9月は「防災月間」、防災について見直そう
- 作成:2022/09/07
9月は「防災月間」です。 9月1日は「防災の日」で、9月1日を含む1週間は「防災週間」とされ、防災思想の普及、功労者の表彰、防災訓練、防災に関するさまざまな国民活動が行われます。 これまでさまざまな防災の対策や心構えをご紹介しましたが、防災月間にちなみ、改めて防災対策についてDr.ソナエル氏にうかがいました。
この記事の目安時間は3分です
「防災の日」と「防災週間」ができたきっかけは?
防災の日は、1923年(大正12年)9月1日に「関東大震災」が発生したことに由来しています。
さらに暦の上では「二百十日」にあたり、立春から数えて210日目の日が太陽暦では9月1日頃となり、台風が来襲しやすい厄日とされていたことも理由の一つです。
1959年(昭和34年)9月26日に発生し、死者・行方不明者数 5,098名に及ぶ被害をもたらした「伊勢湾台風」が決め手となり、地震や風水害などに対する心構えなどを育成するため、1960年(昭和35年)6月17日の閣議で「防災の日」が制定されました。
その後、1984年(昭和57年)5月11日の閣議で、改めて9月1日の「防災の日」及び、9月1日を含む1週間を「防災週間」とすることが制定されました。1985年(昭和58年)以降は、毎年8月30日〜9月5日が「防災週間」とされています。
防災対策、家庭の防災グッズの見直しポイント
年に1回の「防災の日」と「防災週間」、そして「防災月間」には、自分と家族の防災を見直す日としての役割も期待されています。具体的には、自宅の耐震性の把握、室内の家具固定など耐震対策、ハザードマップの再確認、家族の緊急時の連絡方法、自宅以外の避難場所、避難経路の確認、備蓄品の確認などをするようにしましょう。
家庭の備蓄品・防災グッズの例
非常用持ち出しリュック(袋)は取り出しやすい場所に備える
非常用持ち出しリュック(袋)は、津波からの避難など緊急避難時に、すぐに取り出して逃げるためのものです。避難場所や避難所へたどり着き、最長3日程度の短期間を乗り切るためのグッズを入れ、背負って走って逃げられるくらいの重さにしておき、すぐに取り出せる玄関などに置くことが重要です。
両手が使えるリュックタイプがおすすめで、家族の場合は1人に1つずつあるとよいでしょう。
なお、背負って移動できる重さの限界は、男性で15kg、女性で10kg以下と言われています。
子どもの場合は、体重の20% 程度が目安です。中に入れる食料や水は必要最低限量にして、あれもこれも詰め込み、重くて動けないという事態は避けるようにしましょう。
非常用持ち出しリュックの中身の例
「ローリングストック」と主な備蓄量の目安
「ローリングストック」とは、普段から使うまたは消費する食材、加工品、日用品などを多めに買っておき、古いものから消費し、消費したら消費した分だけ新しく買い足すことで、常に一定量を備蓄しておくという考え方です。防災を日常に取り入れる最も簡単かつ確実な方法で、「日常備蓄」や「循環備蓄」と言われることもあります。
大規模災害時は1週間分の食料備蓄が望ましいとされています。例えば、お湯や水を注ぐだけで食べられるアルファ化米など、防災に特化したいわゆる非常食を備えておく方法もありますが、非常食は値段が割高なことも多いため、普段から食べ慣れていて、常温である程度保存がきくものをローリングストックで備えておくと、余分な出費もなく継続しやすくておすすめです(日常生活でいずれ消費するものであるため、実質的に余分な出費がゼロになります)。
大人1人あたり1週間分の食料備蓄量の目安
参考:農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド(平成31年3月)」
水
飲料水や食料用として水の備蓄の目安は、1人あたり1日おおよそ3Lとされています。これは500mlのペットボトル6本分に相当し、1週間分では1人あたり42本にもなるため、家族の人数分を用意するには、保管場所を確保しなければなりません。しかし水がなければ命に関わるため、優先的に備蓄をするようにしましょう。
ほかには、水道水を清潔なボトルに入れて保存しておく方法もあります。水道水は塩素による消毒効果があるため、3日程度は飲料水として使えます。保存するときは、容器に口いっぱい入れてしっかりフタをし、涼しい場所で保管します。ただし、衛生面から長期の保存はできないことにご注意ください。
非常用トイレ
成人1人の1日あたりの平均排泄回数は4~7回であり、それを1週間分(30~50回分/1人)は備えておく必要があります。
また忘れてならないのが、排泄物が入った袋の処理や保管方法です。災害時は基本的にゴミの回収は行われません。ゴミの回収が再開するまでは、ベランダや庭などにまとめておかなければならず、その際に臭いの対策も最重要ポイントです。これらを踏まえて、ゴミ袋の予備についても考えておきましょう。
カセットコンロ、カセットガス
カセットガスの備蓄の目安は、1人1週間あたり6本と言われています。また、カセットガス(ボンベ)は、製造日から7年が使用期限とされており、カセットコンロは、製造日から10年での買い替えが推奨されています。しまい込んだままにせず、コンロとガスをセットで点検しましょう。
災害で電気やガスが停止した場合、カセットコンロがあればお湯を沸かすことができ、停電しても、冷蔵庫の中身の食材が傷む前に調理して食料にでき、お湯を沸かしてカップ麺など温かい食事を得ることもできます。
高度のストレス下におかれる災害時において、冷たい食事しか食べられないことは想像以上に負担がかかります。温かいものが食べられるということは、精神的な安らぎを非常にもたらしてくれます。
日本に住むすべての人にとって、防災のきっかけになる月でありますように
我が家では、防災の日を目安として、インターネットショッピングで非常食、電池、カセットガスボンベなどを購入し、防災グッズの電池などを点検するようにしています。
防災対策の基本概念は、自分の身は自分で守る「自助」が大前提です。もっとはっきり言えば、災害時に備えがなくて困っても、「備えていない人が悪い」ということになります。残念ながら災害大国日本において、防災対策は避けられないものであり、生涯続ける必要があるということは事実です。
皆さまにとっても、「防災の日」「防災週間」、そして「防災月間」である9月が、1年の中で何らかの防災行動を起こすきっかけとなる時期となることを願っています。
消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、総合内科専門医
神奈川県生まれ。現在は関東で内科医として勤務。
長男誕生をきっかけに家族を守るということに直面し、防災に目覚める。知識を得ていくにつれ防災にのめり込み、現在では防災好きが高じてInstagramやTwitterで防災対策を発信している。
認定特定非営利活動法人 日本防災士機構認証 防災士。
Twitter:@Bousai_love_Dr
Instagram:bousai_daisuki_doctor
ウェブサイト「Dr.ソナエル@内科の防災図書館」
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