成長が早い?病気?10歳の娘の成長過程は大丈夫?
- 作成:2022/12/14
AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、思春期早期症を心配する10歳の女の子を持つお母さんからのご相談です。
この記事の目安時間は3分です
【今回のお悩み】
今年の7月上旬で10歳になる娘の成長についてなんですが、今身長141センチ、体重32キロぐらいの細身なのですが、幼稚園からずっと身長が高く今もクラスで1番高いくらいです。それで、最近気になっていたのが少し乳房が膨らんできた感じがして、昨日お風呂に入ったはいっときに、乳輪に毛が生えていたのですが、女の子でも乳輪に毛がはえるものですか?割とはっきりみえたので気になり、ネットで調べていたら、早期思春期症という言葉が出てきたのでさらに気になり、もしかしてうちの子は何か病気なのかな?と思い相談させて頂きました。
ちなみに、陰毛も薄っすらと生えてるような気がします。正常な成長過程なのか、一度かかりつけに相談した方がいいですか?教えてください。よろしくお願いします。
医師の回答
思春期早発症はご両親の心配する気持ちや、子ども自身の恥ずかしい気持ちをきっかけに受診され診断されるケースが多くあります。
女の子の場合、思春期の症状は11-12歳頃にはっきりしますが、思春期早発症はそれが3、4年早く出てしまいます。
主な症状としては
① 7歳6カ月までに胸が膨らみはじめる
② 8歳までに陰毛、わき毛が生える
③ 10歳6カ月までに生理が始まる
などがあります。
副症状としては、早期に身長が伸びること(身長が標準身長の2.0SD以上、または年間成長速度が2年以上にわたって1.5D以上)や骨年齢の成熟が進むことが挙げられます。
通常、女の子の場合は、日常生活では胸の膨らみの大きさで見つかることが多いです。乳輪に毛が生えることもあるようですが、思春期早発症の診断の定義には入っていません。
なお、女の子の思春期早発症の場合、2つの注意が必要です。
一つは最終的な低身長です。未治療の場合は身長が早い時期に成長のスパート(急激な伸長の伸び)を認めるので、成長時特有の軟骨組織である骨端線(こつずいせん)も早く閉鎖し、身長発育が止まり、最終的には低身長に終わってしまいます。
もう一つは脳の病気の除外です。思春期早発症は主に2つの種類に分かれ、脳の病気などの器質性や、原因不明の特発性が含まれる「中枢性」と副腎や性腺の病気による「末梢性」に分かれます。女の子には特発性が多いことが知られていますが、男の子の場合には器質性の割合が高いと言われています。
治療法は原因により異なりますが、器質性の場合には外科的治療でその原因を摘出します。また、特発性の場合には性腺刺激ホルモンの分泌を抑える「Gn-RHアゴニスト」という薬剤を投与する必要があります。
相談者さんのお子さんの場合は10歳で胸が膨らみはじめたり、陰毛が生えていることに気付いたのであれば病気とは異なると思いますが、身長の伸び具合もありますし、実際に診療したわけではないので、ご心配であれば一度かかりつけ医にご相談されてください。
参考文献
#1. 井原健二. 日本小児科医会会報 2021; 62: 77-79
#2. Wu T, et al. Pediatrics 2002; 110(4):752-757
小児科医/新生児科医
日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医
一般社団法人チャイルドリテラシー協会所属。日本小児科学会健やか親子21委員。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載『コウノドリ』の漫画・ドラマの取材協力。m3(エムスリー)、Askdoctors、yahoo外部執筆者として公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。
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