子宮筋腫の手術種類 開腹や腹腔鏡 UAEって何?

  • 作成:2015/10/28

子宮筋腫の治療の選択肢のひとつとして手術がありますが、手術には複数の種類があります。子宮を全て摘出する場合も、しない場合も、開腹や腹腔鏡などの選択肢があります。時々、耳にする「UAE」とは、出血を伴わない手術の1つですが、患者の状況や医療機関によっては実施できないことがあります。手術の前には、医師らとよく相談するようにしましょう。 今回は、子宮筋腫の手術の種類と、手術に必要なおおよその時間について解説します。

近藤 恒正 監修
落合病院 副院長
近藤 恒正 先生

この記事の目安時間は3分です

女性

子宮筋腫の治療で手術が必要なケース

子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)は子宮の壁にできる腫瘍(しゅよう)です。私たちの体の細胞は通常は、体に必要な細胞が決まった規則に従ってできます。しかし規則を無視して勝手にできる細胞があります。その細胞が集まったものが腫瘍です。

腫瘍には、悪性と良性があり、子宮筋腫は良性の腫瘍で、基本的に命に関わるものではありません。子宮筋腫の原因はまだよくわかっていませんが、性ホルモンが関与しているとされます。40歳以上の女性の女性では4人に1人は筋腫をもっていると言われます。

子宮筋腫は、米粒程度から、人の頭程度のものと、大きさが様々で、多くの人が無症状です。子宮がん検診や妊娠の診断の際に、あるいは貧血症状の原因を調べているうちに見つかったりします。筋腫が小さい、症状が軽い、生活に支障がない場合には治療は行わず、定期的に診察を受けながら経過を見ます。

症状が辛い場合や筋腫が大きい場合には、薬物療法や手術を行います。薬物療法には、貧血などの症状を改善する対症療法と、出血をコントロールしたり、筋腫を小さくする目的のホルモン療法があります。手術療法は、痛みが強い、出血が多く貧血がひどい、筋腫が大きい、妊娠に影響がある場合などで行われます。

子宮全摘術の3つの方法

手術療法には、大きく分けて筋腫核出術(しきゅうかくしゅつじゅつ)と子宮全摘術(しきゅうぜんてきじゅつ)があります。

子宮全摘手術は根本的な治療になり、子宮筋腫の再発もなくなります。しかし、子宮を全部取ってしまうので、子どもを望んでいる方には向きません。

全摘術には3つの手術法があります。開腹手術(かいふくしゅじゅつ)はお腹を切るため傷が残り、他の術式に比べ傷も大きくなります。縦に切る方法と横に切る方法があります。

腟式子宮摘出術はお腹を切らず、腟から子宮を取り除きます。傷も残らず、回復も早いとされます。ただし、腟式子宮全摘が可能になるのは、子宮を引っ張って、ある程度腫瘍が下がってくる場合に限られるということもあり、一般的には出産経験がない場合には難しいです。

腹腔鏡下(ふくくうきょうか)手術は、おへその下あたりに小さな穴を開け内視鏡を入れて子宮の中を見ながら行う手術です。傷が小さく、早く社会復帰できるというメリットがあります。

筋腫の大きさやできている場所、病院の設備、医師の技量などによって行われる手術が変わります。手術時間も手術を受ける方の状態や術者の技量によって違ってきます。

筋腫核出術も3つの方法

「筋腫核出術」は、筋腫だけを取り除く方法です。将来妊娠、出産を望む方に適した方法です。子宮を残すために、筋腫の位置や数などを詳しく知る必要があり、手術の前に超音波やMRIを行って念入りに調べておく必要があります。子宮を全部取ってしまう訳ではないので、再発の可能性があることを覚えておきまましょう。

筋腫核出術には、全摘術同様に開腹術、腹腔鏡下手術に加え、「子宮鏡下手術」と呼ばれるものを含めて、3つの手術方法があり、筋腫の大きさや場所によって、手術の方法は変わります。

子宮筋腫核出術で一番問題となるのは、筋腫を取った後の傷からでる浸出液や傷を縫った糸が原因となり、腸や卵管、卵巣などがくっついてしまうことがあることです。また、筋腫を取った後の傷に血腫ができることもあります。

筋腫核出術では筋腫を取った後の傷を一つずつ縫い合わせていくので、筋腫の数によっては子宮全摘術より手術時間が長くなります。子宮鏡下手術の場合は電気メスで筋腫を削り取るため、縫い合わせる必要がありません。

UAEなら入院は3日程度

子宮筋腫の「非観血的(ひかんけつてき)手術」(出血を伴わない手術)に、子宮動脈塞栓(そくせん)術(UAE)、集束音波治療(FUS)があります。これらの手術は、傷もなく、UAEは3~4日の入院、FUSは日帰りの治療も可能です。

UAEは子宮動脈の血流を止め、筋腫への血流を減らします。太ももの付け根の大動脈からカテーテルという細い管を入れ、血管をふさぐ物質を注入します。筋腫への血の流れが少なくなると、筋腫が徐々に小さくなり、6ヶ月から1年で、30%程度までになります。術後、まれに卵巣への影響が生じる事があります。

FUSは超音波を1点に集中させて子宮筋を焼き切る治療方法です。治療時は、うつ伏せになり、3時間から4時間筋腫に超音波を当てます。傷もできず痛みもありませんが、術後、軽い腹痛や吐き気が起こることがあります。これらの治療は人によって選択できない場合がありま、行える施設も限られます。可能かどうかは、自身のかかっている医療機関に聞いてみましょう。

子宮筋腫の手術はいくつかの種類がありますが、おおよその所要時間がおわかりいただけたでしょうか。手術を選択するか悩んでいる方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?

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