感覚過敏?衣服の肌触りにこだわるが、買い物に協力しない長男。「衣替え」が困難すぎる…。
- 作成:2022/09/24
こんにちは、外科医ちっちです。秋の気配を感じますね。季節が変わると困ることと言えば、子どもたちの衣替えです。今回は、サイズアウトした長男にっちのジャンパーを買い替えた話です。譲れないこだわりがあるわりに、洋服選びにまったく協力してくれません。
この記事の目安時間は3分です
こだわるわりに……買い物に協力してくれない発達っ子
2021年10月頃の話です。朝晩が急に寒くなり、前年の子どもたちのジャンパーを出したところ、長男にっちのジャンパーがパツパツになっていました。にっちの成長に嬉しさを感じつつ、新しいものを買うことにしました。
しかし、衣替えのための買い物は困難の連続です。いつものこととは言え、どっと疲れました。なぜかというと……。
1)買い物を予告しても、遊びたい気持ちが勝つ
子どもですから当然なのですが、買い物を予告していても、遊びたい気持ちが勝ってしまうことがあります。
「日曜日の朝10時に○○(近所のショッピングモール)に出かけるよ。にっちのジャンパーを買うよ」と予告したものの、当日朝9時半。友達が「にっちくーん、遊ぼう」と家にやってきました。
「行ってもいい? え? だめなの? なんでだよ。行きたい」と、怒り始めるにっち。こちらが諦めて「じゃあもういいよ。遊びに行っておいで。試着できないからジャンパーは買わないよ」と言うと、「じゃあ、買い物行く!」と一旦は譲ってくれました。
しかし、遊びたい気持ちに勝てないにっちは、また怒り始めました。
私「じゃあ、ジャンパーを選んでから、お友達と遊びに行ったら? お会計はしとくから」
にっち「そうする。じゃあ自転車でお店まで行くから」
なんとか交渉し、お店へ向かうことに。にっちは自転車、次男さんちと私は徒歩です。早く遊びたいにっちは「おっそいんだよぅ」と怒っています。しかし、それでも付いて来てくれているので、にっちは成長しています。以前ならここで怒って暴れて、買い物に出かけることすらできませんでした。
2)今この瞬間に必要じゃないものは、今選べない
お店に到着したにっち。早く遊びに行きたくて、「もうこれでいい」と一番手前にあるものを手に取りました。にっちは、とにかく柔らかい衣服が好きです。ですが、渡された服を触ってみるとゴワゴワです。
今は必要じゃないジャンパー。すぐに使うものではないので、しっかりと考えて選ぶことが、にっちにはできません。先を見通す想像力が足りないようです。しかし、今週中頃あたりから急に寒くなる予報が出ています。買い物に行けるタイミングは週末の今しかありません。
「誘いに来てくれたお友達と遊びたい」という気持ちが、「未来に必要なジャンパーを、今買うこと」をさらに困難にさせていました。
3)数時間着たら、感じる不快感
感覚過敏があるのか、自閉スペクトラム症のこだわりなのか、にっちには着ることのできない洋服があります。たとえば、裏起毛やパーカータイプのフード付きの服です。どうやら肌に触れる感覚、特に首周りの刺激が嫌なようです。
ですから、親としては試着の時に感覚を確かめてほしいのですが、試着中に本人が考えているのは、「さっさと終わらせて帰ろう」だけ。いくら服の感触を聞いても、有効な返答は得られません。買ったものの、感覚が嫌で結局着られなくなり、そのまま無駄になった服がたくさんあります。
結局、なんとか選んだジャンパーを1着買ったものの、にっちはなかなかそのジャンパーを着ません。なぜなら、頑張れば去年のものが着られるから。どんなにパッツパツでも、見た目が変でも、「何度も着て慣れたジャンパー」と「新しいジャンパー」だと、慣れたほうを選んでしまいます。
長年の経験から、「親が説得して着せる」のは不可能だとわかっているので、「のらねこ作戦」を決行しました。
秋に買ったジャンパーは、年末にやっと着られるようになりました。「来年になって着られたらいい」という目標だったので、この計画は大幅に前倒しとなりました。
「衣替え 一歩踏み出す 難しさ」
季節に合わせて快適に過ごすための「衣替え」。本来は、衣服が調整できて「楽になる」はずなのですが、発達障害のある子どもを抱えたわが家にとっては、高いハードルです。しかも、本来味方のはずの子どもたちは、衣替えに協力してくれません。
その一方で、快適に過ごせない衣服を着ているときは、問題行動の頻度が明らかに高まります。「不快→イライラ→問題行動」と、わかりやすい流れなので、できれば予防したいところです。しかし、本人たちにとっては買い物も衣替えもあまり楽しくないものなので、難易度が高いのです。
定期的な服の買い替えは、その前後にドッと疲れてしまいます。子どもたちの成長を感じるので、嬉しさもあるんですけどね。
外科医師。妻(看護師はっは)と発達障害3児の育児中。記事中のイラストは、看護師はっはが担当。著書『発達障害の子を持つ親の心が楽になる本』(SBクリエイティブ)が2024年9月発刊予定。
・ブログ:「うちの凸凹―外科医の父と看護師の母と発達障害の3姉弟」
・ブログ:「発達障害の生活は試行錯誤で楽しくなる」
・note:https://note.com/titti2020/
・Twitter:@surgeontitti
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