ストレスが原因の不正出血 「機能性」「器質性」の意味は?
- 作成:2015/12/11
不正出血の原因は、多様で、ストレスによって引き起こされるケースもあります。出血のかげに、がんなどの病気が隠れていることがありますので、不正出血のメカニズムや「機能性」「器質性」の意味なども含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
不正出血と排卵出血の違い
出血の量や色にかかわらず、月経(生理)以外の出血はすべて「不正出血」です。多量の出血はもちろん、おりものに混ざった淡い色のわずかな出血も不正出血にあたります。
不正出血とよく間違われがちなのが、「排卵出血」です。排卵出血は「中間期出血」ともよばれ、排卵時に毛細血管が切れたり子宮内膜が剥がれたりすることによって起こります。排卵出血の場合、生理初日から約2週間後に少量の出血が1日から3日間あるのが特徴です。排卵出血は生理現象なので、特に心配する必要はありません。しかし、出血量が月経時のように多い、1週間以上続くといった症状がある場合は、排卵出血以外の可能性があります。
排卵出血以外の不正出血には、卵巣から出る性ホルモンの乱れによる「機能性出血」と、子宮や卵巣、腟の病気が原因の「器質性出血」があります。機能性出血は、脳下垂体や卵巣などホルモンの分泌をつかさどる器官の機能に問題があるためにおこります。体質も関係しますが、生活習慣の改善で治ることもあります。一方、器質性出血は生殖器の疾患が原因なので、まずは何の病気なのかを特定する必要があります。
ストレスで不正出血が起きることがある
卵巣から出る性ホルモンの乱れによる出血を「機能性出血」と言いましたが、これを引き起こす原因の一つにストレスがあります。
機能性出血は、月経をコントロールするホルモンの分泌が不安定になると起こりやすくなります。通常、子宮の内側にある子宮内膜は、生理になるとはがれて、で古い組織と新しい組織を入れ替えるシステムがはたらいており、これを卵巣から出るホルモンがコントロールしています。しかし、過度のストレスはホルモンの分泌の乱れを引き起こし、子宮内膜(子宮の内側の膜)をきれいにする機能が損なわれるため、傷つきやすくなって出血を起こします。ストレスの軽減には職場や家庭での環境変化が不可欠なので、なかなか自分の力だけで改善することは難しいため、不正出血が長引く原因となります。
ストレス以外の不正出血の原因
卵巣から出る性ホルモンの乱れによる不正出血は、ストレス以外にも原因がある場合があります。生理周期が不安定な思春期や更年期に多いほか、極端なダイエットによってもおこります。不正出血には、性ホルモンの乱れではなくて、妊娠が関係する不正出血も少なくありません。妊娠初期に腹痛をともなった不正出血がある場合は、流産や切迫流産・子宮外妊娠の可能性があります。出産や中絶手術の後なら、子宮の回復が遅れていることが原因となっている可能性があります。
ホルモンバランスや妊娠以外では、以下のような疾患が不正出血の原因となっている場合があります。
・粘膜下子宮筋腫
筋腫は良性の腫瘍ですが、できる箇所によっては不正出血がみられます。
・子宮頸管ポリープ
子宮の奥にできるキノコ状の良性のポリープ、30代から50代の経産婦に多いのが特徴です。
・子宮腟部びらん
子宮の入り口と腟壁の粘膜がただれているためにおりものの増加や不正出血がみられます。
・子宮内膜炎
大腸菌やブドウ球菌、淋菌、クラミジアなどの細菌感染によって子宮内膜が炎症を起こす疾患です。
・子宮内膜症
子宮内膜にのみ存在するはずの細胞が子宮以外の臓器に発生し、激しい下腹部痛をともないます。
・子宮頸がんや子宮体がん
子宮の入り口付近や頸管、子宮内膜に発生するがんです。
不正出血に慣れると見逃す病気
不正出血には、子宮がんなどの重い病気が隠れていることもあるので、十分に注意が必要です。子宮がんは初期の段階ではほとんど自覚症状がありませんが、進行すると不正出血がみられることがあります。不定期な出血に慣れてしまっていると、子宮がんが原因での不正出血が起こっていることを見逃してしまうことがあります。
また、考えられる原因が多いのも不正出血のやっかいなところです。最初に受診した時に卵巣から出る性ホルモンの乱れによるものと診断されると、次に病気で出血した時、「ホルモンの乱れ」と思いこみ、受診しないケースが多くみられます。
不正出血は、出血の様子だけでは自己診断がとても難しい病気です。「いつもそうだから」、「体質だから」と簡単に判断せず、不正出血があった時には必ず受診するようにしてください。排卵出血が常態化している人は毎回病院に行くのは大変なので、基礎体温表をつけて出血時期にずれがないかチェックするようにしましょう。
不正出血の原因について、ストレスとの関係などをご紹介しました。不正出血に不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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