透析患者の食事の注意点、透析導入を防ぐ食事 リンが危険?
- 作成:2016/01/15
透析とは、腎臓機能が失われた人に対して、人工的に血液をろ過する治療です。ただ、透析を受けていればよいわけでなく、水分がたまって心不全になったり、塩分を多くとりすぎて血圧が上昇しないようにするために、日常の食生活に気をつけることが必要となってきます。また、体重の測定や食物に含まれる成分の把握なども必要となります。
この記事の目安時間は3分です
透析を導入するのはどんな人か?
腎臓はたんぱく質を食べた後に出る老廃物や水分、過剰なリンやカリウムなどの電解質を尿と共に排出する役割があります。腎臓の働きが悪くなるとこれらの物質が体に溜まってしまうため、血液を浄化する透析をしないと生きていくことができなくなります。透析には腹膜透析、血液透析、在宅血液透析などいくつか種類がありますが、日本には30万人を越える患者さんがいずれかの治療を行っています。
腎臓の働きが悪くなると腎不全となり透析を導入することになりますが、その原因は様々です。日本で最も多い原因は糖尿病ですが、他にも高血圧や肥満、低形成(組織の発育が悪いこと)などの先天性腎疾患、アルポート症候群や多発性嚢胞腎などと呼ばれる遺伝性腎疾患、糸球体腎炎や膠原病、感染症などと呼ばれる腎不全を引き起こす可能性があります。
透析患者がカリウムとリンに注意すべき理由
透析患者さんは透析をしているから何でも好きなものを食べていいというわけではありません。なぜかというと週に3回、1回につき平均4時間透析を行っていても、正常な腎機能に改善しているわけではないからです。そのため水分を摂り過ぎれば手足がむくみ、肺や心臓にまで溜まってしまい、呼吸不全や心不全を起こします。塩分を摂りすぎると水分を体に保持しやすくし、血圧も上昇します。カリウムを摂りすぎると筋肉が正常に動かなくなり、不整脈が起こり心停止する可能性もあります。リンを多く摂りすぎると動脈硬化が進行すると言われています。
食品に含まれる物質を把握しよう
透析患者さんの食事では、1日の総量を考えることが大切です。例えばカリウムなどは生野菜や果物に多く含まれます。全く食べてはいけないわけではないので、果物は片手に乗るくらいを2日おき、などと決めて摂るようにします。しかし果物もサラダも野菜の煮物も、となると1日の総量を越えてしまうので、果物を食べたい時には生野菜は摂らないようにしたりとバランスを考えましょう。
どんな食品に、どんな物質が多く含まれているか把握することも大切です。リンは乳製品やたんぱく質、加工食品、洋菓子、インスタントラーメンなどに多く含まれます。牛乳は飲みすぎると水分だけでなくリンを摂りすぎてしまうので、1日に飲む量を決めておくと良いです。
塩分は1日7g以下が望ましいとされています。外食やコンビニなどを多く利用すると塩分が多くなってしまうので、自分で弁当などを作るのも良い方法です。
水分はおかゆや雑炊、スープ、お味噌汁など、直接飲む以外にも多くの料理に含まれています。氷をなめたり、温かいお茶で満足感を得るようにしたり、スープはなるべく飲まないようにするなど工夫をするようにします。慣れないうちは、毎日体重を測定し増加量を記録しておくと良いです。
制限ばかりで負担に感じるかもしれませんが、コツをつかんでバランスよく3食規則正しく食べれば決して達成できないことはありません。日本では透析を導入してから40年以上も継続している患者さんもいます。透析になっても長生きするためには食事に気を付けることが大切です。
腎機能のために食事でできること
現代の医療技術では、残念ながら悪くなった腎臓を元に戻すことはできません。先天的や遺伝的な理由、または原因不明の腎炎や膠原病、感染症などで腎機能を失ってしまう時には、それらの病気の進行を止めるのは難しいこともあります。しかし、高血圧や糖尿病、肥満、高尿酸血症などの生活習慣病による腎機能障害は食事に気を付けることで発症を予防したり、進行を遅らせることができます。腎機能障害を指摘されたとしても、諦めずに食事に気を付ければ透析導入になるのを先延ばしにできている患者さんも多くいます。
腎機能を失わないためには、塩分、糖分、脂質を控えたバランスの良い食事を1日3食規則正しくすることが大切です。特に塩分は、動脈硬化を促進させ腎臓の血管を障害することが分かっています。外食やファーストフード、コンビニをよく利用する人は、なるべく自分で作った薄味のものを摂るようにした方が良いです。
透析について食事との関係をご紹介しました。親族に透析患者がいて不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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