いつが正解?日本脳炎の予防接種を受けるタイミング
- 作成:2022/01/07
AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、日本脳炎の予防接種を打つ時期についてのご相談です。
この記事の目安時間は3分です
【今回のお悩み】
来月2歳になる子どもの予防接種についての質問です。
日本脳炎をR2.12月に1回目、R3.1月に2回目共に0.25mlを接種しています。
次回は来月以降追加接種できますという風に言われましたが、小児科を変えたところ4歳以降5歳未満に追加接種という風に言われました。
自宅近くに養豚場はありませんが、田舎のため竹やぶはあります。
どのタイミングで打つべきでしょうか?
医師の回答
ワクチンは種類も多く、接種スケジュールはとても複雑でわかりにくいですよね。日本脳炎も接種する時期が乳児期から幼児期にかけてと広範囲なので、少しわかりにくいと思います。また「追加接種」という呼び方も曖昧ですよね。
日本脳炎は治療法のない予後の悪いウイルス性の脳の炎症ですが、ワクチンはその予防にとても有効です。日本脳炎ワクチンは合計4回接種します。
その4回を大きく2つのグループに分け第1期で3回、第2期で1回のみの接種としています。第1期は生後6ヶ月〜90ヶ月(7歳6ヶ月)未満に、第2期は9〜12歳未満が対象です。標準的には最初の接種(第1期 の1回目)は3歳を待たずに乳児の段階からの早期接種が、第1期の2回目はそこから6日以上空けての接種が推奨されます。相談者様はきっとここまで打たれたという事ですね。第1期の3回目は通常初回接種から6ヶ月〜1年空けて接種します。このルールに則ると3回目接種を4歳以降5歳未満に施行するのは妥当ですが、初回接種から6ヶ月〜1年空けていればこの限りではなくても良いでしょう。忘れず4回目である2期も接種しましょう。
日本脳炎ウイルスは蚊(日本では主にコガタアカイエカ)がそのウイルスに感染したブタなどの血液を吸って、その後人を吸血することでうつります。最近ワクチンの普及により必ずしもブタが持っている抗体状況と一致しない事もありますが、昔から日本脳炎の流行にはブタが持っている免疫(抗体)の状況が参考とされてきました。実は国立感染症研究所のホームページでは月ごとのブタの日本脳炎抗体保有状況を都道府県別に公開していますので、お住まいの地域の状況を是非参考にされてください。
(参考文献)
#1. 日本小児科学会. 日本脳炎「知っておきたいわくちん情報.」Voi.19.
#2. 新井智. 小児科臨床2020 .73.1764-69
#3. 国立感染症研究所. ブタの日本脳炎抗体保有状況. -2021年度速報-.2021
今西 洋介
小児科医/新生児科医
日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医。日本小児科学会健やか親子21委員。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載コウノドリの漫画・ドラマの医療監修を務めた。m3(エムスリー)、Askdoctors、yahoo外部執筆者として公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。
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