子宮筋腫で不妊になる?手術すれば妊娠可能?
- 作成:2015/09/28
子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)は、不妊の原因になることが知られています。子宮筋腫には複数の治療法がありますが、手術も選択肢の一つです。今回は、子宮筋腫を手術すれば自然に妊娠できるかどうかについて解説します。
この記事の目安時間は3分です
子宮筋腫はなぜ妊娠の妨げになるか
子宮筋腫を抱えていると必ずしも不妊症になるということではなく、自然に妊娠、出産される人もたくさんいます。しかし、筋腫のできる場所や大きさによっては、明らかに不妊の原因となることがあります。
筋腫が不妊の原因となるのは、筋腫が卵管の入り口や卵管を圧迫してに精子や卵子の通り道をふさいでしまったり、筋腫が子宮の内膜を圧迫して受精卵の着床を邪魔してしまうときなどです。
また、子宮筋腫以外に不妊の原因がないケースで、子宮筋腫の手術を行うと妊娠する可能性が高くなることがわかっています。子宮の内腔の粘膜下に筋腫がある、子宮の筋層内に4cm以上の筋腫がある場合には不妊の原因となりうるので、手術の適応となります。
子宮筋腫が不妊の原因かという判断は難しいため、婦人科医と十分相談の上で手術を受けるかあるいは他の治療法を選ぶかを決めるようにしましょう。
子宮筋腫の治療と妊娠どちらを優先すべき?
子宮筋腫の治療と妊娠のどちらを優先するのかについては、最終的には医師と相談の上、ご本人の希望で決定します。
子宮筋腫の治療を優先する場合は、子宮筋腫が明らかに不妊の原因であるとき、不妊の原因が不明であるとき、子宮筋腫により流産、早産の可能性が高いと考えられるときなどです。
また、子宮筋腫は妊娠してからはじめて発見されることもあります。子宮筋腫がある状態で妊娠したとき、多くのケースでは手術をせずに経過観察が行えます。ただし、子宮筋腫は切迫流産や切迫早産、出産時の障害、産後の出血などの原因となることもあります。そのため、過去に子宮筋腫が原因と思われる流産経験がある、筋腫が急速に増えたり大きくなる、筋腫の変性で激しい痛みがあるときなどは、妊娠中に筋腫を取り除く手術を行うこともあります。
治療と妊娠のどちらを優先するかは、超音波検査、MRIや卵管の造影検査などの結果を参考に、医師と十分相談してから決めるようにしましょう。
どんな手術をするの?
子宮筋腫の手術には、子宮を取ってしまう子宮全摘術(しきゅうぜんてきじゅつ)と筋腫だけ取る筋腫核出術(きんしゅかくしゅつじゅつ)があり、妊娠を希望するときや子宮を残したいときは筋腫核出術を行い、妊娠を希望しないときや症状がひどいときは子宮全摘術を行います。
手術は、現在はおなかに5〜10ミリ程度の小さな穴を開け、腹腔鏡を使って筋腫を取る腹腔鏡手術(ふくくうきょう)、腟から子宮鏡という内視鏡でのぞきながら筋腫を取る子宮鏡下(しきゅうきょうか)手術、従来からあるおなかを開く開腹手術や腟式手術があります。
腹腔鏡手術はお腹の傷が小さいこと、早く社会復帰できるという長所があります。子宮全摘を行う場合には、ケースによっては腟式子宮全摘術が選択できます。この手術では、傷が全く見えません。粘膜下筋腫でそれほど大きな物でなければ、子宮鏡下で子宮筋腫を摘出することがあります。
子宮全摘術と筋腫核出術のどちらを選ぶか、また、腹腔鏡手術と子宮鏡下手術と開腹手術あるいは腟式手術のどの方法を選ぶかは、筋腫のできたところ、大きさ、数、妊娠希望の有無などで異なるため、事前に医師と十分相談しましょう。
手術後いつから妊娠が可能?
子宮筋腫の手術は、卵巣の働きに直接影響を与えないため、手術後も月経はいつもどおりの周期で訪れることがほとんどです。
筋腫核出術手術後の妊娠は、手術による傷が回復すれば可能です。また、子宮筋腫の手術後に出産する場合、子宮の傷の影響でまれに子宮が破裂することがあります。そのため子宮筋腫を摘出する際に子宮の壁に深い傷がついた場合には、帝王切開での出産が選択されることがあります。
子宮筋腫の術後に経腟分娩が可能かどうかについては、執刀医のご意見を伺っておかれることをお勧めいたします。妊娠を希望する場合は、担当医と十分相談してから妊娠の予定を立てましょう。
子宮筋腫を手術した場合に妊娠ができるかについて解説しました。妊娠を希望していて手術を選択するか迷われている方、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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