巨大地震、その時あなたは大丈夫?防災マニア医師が語る「今すべき備え」

  • 作成:2021/09/26

いつ自らの身に降りかかってくるか分からない、災害。一方でなかなか自分事として考えづらく、その準備ができていないという人も多いかもしれません。今回は、防災情報を発信している内科医であるDr.ソナエル氏が、防災において広く市民が知っておくべきポイントをご紹介します。今回のテーマは、防災を考える上で欠かせない基本的な考えについて解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は3分です

巨大地震、その時あなたは大丈夫?防災マニア医師が語る「今すべき備え」

医師として地域医療に力を入れながら、日々防災対策に勤しんでいる関東在住の内科医です。
幸いにも大災害に被災することもなったため、以前はそれほど防災に興味はありませんでした。しかし、子供が生まれたのがきっかけとなり、家族を守るということに直面したことで防災対策に目覚めました。
防災グッズは元々好きでしたが、インターネットやYouTubeなどで防災知識を得ていくにつれ、ますます防災にのめり込んでいきました。現在では防災好きが高じてInstagramやTwitterで様々な防災対策を発信しています。

防災への備えに欠かせない3つの「助」

災害への備えをする時、「自助」「共助」「公助」の3つを考える必要があります。
「自助」とは災害時にまず自分や家族の身を守ること。「共助」とは地域や周囲の人達と協力して助け合うこと。「公助」とは市町村や公的機関による救助や援助のことです。

私の場合、災害発生時はまず自分と家族の身を第一に守り(自助)、その上で周囲の人々と助け合い(共助)、医師の立場としても他者の力となりたい(公助の一部を負担)と考えています。

一般的に、防災対策と聞くと真っ先に思い浮かべるのが、「防災グッズを◯◯点詰め合わせた非常用リュック」や、「お湯や水を注ぐだけで食べられる非常食」を購入することではないかと思います。
確かにこれらも非常に有用で重要な対策ですが、本来防災対策はもっと身近なところから考える必要があるのです。

防災対策の目的を踏まえて、まずは自宅の耐震対策

そもそも個人における防災対策の究極の目的は、自分と大切な家族が死なないこと、そして災害発生から復興するまでを生き延びることです。災害発生のニュースを見ると、何人の方が亡くなり、何人の方が負傷し、何人の方が被災生活を送っているかなど、全体像に目が行きがちですが、被災した当事者にとっては自分と家族が死なずに生き延びることができたか否かが何よりも重要です。
このため、自分と家族が死なず生き延びるための必要な対策を考えていきたいと思います。

災害といってまず思い浮かぶのは、巨大地震ではないでしょうか。特に日本は地震大国です。災害は人間の都合に忖度してはくれません。24時間365日いつでも発生する可能性があります。
地震は予想が難しく、瞬間的に発生し、発生した直後に状況次第では死亡リスクが大きくなる災害です。

日本に住んでいる以上、巨大地震に遭遇する可能性からは逃げることはできません。大きな地震が発生した時に家具や重い物の下敷きになって死亡したり、ケガをしないようにする環境を整える必要があります。災害発生直後に死亡してしまっては、たとえこれまで防災対策を行っていたとしても無駄になってしまいます。
ですからまず、ご自宅の建物の安全性を知ることから始めてください。1981年6月1日以降の新耐震基準を満たした建物であれば、巨大地震によりすぐに倒壊する可能性は低いと考えられており、発生直後に建物の倒壊により死亡したり、自宅に住み続けられなくなる可能性は低くなります。ご自宅の建築年数を調べておくことをお勧めします。

具体的な耐震対策としては家具を固定すること、重い物は高い所には置かないこと、揺れで食器など物が散乱しないように養生することなどです。死亡やケガを負うリスクを減らすだけでなく、災害後に在宅避難できる環境が整います。

在宅避難のメリット・デメリット

自宅が津波、浸水、土砂崩れ、倒壊などの恐れがなく、室内が生活に耐え得る状況で、自分や家族に大きなケガもなければ在宅避難を積極的に考えるべきです。

〈在宅避難のメリット〉

  • 多少不便があっても住み慣れた自宅で避難生活を送れる。
  • プライバシーが確保される。
  • トラブルや犯罪被害のリスクが低い。
  • 持ち出す必要がないため、自宅にあるものを使用・消費できる。
  • 他者と接する機会が少ないため感染症のリスクが少ない。

〈在宅避難のデメリット〉

  • 避難所のように最新情報が入手しづらいことがある。
  • 食料や水は自分で手に入れる(備えておく)必要がある。

在宅避難をするためには、事前の備えが重要となります。2011年の東日本大震災では、電気の復旧に1週間以上、水道の復旧に10日以上かかった地域もありました。備蓄する目安としては最低でも1週間分が望ましいとされています。

消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、総合内科専門医

神奈川県生まれ。現在は関東で内科医として勤務。
長男誕生をきっかけに家族を守るということに直面し、防災に目覚める。知識を得ていくにつれ防災にのめり込み、現在では防災好きが高じてInstagramやTwitterで防災対策を発信している。
認定特定非営利活動法人 日本防災士機構認証 防災士。

Twitter:@Bousai_love_Dr
Instagram:bousai_daisuki_doctor
ウェブサイト「Dr.ソナエル@内科の防災図書館」

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