ジェネリック医薬品の定義、メリット、危険性などの問題点 品質に問題あり?副作用が不明?
- 作成:2015/12/22
ジェネリック医薬品とは、医師が処方する薬のうち、特許が切れて、同じ有効成分を含みながらも安く作られる薬です。価格の安さがメリットとなりますが、「質が同じ」とされているにも関わらず、実際の医療の現場などから問題点が指摘されているのが実情です。ジェネリック医薬品の問題点などを、医師監修記事でわかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
ジェネリック医薬品の定義とは?
薬は、まず「医療用」と「一般用」の2つに分けられます。医療用の薬は医師によって処方されるもので、患者さんが自由に購入することはできません。一方、一般用の薬は、いわゆる「市販薬」「大衆薬」とも呼ばれるもので、薬局などで購入できます。さらに、医療用の薬は「新薬(先発薬)」と「ジェネリック医薬品(後発薬)」に分けられます。新薬は、一般的に10年から15年もの歳月と数百億円以上の費用をかけて開発されるので、製薬会社には特許の出願により特許期間中、その薬を独占的に製造販売する権利が与えられます。しかし特許期間が過ぎると、その権利は国民の共有財産となり、他の製薬会社にも、同じ有効成分を使った薬の製造販売が許可されます。
ジェネリック医薬品(以下ジェネリック)は、新薬と同じ有効成分を同量使って作られ、効果や作用、品質、安全性が「新薬と同等」とされるお薬です。当然、厚生労働省の認可を受け、国の基準、法律に基づいて製造販売されています。研究開発に要する費用が低く抑えられているので、新薬に比べて低価格になっています。さらに、製品によっては、服用しやすいように大きさ、味や芳香などを改良したものもあります。欧米では、ジェネリック医薬品は日本よりも普及しています。
「価格が安い」が最大のメリット
ジェネリックの最大のメリットは何と言っても安価ということです。新薬で、すでに有効性や安全性が確立されているため、ジェネリックが承認されるために提出しなければいけない試験のデータは、先行する薬より、かなり少なくて済みます。したがって、薬の開発期間は3年ほどと新薬に比べ非常に短く、開発費もかなり安くできるようです。ジェネリックの普及は、患者さんの薬代の負担を軽減させ、国の医療費の削減につながることが期待されています。
「変えたらアレルギーが出た」という報告も
ジェネリックは、マスコミなどで「効果が同じで値段が安い」が決まり文句になっていますが、本当にそうでしょうか。薬の“有効性”に関して言えば、「実際の患者さんで先発薬と効果は同じであった」という臨床の試験(治験といわれます)は行われていないとう問題点があります。ジェネリック医薬品で行われているのは、「投与後に血液の中の有効成分の濃度が、統計上ばらつきをもって差がない」ということを証明する試験(生物学的同等性試験といいます)です。科学的には認められている方法ですが、薬が効きすぎたり、薬の効きが悪かったということが起こる危険性もあります。
先発薬とジェネリック医薬品で、有効成分は同じものが同じ量含まれているのは確かです。しかし、薬に含まれている添加物(安定化剤やpH 調整剤など)は異なっていることがあるようです。まれですが、「ジェネリックに変えたらアレルギー原因考えられる薬疹が出た」などの報告もあり、原因は添加物の違いにあるようです。アレルギー体質の方は、特に注意が必要になると思われます。
副作用情報や供給に不安も
またジェネリック医薬品では、通常の臨床試験や市販後の調査を行なっていないので、ジェネリック医薬品を作るメーカーは、副作用に関する情報をほとんどもっていません。添付文書の内容も不十分なことが多いようです。薬には副作用はある程度避けられない面もあり、副作用など何かが起こった場合の情報の提供や収集は非常に大切です。しかし、ジェネリックでは、その点が問題となっているようです。
ジェネリックを作るメーカーは比較的中小の会社も多く、安定供給も大きな課題です。なかには、安易に製造販売を中止するところや、販売ルートや配送体制の不備から納品に時間を要し、緊急時に対応できないところもあるといいます。厚労省も、少なくとも5年間は製造販売を継続し、必要な在庫を確保すること、全都道府県で販売体制を整備することなどを指導しているようです。ですので、ジェネリックでは「情報提供」、「安定供給」については不安と危険が伴う部分があるのが事実です。
ジェネリック医薬品について、メリットとデメリットをご紹介しました。ジェネリック医薬品に不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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