「温め過ぎがこわい」生後3カ月の子どもに最適な室温や服装は?
- 作成:2021/12/24
AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、生後3ヶ月の赤ちゃんが寝る時の環境に悩むお母さんからのご相談です。
この記事の目安時間は3分です
【今回のお悩み】
生後3ヶ月 室温や服装についての質問です。
今現在寝る時室温18℃程(暖房なし)、半袖ボディスーツ+長袖カバーオール+ガーゼのスリーパー+タオルケット
これだと寒いでしょうか?
手は触るとすごく冷えていますが、足やお腹や背中は温かいです。布団をかけるのは窒息が怖いのでかけたくありません。かといってもこもこの毛布のようなスリーパーは暑すぎる気がします。
もし今後夜暖房をつける場合は加湿器をつけ、上記からタオルケットをなしにすればよいでしょうか?
また、温度は21-22℃くらいで大丈夫でしょうか。
温めすぎが怖いのですが、温めすぎとはどのように判断すればいいのでしょうか。
【医師の回答】
赤ちゃんの寝る時の環境はとても難しいですよね。
結論から言うと、「大人にとって心地よいと感じる温度にしましょう」と言う答えです。
実は米国小児科学会でも、赤ちゃんの過ごす快適な室温はこうした方がいいと言うのは明示していません。考えてみれば当然ですよね。気候や環境が全然違うのに、一概にオススメできる気温や湿度を提示できるわけがないですよね。「摂氏18~22℃が一番快適」と言うオススメも目にしますが、私が調べる限り科学的根拠(=エビデンス)はありません。
ここで注意しないといけないのは、赤ちゃんは大人に比べると体温の調節する機能が未熟であることです。快適な気温であっても急激な気温の変化などで、赤ちゃんの体温は急激に変化します。気温だけでなく、服や掛け物などでも容易に体温が上がります。
温めすぎが怖いとのことでしたが、体の熱さや汗のかき具合、測った体温などで熱すぎないか判断していくのがいいと思います。
原因不明の乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症リスクの1つに、赤ちゃんの体温の過剰な上昇が挙げられます。またうつ伏せ寝をして体温が上昇しそれがSIDSを起こすのではないかと言う文献もあります。しかし、ここで注意が必要なのはなぜ体温上昇がSIDSに多いのかというメカニズムが不明なことです。まだわかっていないのです。厚着させず、暑くしすぎない事が大切と思います。こういった知識をもとに赤ちゃん自身を見ながら快適な気温を調節してあげてください。
#1. American Academy of Pediatrics. Safe sleep and your baby: How parents can reduce the risk of SIDS and suffocation
#2.N Engl J Med 1993;329(6):377-382
今西 洋介
小児科医/新生児科医。日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医。
日本小児科学会健やか親子21委員。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載コウノドリの漫画・ドラマの医療監修を務めた。m3(エムスリー)、Askdoctors、yahoo外部執筆者として公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。
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