起こします。心臓が最も収縮する時の血圧を「最高血圧」または「収縮期血圧」といい、最も拡張している時を「最低血圧」または「拡張期血圧」といいます。最高血圧が140mmHg以上または最低血圧が90mmHg以上が続く時に高血圧と診断されます。
高血圧には2種類ある
高血圧の原因は大きく分けて2つあり、「本態性高血圧」と「二次性高血圧」に分類されます。高血圧の中でも90%を占める本態性高血圧は、詳細な原因は不明ですが、遺伝的な要素や環境要因などが大きく関わるとされています。いわゆる生活習慣病の1つで、過剰な塩分摂取、肥満、運動不足、睡眠不足、ストレス、喫煙、アルコール多飲、自律神経の乱れ、野菜不足などが原因となります。
一方、二次性高血圧は腎臓の血管や副腎、甲状腺など他の臓器に病気があることで高血圧になります。治療法もそれぞれ異なり、本態性高血圧の場合は生活習慣の改善、二次性高血圧の場合は原因疾患の治療が主になります。
”サイレントキラー”高血圧
高血圧を放置しておくと動脈硬化が進行し、命に関わるような怖い病気も引き起こす可能性があります。例えば心臓に対しては、心臓の血管の動脈硬化が進むと狭心症や心筋梗塞だけでなく、血管が裂けてしまう大動脈解離という病気を起こします。脳の血管の動脈硬化が進行すると脳梗塞を引き起こします。高血圧を放置して脳の血管に高い圧力がかかり続けていると、脳出血やくも膜下出血といって命に関わるか、助かったとしても将来麻痺(まひ)などの重い障害が残る可能性があります。
腎臓は尿毒素や水分、カリウムなどを体の外へ尿として排出する大事な臓器ですが、それ自体は細い血管の集まりでできています。動脈硬化が進行すると「腎硬化症」といって、腎臓が硬くなり、うまく働かなくなってしまいます。その結果、人工透析が生涯にわたって必要になります。また、動脈硬化は足の血管にも悪影響を及ぼします。閉塞性動脈硬化症といって、少し歩いただけでも足が痛み、冷たくなる病気で、症状が進行すると手術が必要になります。このように高血圧はサイレントキラーと呼ばれ、しばらくは痛くもかゆくもないですが、放置していると重大な疾患を引き起こし命を脅かしています怖い病気です。
自分でできることがたくさんある
高血圧の原因の90%は本態性高血圧で、そのほとんどは悪い生活習慣によると考えられています。日本人は、醤油、味噌、塩などで味付けをする習慣があるので他国に比べても塩分摂取量が多い傾向にあります。またコンビニエンスストアや外食の味付けも濃いため、全てそのまま食べていると塩分摂取過剰になりがちです。塩分摂取は高血圧の大きな原因なので、日ごろから麺類のスープは飲まないようにする、外食を減らす、香辛料やだしなどを効かせて総塩分摂取量を減らすことを心がけてみましょう。
肥満や運動不足も高血圧の原因になるので、カロリーを摂りすぎない、野菜を多めに摂るようにする、1駅分歩いてみるなどを試すようにすると良いかもしれません。長続きするように無理をしないことが大事です。アルコール摂取は適度にし、禁煙しましょう。ストレスを溜めると血圧が上がるので、自分がリラックスできる方法をいくつか見つけ、忙しくてもなるべく早く寝るようにしましょう。
そして、一番大事なことはできれば毎日家で血圧を測定することです。高血圧はサイレントキラーと言われていて、知らない間に病が体をむしばんでしまいます。最近では病院で無料で血圧記録手帳をもらえますし、無料で記録できるアプリなども多くあります。可能であれば朝晩、一日複数回測定して平均値を取ります。忙しい時は忘れてしまっても仕方ないので、なるべく継続して自分の血圧の変化を把握するようにしましょう。ストレスが多い時、外食や飲み会の次の日などは血圧が高い傾向になるなど、自分の状態が良くわかり、血圧だけでなく健康のことをよく考えるきっかけになります。
高血圧の原因と対策についてご紹介しました。高血圧といわれたが、どうしてよいかわからないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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