子宮筋腫からくる腰痛症状

  • 作成:2015/09/28

子宮筋腫は子宮にできる良性腫瘍です。この子宮筋腫の症状の一つに腰痛があります。子宮筋腫がによって引き起こされる腰痛とはどのようなものか解説します。

近藤 恒正 監修
落合病院 副院長
近藤 恒正 先生

この記事の目安時間は3分です

女性

大きくなった筋腫が骨盤を圧迫

子宮筋腫は子宮に発生する良性の腫瘍で、女性ホルモンであるエストロゲンの影響を受けて大きくなります。原因はよく分かっていません。

大きさや個数は様々で、大きさは放置すれば10kgにまでなることもあり、個数も1個〜数十個までと幅広く存在します。子宮筋腫は成人女性の4〜5人に1人はもっているのではないかと言われています。

主な症状は強い月経痛や過多月経、長引く月経、貧血などがありますが、子宮の回りの臓器や骨盤神経を圧迫するほど子宮筋腫が増大すると腰痛や頻尿などの症状も出てくるのです。

しょう膜下子宮筋腫は腰痛になりやすい

子宮筋腫は発生する場所によって種類が分けられており、粘膜下筋腫、筋層内筋腫、しょう膜下筋腫があります。

粘膜下筋腫は、子宮の内腔に向かって発生する筋腫で、過多月経や長引く月経など月経トラブルが一番起こりやすく、また不妊の原因にもなります。

筋層内筋腫は子宮の壁の中で大きくなる筋腫で子宮筋腫の中で一番多いタイプです。大きくなると子宮の内側の子宮内膜側にも盛り上がり、月経時のトラブルが出てきます。

しょう膜下筋腫は子宮の外側に向かって発生する筋腫で、大きくなるとお腹の上から触れることができるようになります。大きくなってくると骨盤内にせり出してくるため回りの臓器や神経を圧迫して腰痛や頻尿などの症状が現れてきます。また、尿管を圧迫すると水腎症になるために腰痛の原因となることがあります。しょう膜下筋腫は大きくなるまで自覚症状が乏しいため、1kg〜2kgにまで筋腫が成長しないと見過ごされることも多いです。

月経困難症からくる腰痛の場合も

子宮筋腫によって月経困難症がおこることがあり、その症状として腰痛の症状出ることがあります。月経困難症とは、月経時に生活に支障が出るほどの強い症状が出ることをいいます。

強い月経痛や腰痛、頭痛、吐き気など症状は様々です。子宮筋腫が月経困難症を引き起こし、月経困難症がさらに腰痛を悪化させる要因になることがあります。

子宮筋腫による腰痛の対処法

子宮筋腫は経過観察されることもありますが、症状が強い場合は治療対象となります。治療法には薬物療法と手術療法があります。

薬物療法は、「偽閉経療法(ぎへいけいりょうほう)」と「ピル」があり、偽閉経療法はホルモン剤で閉経と同じ状態にすることで筋腫を小さくさせることができます。偽閉経療法の副作用として、更年期症状がでることがあります。また長期に使用すると、骨密度が低下する可能性があるので1回のの治療は6ヶ月までということになります。

またピルは血中のホルモン濃度を安定にすることで子宮内膜が厚くならなくなり、月経困難症が改善しますけれど、筋腫を小さくする効果はありません。

また、上記のような薬物療法では子宮筋腫が無くなることはなく、薬を止めれば筋腫はまた大きくなるため治療方針の検討が必要になります。

手術療法は子宮を全摘する方法と筋腫のみを取る筋腫核出術(きんしゅかくしゅつじゅつ)があり、筋腫の場所や大きさ、癒着の程度などにより子宮鏡下による手術、腹腔鏡手術、開腹手術が選択されます。腰痛の原因になりやすい「しょう膜下筋腫」は、腰痛症状が出る頃には筋腫がすでに大きくなっていることが多いため手術療法が選択されることもあります。また、子宮動脈の血流を遮断するUAEという方法で筋腫が小さくなったり消えることがあります。

今回は子宮筋腫の症状のひとつ腰痛について解説しました。出血だけでなく、腰痛や頻尿の症状が出てきた方やこの病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?

病気・症状名から記事を探す

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行

協力医師紹介

アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。

記事・セミナーの協力医師

Q&Aの協力医師

内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。

Q&A協力医師一覧へ

今すぐ医師に相談できます

  • 最短5分で回答

  • 平均5人が回答

  • 50以上の診療科の医師