「カプセル薬が飲み込めない」外して飲んではいけない理由と飲み方のコツ2つ

  • 作成:2021/10/06

カプセルの薬が苦手、という人は少なくありません。どうしても飲みにくい場合、全く飲まないよりはカプセルを分解して飲んだ方がマシ・・・ということはあるのでしょうか。

この記事の目安時間は3分です

「カプセル薬が飲み込めない」外して飲んではいけない理由と飲み方のコツ2つ

Q. カプセルが飲みづらいときは、分解して良い?

A. 分解して飲んではいけません。

カプセルを分解して服用すると、薬が必要以上に早く体に吸収されることで、副作用や中毒症状を起こしてしまうことがあります。または、体内において想定と異なる場所で薬が溶け出して 分解され、効き目が全く無くなってしまったり、あるいは強烈な苦味や匂いがしたりする場合もあります。自己判断では絶対に分解しないようにしてください。

薬が「カプセル」になっている理由

基本的に、「カプセル」は消化管の中ですぐには溶けず、じわじわとゆっくり時間をかけて溶けるように設計されています。そのため、カプセルの中に入っている薬は、ゆっくりと時間をかけて溶け出し、体に吸収されます。この結果、薬の吸収スピードが穏やかになり、薬の効果が長続きするというメリットが得られます。

「カプセル」を分解して、中身だけを取り出して服用するとどうなるかというと、薬は剥き出しになっているので、体にすぐに吸収されます。その結果、血液中の薬の濃度が一気に高くなることで、副作用を起こしたり中毒症状を起こしたりする可能性があります。また、薬が時間をかけて体内に吸収されるべきところを、一気に吸収されてしまうことで、効き目がすぐに切れてしまうことにもつながります。つまり、副作用が出やすくなって効き目はすぐ切れるようになる、ということです。デメリットしかありませんので、自己判断で分解しないようにしてください(※自己判断で薬に手を加えて使った場合、もし副作用が起きても補償の対象外となる可能性があります)。

「カプセル」に対する苦手意識を解消するためのコツ

「カプセル」が苦手だという人の多くは、口や喉に貼り付く、なかなか飲み込めない、といった「飲み込みにくさ」がその理由なのではないでしょうか。その場合の、苦手を解消する方法を2つご紹介します。

1つ目は、カプセルを服用する前に、軽く水を飲んで口や喉を潤しておく1)、という方法です。口や喉が渇いている状態でカプセルを口に入れると、上あごや頬、歯茎、場合によっては喉の粘膜に貼り付いてしまうことがあります。特に、一部の薬を飲んでいる人や高齢者においては、唾液の分泌が減っているため、こうしたカプセルの貼り付きが起こりやすくなっていますので、口や喉の粘膜を予め濡らしておくという方法が効果的です。

2つ目は、カプセルを飲み込む際に、あごを引いて少し下を向く、という方法です。薬を飲む際、水で勢いよく流し込もうとあごを上げて、上を向いて飲み込もうとする人がいます。しかし、一般的なカプセルは水に浮くため、上を向くと口の中でカプセルはどんどん喉の方から離れて口元の方に浮いてきてしまい、かえって飲み込みづらくなります。そもそも、あごを上げる=上を向いた状態では気道が開くため、水を誤嚥しやすくなりますので危険です。薬を服用する際はカプセルかどうかにかかわらず、上を向かずに、「あごをひいて」飲むようにしてください。

「どうしても飲めない」という場合は・・・

薬によっては、同じ有効成分で錠剤や粉薬、シロップ剤など、別のタイプが販売されていることがありますので、そちらに変更するという選択肢があります。もしくは、全く同じ有効成分の薬はない場合でも、より飲みやすい形の、似たような効き目の薬で代用する、という方法もあります。代替案がない場合には、薬剤師が専門的な視点から安全性や安定性、有効性などを評価し、可能と考えられるものはカプセルを分解して扱う、というケースもあります。
色々と工夫はしてみたものの、どうしてもカプセルは飲みづらい・・・という場合は、自己判断でカプセルに手を加えたり薬を飲むのを止めたりするのではなく、その旨を医師・薬剤師に相談するようにしてください。

1) J Nucl Med . 1982 Oct;23(10):878-82. PMID: 7119880

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