ご飯を食べると楽になるのはなぜ?起立性調節障害の子どもへの対処法
- 作成:2022/01/19
AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、子どもの起立性調節障害に悩むお母さんからのご相談です。
この記事の目安時間は3分です
【今回のお悩み】
13歳の女子ですが、7月に小児科で起立性調節障害と診断されました。症状はめまい、立ちくらみ、朝起きられず、です。
最近ですが、病院や用事から帰り、具合の悪いときは(立ちくらみあるとき)、早めにご飯を食べたいと言います。どうしてか聞くと、自分でもよくわからないけれど、食べると立ちくらみが楽になるそうです。どういうことなのでしょうか。
医師の回答
お疲れ様です。心配ですね。
食べると立ちくらみが楽になる原因ははっきりとはわかりませんが、水分を摂ることで立ちくらみが治まる場合もあるので、水分を欲しがっているのかもしれません。
起立性調節障害は、立ちくらみ、失神、気分不良、顔色が悪い、朝起きられない、倦怠感、動悸、頭痛、腹痛、乗り物に酔いやすい、などの症状を伴い、思春期に発症することが多い自律神経機能不全の一つです。
自律神経には、交感神経という体を元気にする神経と、副交感神経という体を休ませる神経があります。この2つのバランスで日常生活を送っていますが、このバランスが崩れると起立性調節障害になると考えられています。
男女比は1:2くらいでやや女性に多く、発症しやすい年齢は10-16歳で小学校高学年から中学校に当たります。起立性調節障害は午前中に症状が強い傾向があるため、朝起きられず不登校になってしまうケースが多くあります。午後には症状が軽減し夜は元気なので、ゲームやスマホをしたり、夜更かししたりして、ますます朝起きられず、悪循環になることもあります。また、夏に悪化することが多いのも特徴です。
治療としては、早寝早起きなど日常生活を整える事が最も重要です。他には、水分や塩分を多めに摂取、散歩などの軽い運動を続ける、ゆっくり立ち上がる、などがあります。
他人から見ると怠けているように見えてしまいがちな症状なので、周囲の理解、環境調整、学校側の配慮(午後からの登校を許可してもらう、夏の体育は見学させてもらう、など)が必要です。
お子様の場合は、立ちくらみの時に水分摂取をすると良くなるという意味で、ご飯を食べたがるのかもしれません。何にしても食欲があるのは良いことだと思います。
起立性調節障害を発症する年代は、思春期特有の人間関係や将来への不安などのさまざまな悩みも抱えていることが多く、家族・学校・医療機関が連携して、長い眼で見守ることが大切です。
参考文献
日本小児心身医学会
千葉の小児科医
小児科専門医
関西で生まれたが、現在は関東で小児科医として勤務。
趣味は読書、映画鑑賞、旅行など。
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