結婚前からセックスレス…性欲がない17歳差の夫

  • 作成:2021/11/03

性に関するお悩みは、身の回りの人にはしづらいもの。この連載では、そんな性にまつわるトピックに対して、専門の医師が答えていきます。今回解説するのは、セックスレスに悩む女性からのお悩みです。

この記事の目安時間は3分です

結婚前からセックスレス…性欲がない17歳差の夫

【今回のお悩み】
結婚4年目セックスレスです。
17歳年齢が離れている夫とは結婚前からセックスレスで、これまでに1回だけしたきりでそれ以降したことがありません。
何度も話し合いをしましたが、夫にとっては性欲があまりないし、重要だと思っていない。
大事に思っていないわけではないといわれ、そのまま夫婦ですがルームメイトのような関係の生活が続いています。
仕事がお互い大好きなので今の生活も嫌いではないですが、子どもを作ることを今の夫とは考えておらず、子どもが欲しいと思うと離婚を考える機会が私の中で増えてきました。
セックスレスを解消することは困難だと思いますし、子どもを作ることも今は考えることができません。
しかし、このことを考え出すと将来に対しての不安、女性として子どもが産める期間が限られていることからの後悔をしてしまうのではないかという不安でいっぱいになります。
何か解決できる方法はございますでしょうか。
よろしくお願いします。

【医師からの回答】
相談者さんの状況や心情を思うと離婚を視野に入れてもよい状況のようにも感じられますが、今回は医師として医学的側面を中心にお答えします。
現状を維持したままで将来の不安、妊孕性(にんようせい)(生殖機能)に対する不安をある程度解消する方法は、あるにはあります。それは、社会的適応による未受精卵子凍結です。加齢による妊孕(にんよう)(生殖機能)低下が気になるが、今すぐ妊娠・出産は難しいという女性のための一つの選択肢で、生殖補助医療(ART(アート):Assisted Reproductive Technology)実施施設で実施されます。

通常は、しばらく仕事を辞めることができない状況にある、パートナーがいても今すぐ結婚を考えていない、親族の介護のためすぐに子どもを作ることができないなどの事情がある未婚の方が対象となります。結婚されていますので、通常は胚(受精卵)凍結の適応となります。したがって、社会的適応による未受精卵子凍結は、どのART(アート)実施施設でも対応してもらえるというわけではありませんが、不可能ではないと思います。

ただ、問題はあります。もし未受精卵子凍結を実施する場合、将来その未受精卵子を使って妊活をすることを意味するわけですから、本当に今の夫との間に子どもを作ることを考えていないのであれば、将来離婚することが前提ということになってしまいます。
セックスレスの問題も、もしこのまま性生活がないままでよいのであれば問題ありませんが、このままではよくないと考えるのであれば、ご夫婦でセックスカウンセリングを受けるべきだと思います。全国でもセックスカウンセリングに対応できる施設は少ないですが、日本性科学会カウンセリング室、もしくは日本性科学会認定セックス・セラピストまたはセックス・カウンセラーの在籍する施設であれば安心でしょう。

ただ、セックスレスを対象としたカウンセリングや治療は、カップル単位で実施されます。基本的に両者が性生活の再開を望んでいなければ、うまくいかないことがほとんどです。つまり、本人に改善の意欲がまったくないセックスレスは、医療の介入する余地がないとも言えます。「妊娠・出産」と「性生活」をどのように考えるかで、身の振り方は自ずと決まってくるのではないかと思います。

今井伸 先生

聖隷浜松病院 リプロダクションセンター長・総合性治療科部長

1997年 島根医科大学(現・島根大学) 卒業
島根医科大学を経て、2005年1月より聖隷浜松病院
2019年4月より現職
専門領域は性機能障害・性科学・生殖医療
「射精道」を提唱し、男子性教育の普及に力を入れている。
著書 等
『中高生からのライフ&セックス サバイバルガイド (一部執筆)』(日本評論社)
『セックスセラピー入門 (一部執筆)』(金原出版)
『中高年のための性生活の知恵(共著)』(アチーブメント出版)
『人生100年時代をなかよく生きる シニア世代の愛と性(監修)』(平原社)

病気・症状名から記事を探す

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行

協力医師紹介

アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。

記事・セミナーの協力医師

Q&Aの協力医師

内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。

Q&A協力医師一覧へ

今すぐ医師に相談できます

  • 最短5分で回答

  • 平均5人が回答

  • 50以上の診療科の医師